2010年07月05日

橋下知事、「ちちんぷいぷい」を叱責する(補足)

 前回、前々回で書ききれなかったことを付け加えておきます。

 このブログでは、これまで、固定資産税と法人市民税の都税化を想定して話を進めています。これは、見直す必要はあるのでしょうか。
 このブログで想定する大阪都構想像は、その時々のテレビ・新聞で報道される情報の断片から、妥当性が高いと思う姿を想定としています。固定資産税と法人市民税の都税化は、昔の記事に遡って確認しましたが、2010年4月22日の朝日放送「NEWSゆう+」での大阪都構想についての解説を元にしています。テレビの情報番組は、記者会見などの放送を除けば、情報ソースを明らかにしてして放送している訳ではないので、この番組自体、橋下知事から「ちちんぷいぷい」のような抗議を受けた場合、「東京都の制度を説明しただけ」と釈明する可能性は、十分にあります。

 ただ、次の理由から、現状は、固定資産税と法人市民税の都税化を想定することが、妥当性が高いと考え、今まで通りとします。ただし、今後、例えば、件の「ちちんぷいぷい」などで、橋下知事や維新の会などから、固定資産税と法人市民税の都税化が明確に否定されたり、大阪都構想の(財源面を含めた)骨格が明確に示された場合には、その前提へ想定を移していきます。

○橋下知事は、6月24日の会見の中で、「府が55%取る」という話は「ひと言も言っていない。」とし、「配分率は、東京都と特別区の協議会が決めること」としたが、「固定資産税を都税化する」ということについては、否定していない。
○大阪市を8市(都区)に、堺市を3市(都区)に分割することを案としているが、単純にぶった切って、それぞれが財源的に独立した自治体としてやっていけるかの検討ができているとは思えない。(恐らく、大阪市、堺市の協力がないと無理だと思います。)この点が問題とならないように、都区間の財源調整制度を設けると思われ、総務省に理解が得易い方法と考えれば、東京都に倣って、法人市民税と固定資産税の都税化ということになると思われる。
2010年2月の橋下知事、平松市長の公開討論会の中で、橋下知事は、「広域行政体が権限・財源を持つ」「(大阪)市の税収は、市だけのものではない。」という発言をされている。広域行政体(府)が、(今以上の)財源を持つとういのは、市からの財源移転を想定していると考えられ、総務省に理解を得易い方法と考えれば・・・。(以下、前に同じ。)

 次に、前回の記事で、「ちちんぷいぷい」の放送内容に踏み込み不足と思うと書きました。今までの記事とも重なりますが、どういう点かを整理しておきます。

○東京都を例として考えるなら、都税化の対象は、固定資産税だけでなく、法人市民税、都市計画税、事業所税も含まれる。都市計画税と事業所税は、特別区への配分対象にもなっていない。

○東京都を例として、「都が45%を抜く」というと、55%が市の収入になるように思えますが、大阪市の場合、都区の中での配分割合は、収入ほど大きくないと思われるので、恐らく55%も返ってこない。
 以前の記事の推定で、都区への配分割合を(東京都と同じ)55%とし、都区間での配分方法を、人口割50%、面積割50%とすると、旧大阪市8市(都区)は、法人市民税と固定資産税の収入額が4240億円(20年度)に対して、配分額は1460億円と、返ってくるのは35%に過ぎない。

○この財源移転による税収の減が、税収全体にどの位のダメージを与えるか、捉えておく必要がある。

平成20年度大阪市税収    上記の財源移転後
個人市民税   1400億円   1400億円
法人市民税   1544億円   
固定資産税   2697億円   1460億円(※2税配分額)
軽自動車税     12億円     12億円
市たばこ税    255億円    255億円
事業所税     255億円      0億円
都市計画税    545億円      0億円

合計        6708億円   3127億円(53%減)

○税収が半減以下となって、市民サービスにどのような影響を与えるか。
・・・・考えたくないです。以前の記事で、少しだけ書いてます。
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2010年07月12日

大阪市議生野区補選、角谷庄一氏が当選

 7月11日、参議院選の陰に隠れてしまいましたが、生野区で市議会議員の補欠選挙があり、大阪維新の会の角谷庄一氏が当選しました。平松大阪市市長が応援する民主党候補に、2倍近い大差を付けての勝利となりました。

 まあ、この結果自体は、5月の福島区補欠選挙での大阪維新の会の広田和美氏の勝利が、ただの偶然や地域的事情ではないことを、裏付けた程度の意味かなと、理解しています。
 勿論、来年の統一地方選挙に向けて、どのように生き残りを図ろうかと腐心されている市会議員や府会議員の先生方にとっては、大変なことなのだと思いますが。

 わたし自身が気になったのは、5月の福島区補欠選挙から、昨日の生野区補欠選挙までの1ヶ月半の間、大阪都構想を争点とした選挙でありながら、結局、大阪都構想についての議論も、市民の間での理解も、何も深まらなかったと思えることです。何しろ、(わたしの知る限り)具体的な説明は、何もなかったですから。

 この間の議論としてあったのは、橋下知事が、大阪市役所と平松市長をひたすら攻撃し、平松市長が反論したり、まぜっかえしたりといった、泥仕合だけのように思います。

 大阪都構想について、橋下知事が具体的な説明をしないのは、選挙を有利に進めるための戦術なのかもしれませんが、あまり、市民、府民に対して、誠実な手法だとは、思いません。
 大阪都構想が、市民、府民の意思として選択されるにしても、それは、徹底的に議論を尽くし、その長所も短所も正しく理解された上で、あって欲しいものです。

 先の記事で取り上げた毎日放送「ちちんぷいぷい」は、橋下知事に対して、大阪都構想説明のための出演依頼を行うでしょう。(番組では、そのように言っていましたから。)
 橋下知事から、どのような具体的な説明がなされるか、注視したいと思っています。
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2010年07月25日

大阪市は、利己的なのか?

