2010年11月04日

大阪都構想についての議論を選挙でするのでは、ダメだと思う

 一部のメディアで、大阪都構想の具体像が示されていないことの批判が散見されます。でもまだ、「決着は選挙で。」という雰囲気が、そういう報道の中からも感じてしまいます。

 大阪都構想についての、ひとつの決着は、来年4月の統一地方選挙での、大阪府議会、大阪市議会、堺市議会の選挙の結果だとは思います。
 でも、大阪都構想についての議論を、選挙の時にするのでは、ダメだと思うのです。

 大阪都構想については、「どのような制度の形態にするのか」「メリット・デメリットなど府民・市民にどのような影響があるのか」、橋下知事からほとんど語られていないため、メディアなどでも、あまり踏み込んだ評価をしない傾向があります。
 マスメディアが府民・市民の論議の場として、十分に中立で適切なのかは疑問な部分もありますが、それでも、府民・市民が広く意見を交える場としては、マスメディアしかないと思うのです。
 ネットは、確かに広がりを持ち、多くの人が気軽に参加し、意見を交わせる場ですが、府民・市民の全体から見れば、ごくごく一部の人でしかありません。

 でも、今年の5〜7月頃、大阪都構想にそれなりに関心が出てきた頃にも関わらず、マスメディアであまり取り上げられなくなりました。5月末と7月中旬に大阪市議会の補欠選挙があり、その選挙期間中に、一部候補の主張のみを取り上げた放送となることを避けたからです。
 厳密には、報道で取り上げられない訳ではないのです。ただ、どこかの候補の主張を取り上げようとすると、他の候補すべての主張を取り上げることが求められるため、放送局などでは、ついつい取り上げることを躊躇してしまうようです。

 当然、来年4月の統一地方選挙前にも、同じようになります。選挙期間中に入ってしまうと、マスメディアを通じての議論は、機能不全に陥ると考えた方がいいのです。

 大阪都構想についてのひとつの決着が、来年4月の統一地方選挙なのは、確かです。
 それにしては、大阪都構想はあまりにもぼんやりしていて、特に大阪市民の行政サービスに重大な影響を与えるにも関わらず、どう評価していいか、十分な情報を持っている人は多くはありません。ちゃんと評価できるまでの道のりは、かなり遠いでしょう。
 多分、関心は選挙に向けて高まると思いますが、選挙期間に入ってしまうと、関心があっても、マスメディアを通じた、ある程度第三者の立場で評価された情報がないことになってしまいます。
 そんなことにならないよう、橋下知事や大阪維新の会から、大阪都構想の具体像などの情報が、少しでも早い時期から提示されることを望みます。
 ただ、新聞などによると、橋下知事は、大阪都構想について現在以上の情報提示をしないことを明言されていますから、「大阪都構想を提案するというなら、もっとちゃんと分かるように説明しろ。」という声が、府民・市民から上がらないと無理なのかもしれません。


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2010年12月22日

橋下知事の沖縄の基地負担軽減への協力姿勢豹変から思うこと

 村上弘氏の「『大阪都』の基礎研究−橋下知事による大阪市の廃止構想−」の紹介がしばらく続いたので、少し時期を失した話題になりますが、梅田北ヤードW杯サッカースタジアム建設と、普天間基地移設にかかる沖縄の基地負担軽減のための協力姿勢についての、橋下知事の豹変発言についてです。

 橋下知事は「2万%ない。」を翻して知事出馬に転じた方で、府市水道事業統合交渉から大阪都構想への経緯を思い出しても、それほど驚くことでもないのかもしれません。でも、今回は、以前の発言などがメディア報道されるなど、前言を翻し、態度を豹変させた姿が大きく報道されたことで、印象が強かったのは、確かです。

 このうち、わたしは、普天間基地移設にかかる沖縄の基地負担軽減のための協力姿勢を橋下知事が豹変させたことについて、注目します。

 この問題は、昨年12月に橋下知事が、沖縄の基地負担軽減について「政府から何か(県外での負担受け入れの)提案があれば、しっかり議論していきたい」と積極的な発言を繰り返し、今年5月の全国知事会に際しても、「アメリカが方針を出したのであれば、地方は頑張らなくてはならない。今、基地を負担しているところに訓練先を移転するのは無理ではないか。関西が最優先だ」「大阪では何も負担をしておらず、安全のただ乗りの状態。沖縄の方には申し訳ない。沖縄の負担軽減についてはしっかりと話して行かなくてはならない」などの発言を行い、全国知事会での結論を「全然だめ。沖縄の基地負担の軽減が必要なのは小学生低学年、幼稚園の子供でも言える」と知事会がまとめた合意文書を痛烈に非難したりしていたものです。

