2015年12月07日

2015ダブル選の投票結果

 大阪府知事選・大阪市長選のダブル選挙が終わりました。結果はご存知の通り、府知事には松井氏が、大阪市長には吉村氏が当選し、大阪維新の会のダブル勝利となりました。
 遅ればせですが、記録しておくことが大事なので、投票結果をまとめておきます。

 投票結果は、次の通りです。
2015ダブル選結果.jpg

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2015年12月06日

統一地方選2015 大阪維新の会得票状況

 「統一地方選2015 大阪維新の会得票状況」は、当時の記事掲載の都合から、コチラに掲載していましたが、当ブログへ移行します。

 大阪府議選、大阪市議選、堺市長選の得票状況、議席獲得状況は、次の通りです。
012得票状況.jpg


 各党への支持がストレートに表れやすい、中選挙区の大阪市議選・堺市議選と衆院選・参院選の比例の得票率の推移です。
02得票率推移.jpg


 府議選の1人区(または衆院選選挙区)での維新の勝敗の推移です。(維新擁立の選挙区のみ)
03勝敗推移.jpg


 今回の大阪府議選、大阪市議選、堺市長選の結果を、前回2011年の結果と並べてみました。
042前回比較.jpg
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2015年11月14日

水道事業統合は、維新・メディアのいう「二重行政」を象徴している

 大阪府知事・市長ダブル選、真っ只中の2015年11月13日の記事として、産経が「【ダブル選課題を追う】老朽化は水道管ではなく…ふし(府市)あわせ代表作『水道事業』」(直リンク)という記事を出しました。

 記事の要旨としては、
「水道管が老朽化で破裂し、浸水被害を起こした。水道管の取り換え工事は順次進めているものの、予算が限られていて、なかなか進まない。
そんな現状の打開策として、府市の水道事業を統合して効率化する検討が始まったが、府市の対立や議会の反対で頓挫したまま。老朽化しているのは水道管だけでなく、組織自体。変える時期にきている」
・・・といったもの。

 でも、色々ヘンだなぁと思うところがあるので、事実の確認と整理をしてみます。

 2008年〜2010年1月にかけて行われた、大阪府市の水道事業統合協議では、次の2案が協議されました。事務レベルでは協議が行き詰まり、当時の橋下知事が市案を丸呑みする形で府市合意となりましたが、府水道のユーザーである府下市町村の合意を得られず、実施に至りませんでした。
〇府案(市の柴島浄水場を廃止し、不足分を府の村野浄水場から供給)では、25年間で2775億円の費用削減
〇市案(府の村野浄水場を廃止し、府南部地域へは市の浄水場から供給。府南部地域への送水管への投資の削減も図る)では、25年間で2080億円の費用削減

 前回の知事・市長ダブル選前に、府議会の大都市制度検討協議会(平成23年7月から9月)の提出資料で、大阪維新の会は水道事業を二重行政の代表例と挙げ、「府案」に沿った統合案で1745億円〜1872億円の削減効果が見込まれるとしました。
01二重行政モデルケース(水道事業)府協議会維新資料201107.jpg
元データ 元サイト

 また、前回の知事・市長ダブル選中、松井知事は次のように説明していました。
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
 府と大阪市の壁をなくして広域行政を一元化し、大阪の経済、医療、教育を再生させる。府と市の二重行政、税金の無駄遣い、スピード感のない行政運営を変えたい。

 大阪は失業率が高く、個人所得は低いままだ。なぜか。狭いエリアの中心に、府と大阪市の巨大な役所があるからだ。水道料金は、府の42市町村が一体化した企業団に大阪市が入れば、すぐに下げられる。平松邦夫市長は市民ではなく、市役所にいる人たちに気を使っているから、それは出来ない。
(中略)
 府と大阪市の各4兆円の財布を一元化すれば、5%削っても4千億円の財源ができる。府と大阪市を解体して新しい役所をつくる。

(「大阪府知事選・大阪市長選 大阪のかたち問う 知事選7氏が立候補」朝日新聞デジタル 2011年11月11日より一部抜粋)(元記事
--------------------------- 引用終了 ---------------------------