 「大阪市は、大阪市だけのことを考えていて、オオサカ全体のことを考えていない。」
 確か、橋下知事が言っていたと思うのですが。
 では、大阪市は、自分のことしか考えない、利己的な存在なのでしょうか。

 まず、大阪市「が」利己的かと問われたならば、わたしは「Yes」と答えます。
 平松市長のブログとか見ていると、「そんなことはない」と、否定されています。
 また、大阪市は、大阪市の周辺地域に効果の及ぶ事業も行います。いくつか例を挙げるなら、地下鉄を堺市や守口市の深くまで走らせていたりしますし、阪神港のスーパー中枢港湾指定に向けた取り組みなども、そうでしょう。そして、周辺市へ効果が及んでも、「大大阪市」の自負なので、その市へ分担金を求めることは少ないように思います。
 でも、それが、周辺市のために事業をしているのかといえば、当然「NO」で、大阪市は、大阪市民のためになると思っているから、事業を行っているだけです。ただ、効果が周辺にこぼれるのを、放っているだけのことです。

 では、大阪市「は」利己的かと問われたら、わたしは「No」と答えます。
 「大阪市『は』利己的」と言ったら、まるで大阪市以外の自治体が、利己的じゃないみたいじゃないですか。
 わたしは、自分の市の市民の利益よりも、自分の市以外の地域の利益を優先する自治体を知りません。(周辺の自治体に協力することで、間接的に自分の市の市民の利益を図る例は、いくらもありますが。)

 自治体は、地域内において、公平・公正であることを求められるので、自治体=利己的といったら違和感を感じるかもしれませんが、他の自治体との交渉では、自分の地域の利益を最優先として交渉に当たります。また、そうでなければ、交渉相手の自治体から、体裁のいいお題目をつけて、不利益を押し付けられてしまいます。交渉相手の自治体も、自分の地域の利益を最優先にしているのですから。自治体同士の交渉なんて、外から見えないから、気付きにくいだけのことです。

 例えば、前回記事の水道統合の交渉と関連し、「大阪市の水道料金が値上がりする。」として、府水道部や水道事業団の統合案に否定的な大阪市は、利己的として非難されています。
 でもそれならば、(統合効果は同じように出せるのに)府市の合意案を、「今までのように意見反映できることが保証されていない。」「統合による追加の値下げがないならば、統合のメリットがない。」として否定した大阪市以外の市町も、十分利己的です。

 では、大阪府はどうでしょうか。
 橋下知事の発言は、有名知事としてマスコミからコメントが求められるだけに、ただのコメント(結果が府の利益にも、不利益にもならないこと)が多くて、なかなか難しいのですが、わたしから見て、ひとつだけ利己的とはいえない、発言がありました。
 普天間基地移転に絡んで、全国知事会で米軍練習場の受入を表明したことです。でも、他の知事は誰も同調しなかったことが、自治体の一般的な態度が、どちらであるかを示しています。

 橋下知事についても、利己的と指摘できる例はあります。
 例えば、三空港問題で、関西国際空港の問題は、関西の問題として取り組むべきとぶち上げますが、神戸空港の問題に対して、同じように熱心だとは思えません。
 伊丹空港と関西国際空港の統合について、前原国土交通大臣から提案を受けた時も、神戸空港も含めるべきと話をだしたとは聞いていません。

 もうひとつ、例を挙げてみます。
 大戸川ダムの建設中止について、覚えているでしょうか。近畿地方整備局が、建設を進めようとしたダムを、滋賀県、京都府、大阪府の知事が、一丸となって、建設中止に追い込んだ件です。
 この時、近畿地方整備局は、周辺の道路事業などダムの周辺整備事業が中止になってもよいのかと脅し、逆に、3県の知事で、周辺整備を中止することは許さないと働きかけ、ダムは中止しましたが、周辺整備事業は、そのまま実行することを勝ち取りました。

 この時、ダムの白紙撤回の合意文書で「生活再建や地域振興策について、大阪府と京都府は滋賀県と助け合って責任を果たしていく用意がある」と明記しました。
 しかし、これに基づき、滋賀県が、京都府、大阪府へ、周辺整備事業の分担金約10億円の支払いを求めたのですが、ダム工事が凍結されて支払いの根拠がないとして、大阪府は支払いを拒否。京都府もごく一部を予算計上したのみだそうです。

 ここまで、利己的と思う例をいくつか挙げましたが、そのことを非難する意図はありません。自治体は、地域住民の利益を最優先に考えるべきであり、他の自治体との交渉において、「利己的」であるのは、必然だと考えます。
 逆に、自治体が、地域住民の利益を最優先にすることを、「利己的」と非難することの方に、疑問を感じてしまいます。
posted by 結 at 03:49| Comment(0) | その他 | 更新情報をチェックする