 しかし、11月28日の沖縄県知事選で仲井真知事が再選され、基地負担軽減に向け関西空港視察の意向を示したことについて、橋下知事は、「視察するなら神戸空港を見てもらいたい」と述べ、神戸空港の活用が適当との認識を示しました。関西、大阪両空港の経営統合と事業の民間売却が検討されていることに言及し「関空が負担軽減の受け皿になることは今の方向ではない」と指摘。同時に「将来性が見えない海上空港は神戸空港だ。もし仲井真知事から要請があれば神戸空港まで(視察に)ついて行く」と述べたものです。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/212877

 わたしは、関空視察を否定した橋下知事の発言の中で、「視察するなら神戸空港を見てもらいたい」「将来性が見えない海上空港は神戸空港だ。」という点に着目します。
 これは、広げて解釈をすると、以前、橋下知事が基地負担軽減に積極的な発言をしていたのは、「当時は、関西空港が将来性の見えない海上空港だった」から。そして「将来性の見えない空港に活路を見出すためには、沖縄基地負担の軽減に積極的に協力して、国からの支援を引き出すべきだ。」という考えがあったことが推測されます。
 今回の中井真知事の関空視察を否定した橋下知事の発言は、沖縄基地負担軽減のための協力という視点から見ると「ブレ」ていますが、(沖縄基地負担軽減への積極姿勢も、関空再建の一環と捉えると、)関空再建という視点では、全くブレていないのです。

 今回の件で、テレビのコメンテーターの「大阪都構想も、やめたといったことになるのだろうか。」といった発言を聞きます。わたしは、そうは思いません。
 わたしは、橋下知事は核心的目的については、ほとんどブレないが、核心的目的以外の部分については、その時の状況で、変幻自在に態度・発言を豹変させるのだと考えます。
 ただ、例えば5月の知事会の頃に、「国の関空支援が欲しくて、基地負担軽減に積極姿勢をしているだけでしょう。」と聞いても絶対YESとは言わないでしょうし、基地負担の受入に消極的な他の知事を叩きまくる徹底ぶりで、何が核心的目的で、どれがそうでないのかを見分けるのが難しいというだけです。

 大阪都構想において、核心的目的とは何でしょうか。わたしは、「二元行政の解消」だと考えます。
 「二元行政」とは、「府市の行政が重複することで無駄が発生している。」と主張される「二重行政」とは、全く別のことです。「二元行政」とは、大阪府の中に、大阪府と別に、大阪市という巨大な自治体があり、大阪府が一元的に行政を行うことを阻害しているという考え方です。
 つまり「二元行政の解消」とは、ありていに言うと、「大阪府にとって、大阪市は邪魔だから潰しちゃえ。」ということです。
 本当に、大阪市があることが大阪成長の阻害要因に実際になっているのかは、それぞれの立場で様々な意見があることだとは思いますが。

 わたしは、「大阪市民として、身近な行政が今より低下したりしないか。」を知りたいとしてきました。この点は、橋下知事にとっての核心的目的でしょうか。
 8月に大阪市分市案を橋下知事が提起された後のゴタゴタを思い出すと、決してそうは思えません。ポイントを挙げると

○8月末 「大阪市分市案は、大阪都構想のような法改正が不要で、大阪市を小さな市に分割して、府との役割を明確に分ければ目的は達せられる。国の交付税制度で、分割後の市の財政調整もできる。」として、検討を表明。

○9月 橋下知事・平松市長の意見交換会で、「分市でどんなに財政格差が出ても、交付税制度が財源保障をしているし、不十分な点があっても幾らでも知恵を出して財政格差を調整する制度を設けることができる。」と発言。

○10月 大阪市から、大阪市分市案では「地方交付税による財政補填を考慮しても、9市中7市が年間100億円以上の赤字となり、うち5市は財政破綻状態の財政再生団体に転落する。」と発表されると、最初、「大阪市が管轄していても財政格差はある。市役所に任せるから無駄が生じており、各地域に公選の首長を置いて財政調整した方が、競争が生じて向上する。分市をした市長同士で協議会をつくり、(財源配分を)決めるやり方もある。」と説明していましたが、結局、大阪市分市案は撤回されることになりました。