 ところが橋下市長が当選後、2012年になり、大阪市水道局と大阪広域水道企業団との協議が始まると、効果額などで、全く違う数字がでてきます。
 2012年8月に具体的な統合案とその試算が示され、コスト試算は次の通りになります。

02統合メリット(大阪府域(大阪市域除く))201208.jpg
元データ

03統合メリット(大阪市域)201208.jpg
元データ

 ケースA(柴島全廃)が、それまで水道事業統合と語られていた府案(市の柴島浄水場を廃止し、不足分を府の村野浄水場から供給)ベースにしたものです。
 この場合、企業団側(大阪府域(大阪市域を除く))のコスト減が18年間で270億円、大阪市側のコスト増が18年間で358億円(300億円の土地を330億円で売って、330億円の収入と計算した場合の数字。通常の30億円の利益と計算した場合、686億円のコスト増)。
 企業団側のコスト減を、大阪市側のコスト増が上回り、トータルでコスト増となります。

 大阪市水道局と水道企業団との統合で、大きなコスト削減ができるとしてきたのに、実際に詳しく計算してみたら、コスト増で、大阪市民だけがコスト増をかぶるという結果になりました。

 さすがにこの案では進められないので、橋下市長が主導する形で、ケースB(柴島上系廃止)が統合案として採用されることになりました。
 ただ、このケースB(柴島上系廃止)とは、大阪市の浄水場と企業団の浄水場を、それぞれ余剰分だけ廃止する案で、大阪市と企業団で水のやり取りはありません。つまり、今まで通りに大阪市の浄水場が大阪市内に水を供給し、企業団の浄水場が大阪市以外に水を供給する案ですから、基本的に統合効果などあるはずもないのです。

 18年間で企業団側で4億円のコスト減、大阪市側で221億円のコスト減となっていますが、大阪市側のコスト減の多くを占める「その他経費の減」のうち180億円は、大阪市の水道会計が、大阪市の一般会計に支払っている分担金(年間10億円)で、大阪市の一般会計からみれば減収です。これを除くと、18年間で41億円のコスト減しかないことになります。

 18年間で41億円、年間約2億円のコスト削減というのは、水道会計として「大きい・小さい」は、どうなのでしょうか?
 大阪市の水道事業中期経営計画のページをみると、年間経費を平成10年の802億円から平成21年には629億円まで、年間173億円の削減を行い、今後5年間でまた数十億円の削減を図るとしています。
 年間2億円というのは、毎年の経営努力の中で、完全に埋没してしまう数字です。


 元々、莫大な統合効果が生まれると説明してきた水道統合案が、実はコスト増になる代物で、だから、そういう事業統合は止めて、
〇今まで通りに「大阪市の浄水場が大阪市内に水供給、企業団の浄水場が大阪市外に水供給」のままにする。ただ、大阪市の水道事業を企業団に無償譲渡して、大阪市の経営から企業団の経営に変える。統合効果はほぼない。
 ・・・という結果になったのですから、そういう説明を橋下市長もメディアも、きちんと説明すべきところです。

 でも、橋下市長は「コスト削減220億円」だけをひたすら強調し、メディアも「大阪市と企業団の水道統合素案了承 コスト削減メリット220億円」(直リンク)と煽りました。


 メディア報道で、水道統合案の実情をきちんと説明しているのを見たのは、市議会で、橋下市長の水道統合案が否決された(2013年5月21日)後に出された次のものくらいです。
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
メッキ剥がれた大義…コスト削減、近道は水道場廃止

 府内42市町村が運営する大阪広域水道企業団と大阪市水道局が持っている浄水施設の処理能力は1日476万立方メートル。これに対し、平成42年度の水需要は約280万立方メートル。危機管理のために若干の余裕を持たせても約3分の1の施設は不要になる。企業団と市の施設をトータルで考えて効率化を図るとともに、一体的な運用で人件費の削減や緊急時の対応をスムーズに進めようというのが、水道統合の狙いだ。

 一見もっともらしいのだが、一番古い大阪市の柴島浄水場を全廃すると新たな送水管の整備などで逆にコスト増になってしまう。このため、企業団が持っている村野浄水場(枚方市)なども一部廃止することにした結果、わざわざ統合して水を融通しなくても、大阪市と企業団がそれぞれ管内の水需要をまかないながら施設を削減できる計画ができあがってしまった。

 統合に伴う大阪市のコスト削減額とされた221億円も不思議な数字だ。その使い方をめぐって議論が紛糾し、最終的に大阪市域の水道事業で活用することにされたが、削減額のうち180億円は大阪市の一般会計に支払っている分担金で、一般会計からみれば減収になる。これを除くと削減メリットは18年間でわずか41億円。この中には柴島浄水場の土地の一部を104億円かけて整備し、160億円で売却する計画も含まれている。思うような売却ができなければ、たちまち赤字だ。

 大阪市の水道料金を安く維持するため会計は分離したまま、基本的な供給体制も変わらないのでは、何のために統合するのか分からない。「(少なくとも)不利益はない。2つを1つにまとめること自体がメリット」(橋下氏)というだけでは、市議会も市民も納得させることはできない。「民営化すれば万事OK」という安易な発想も困る。橋下氏が大阪府知事だった当時から掲げる「府域一水道」というスローガンを貫くのであれば、より詳細な将来像を描くことが必要だ。

(「【西論】挫折した橋下維新 しばらく“引退”し足元の大阪改革、議論からやり直せ 編集長・近藤真史」産経 2013年06月04日より一部抜粋)(元記事 直リンク
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 でも、この説明は、市議会で議論されてる時に報じられて意味があるのであって、市議会で否決された後になって説明するのでは、遅過ぎます。


 水道事業統合は、橋下維新の「二重行政解消」として捉えた時、かなり典型的なものです。
 不十分な根拠で、「凄い統合効果がある」「水道料金は、企業団に入れば、すぐ下げられる」と煽り立て、「平松市長が市役所にいる人たちに気をつかっているから、出来ないんだ」と決め付けます。
 なのに詳しい試算をして、以前の説明と全く異なる結果が出ても、そのことをきちんと説明せず、変わり果てた微々たる数字を、十数年累計で過大に見せ、あくまでも「凄い統合効果がある」と言い張るのです。

 水道事業統合は、メディア報道の「二重行政解消」として捉えた時にも、かなり典型的です。
 「二重行政解消」の実態が無くなっていることを知りながら、そのことは説明せずに、橋下市長のコメントや役所の報道発表の垂れ流しをするだけ。

 さて今回の産経の「【ダブル選課題を追う】老朽化は水道管ではなく…ふし(府市)あわせ代表作『水道事業』」(直リンク)という記事。
 水道事業統合を捉えて、「『府市(ふし)あわせ』の象徴ともいえる事業になった」とか、「そんな現状の打開策として、府と市の水道事業を統合して効率化する検討が本格化したのは、8年前のことだ」とか煽るのですが、「【西論】挫折した橋下維新 しばらく“引退”し足元の大阪改革、議論からやり直せ 編集長・近藤真史」(直リンク)の記事で、統合効果など示せていないと知ってることは明らかです。
 【ダブル選課題を追う】として、今更、ありもしないと分かっている水道事業の統合効果を振りかざして「『府市(ふし)あわせ』の象徴ともいえる事業になった」などと記事にするのは、読者を騙してミスリードしようとする政治的意図があるとしか、思えないのですが。


(追記)
 水道事業統合は過去の話という面が強いですが、今話題に上がっている「二重行政解消」についても、似たところがあります。
 例えば、「港湾」は、府の一般会計46億円(第1部+第2部H23 元データ 元サイト)、市の一般会計343億円(第1部+第2部H23 元データ 元サイト)に対して、都構想の長期財政推計に見込まれている効果額は5400万円に過ぎません。(元データ 元サイト

 そして市港湾局の2005年と2010年(H22)を比較した経費削減額は、203億円(元データ 元サイト)とのことです。

posted by 結 at 04:29| Comment(0) | 広域行政 | 更新情報をチェックする
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