○大阪市分市案の撤回後に橋下知事は、「分市の場合には、新しい財政調整の仕組みが必要になりますけども、都構想の場合には、大阪市役所が今やってる財政調整のやり方を『都』がやるんで、まったく財政格差が生じないっていうことをはっきり打ち出すために、まあ、ちょっと、議論の過程をオープンに出したんですけどもね。」という発言をされています。
 でも、大阪市は、橋下知事が「区役所は○億円しか予算がない。」と喧伝されるとおり、全市一律で行政サービスを提供していて、各区への財源調整などしていないので、「都構想の場合には、大阪市役所が今やってる財政調整のやり方を『都』がやるんで、まったく財政格差が生じない。」というのは、デタラメです。

 この経緯を見るだけでも、都区の行政サービスがきちんとできるかなど深く考えておらず、問題を指摘されるたび、ひたすら言い繕おうとしていると思ってしまいます。
 大阪維新の会では、区長公選制を2本柱のひとつだとしていますが、二元行政解消の結果である「大阪市の都区への分割」の派生事項を、お題目にしているだけではないかというのは、以前の記事「大阪都構想の区長公選制の主張を、いぶかしく思うわけ」で述べたとおりです。

 ということで、「身近な行政がどうなるか。」が橋下知事にとっての核心的目的ではなく、これに関する発言はいつ変わるか分からないと思うことから、以前の記事「大阪都構想について知りたいと思うこと」で「自分の身の回りの行政サービスが、今より悪くなってしまわないか。」について、説明と担保を求めたいとしていたことについて、撤回したいと思います。

 今後、選挙戦が進むにつれ、身近な行政についての様々な指摘がされると、「身の回りの行政をもっと良くする。」といった発言も出てくるのかもしれません。でも、いつ変わるか分からない発言を信じることは、できません。
 信じられないのに、説明や担保を求めることは、意味がないと思うからです。

 それでも、大阪都構想についての考察は、続けようと思いますが。


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2010年12月23日

堺市長が、大阪都参加を躊躇う理由を知りたいな

 今年の10月から12月にかけて、堺市の竹山市長と橋下知事の間で、堺市を3都区に分割して大阪都の都区域とするかを巡り、議会発言、新聞へのコメントなどを通じて、何度か、意見の応酬がありました。

 要点としては、次のようなものです。
 橋下知事は、「基礎自治体は50万人規模が限界で、堺市は市としてはでかすぎる。小さな単位でないと、市民へのきめ細かいサービスはできない。」として、堺市も3分割して、大阪都の都区域に含めるべきだとしています。

 これに対して、堺市の竹山市長は次のように主張されています。

○大阪都への(都区域としての)参加は、堺市にとって明らかなメリットがない。
○大阪都構想の基本的制度論は、二重行政の解決に有効だが、堺市と府の間には二重行政は発生していない。
○府と大阪市の統合の成果を見せてもらうのが、先だ。

 竹山市長は、元大阪府の幹部職員で、橋下知事の強力なバックアップによって、堺市長になった方です。それだけに、橋下知事に最も近い立場の市長だと思っています。
 その竹山市長が、
○二重行政がない以上、大阪都へ参加する必要がないとしている。(このことは、「二重行政の解消以外のメリットを認めていないこと。」及び「大阪都への参加は、どちらでもいいことではなく、堺市にとってはマイナスになると捉えていること。」も示しているように思います。)
○大阪都参加にメリットがあるかどうかの検討のためには、(大阪市の平松市長が求めているような)具体的制度の「説明」だけではダメで、実施した結果を以って示すことを求めている。
 としていることは、とても重いと考えます。

 大阪都構想の具体的な制度設計を示そうとせず、今はとにかく変えるということだけを決めて、大阪都構想の内容は、選挙に勝ってから考えればいいとしている、大阪維新の会の市議さんや市議候補さんとは、(同じように市政に責任を負う立場なのに)大きな違いを感じます。

 堺市の竹山市長は、まだきちんと語ってはくれませんが、大阪都構想へ「市」が参加することは、無邪気に「まず、変えてみよう!」では済まない、市民に対してのデメリットが潜んでいるのかもしれません。
 竹山市長の振る舞いを見れば、そういうことに思いを巡らせることが、心配しすぎだとは思わないのです。


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