2010年05月18日

いちばんのさいわい

 ここまで、大阪府・市再編、大阪都構想について、自分なりに整理をしてきて、わたしの今時点の結論を、一度、まとめて置きたいなと思います。

 わたしは、大阪都構想は、目的ではなく、政策実現(をやり易くする)のための手段であると捉えます。(大阪都構想を実現しても、そのことで大阪府民が良くなる訳ではなく、力を持った大阪府が、更に具体的な政策を実現することで、大阪府民は良くなるということのはずです。)
 そうであれば、様々なものを壊し、市民にたくさんのリスクを負わせる(大阪都という)方法ではなく、目的とする具体的な政策を提示し、実現に取り組まれることを望みます。

 その政策が大きいほど、他の自治体などにまたがり、交渉、協力を行っていく必要がありますが、それは必要な手順です。
 必要な手順を避けるために、他の自治体を壊し、隷下に置こうとする(基礎自治体の財源を、府が握るというのは、そういうことです。)のは、政策実現の手順として、正道とは思いません。

 交渉相手のトップが頑迷で自治体の代表として、正しい判断をしていないと思われる時もあるでしょう。その時は、その具体の政策こそを、選挙なりを通じて、市民そして府民に問えばよいことです。多くの政策について、わたしは支持をしたいと考えています。

 大阪府・市再編の必要性として、何事にも大阪市との協議が必要となり、政策が進められないといったことを挙げていますが、2団体間程度の協議がまとめられない政策というのは、大目的は正しくても、実現の手法が雑で、一部のものに負担を押し付けているものの場合が、少なからず、あると思っています。その過程が、多少迂遠であっても、自治体間の協議や調整を通じて、一部のもののみが負担を負うような不備が、少なくなるような、丁寧な実現方法になることを望みます。

 閉塞感が漂う時代には、集権的な政治手法の力強さは、人気を博しますが、それなりの弊害もあるからこそ、それぞれに権限を分割した、今の自治体のあり方があるのだと思います。

 大阪府と大阪市は、常に角突き合わせているように言われることがあります。(実際には、お互いに行政の様々な場面で、一番密接なパートナーですから、ほとんどの場面で協調しています。角突き合わす関係となるのは、メディアに載るごく一部です。)
 水道事業統合の交渉は、そのひとつの典型となったように思います。

 当初、不足する水の相互融通で始まった交渉は、議論を進める中で、大阪府は、大阪市の水道事業を、大阪府主導の水道事業へ編入(実質は、市浄水事業の譲渡)することを求めました。大阪市は、当初、他市への水供給の自由を求めていましたが、大阪府の案に対抗する形で、大阪市主導で、大阪府下の水道供給事業を行う案を提出することとなりました。
 こんなの衝突するのが当然じゃありませんか。大阪市が他市への水供給を求めることも、府のテリトリーに踏み込む要求で、配慮に欠けるものだと思います。
 でも、大阪府の要求は、二重行政解消の名の下に、大阪市の事業や資産の譲渡を求めるだけで、大阪市に何のメリットもなく、(大阪市より、大阪府の水道のコストが高いため)大阪市民の水道料金は高くなる可能性があるというものです。こんなの、大阪市が了承したら、市民への裏切りです。
 それで、双方が、相手が呑めないと分かってる提案を、協議の場でぶつけ合うだけで、その後は、進展しないことを理由として、政治力で、相手に要求を呑ませようとする様な交渉ばかりをしている訳です。

 自治体間であれ、民間であれ、ゼロサムで要求や負担の押し付け合いの協議や交渉が不毛なのは当然です。協議や交渉は、きちんとWin-Winになるような提案を作ることで進展させるものです。
 上記の水道事業でいえば、不足水量の相互供給や供給困難地域への代理供給などで、Win-Winとなる提案だったのです。そこから、将来的な水需要予想の共有や、浄水技術の相互供与、新規浄水場の共同建設などへ進めていけば、いくらでも建設的な関係は、作れたのです。

 大阪都構想が、上記の水道事業交渉のような場で、大阪府の要求をそのまま呑ませるためにパワーが必要ということであれば、そこはきちんとした、交渉・協議をしてほしいと思いますし、大阪都構想そのものが、水道事業統合交渉のでっかい版にも、見えてしまいます。

 と、こんな風に意見を上げても、大阪都構想は提案されるのでしょうから、次回は、大阪都構想の内容についての意見を整理してみます。


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2010年05月20日

セカンド・ウィッシュ(その1)

 一番の願いは、大阪府と大阪市が協調しながら、大阪発展に向けた具体的な政策を実現していくことなのですが、それでも大阪都構想って話だと思うので、大阪市民の立場で、わたし自身の結論を整理したいと思います。

(1)大阪市の政令指定都市の権限とそれに関する事業や資産を、大阪府へ移譲すること(大阪市が、政令指定都市でなくなること)

 わたし自身は賛同しませんが、大阪市民に対して、メリットとデメリットをきちんと説明し、内容について理解されたうえであれば、大阪市民に(選挙などを通じて)判断を仰ぐのは、「あり」だと思います。
 ただし、この場合、関連する負債についても、大阪府が引き継ぐのは、当然です。

 わたし自身が賛同しないのは、これまでの大阪府政の成果を思い返す限り、(大阪府・市二重行政解消などの効果を考慮しても、)今の大阪市より、遥かにうまく広域行政をやってのけるとは期待できないからです。(橋下知事個人の才気だけに賭けて、行う種類の制度改革とも思いません。)
 それならば、今の行政レベルが確保できる方が、マシだと考えます。

(2)大阪市の行政資産を大阪府へ(無償で)提供すること

 大阪市民が、政令指定都市の広域行政の権限を、大阪府へ移譲すると判断した場合について、考えます。(広域行政権限を移譲しないなら、当然、この行政資産の提供なんてことも、ありませんから。)

 広域行政権限を大阪府へ移譲するなら、「大阪を発展させるための事業や資産」も、セットで移譲するべきと考えます。そうでなければ、広域行政の権限を移譲した成果が小さなものとなってしまいますし、対応として一貫したものとなりません。
 ただし、自治体間の事業・資産の移譲ですから、無償ではなく、正当な価格でもって、譲渡することが、必要です。

 基本の考え方は、こうだと思うのですが、個別の事例を考えると、様々な問題が出てくるので、広域行政権限の移譲をするかの判断と併せて、市民としてもひとつひとつの問題と向いあっていくことが必要となります。
 いくつかの例を挙げてみます。

 湾岸埋立地の市有地の移譲を求められたなら、市施設の廃止などの検討も含めつつ、できる限り対応するべきでしょう。(ただし、適正価格で。)

 地下鉄事業の移譲を求められた場合、毎年巨額の赤字を出すバス事業をどうするかを考える必要があります。
 府への移譲は、バス事業とのセットを条件とするか、赤字のバス事業だけでも市で抱え込むことにするか。
 ただ、どちらにしても、バス事業は、長期的には縮小となる覚悟をする必要があります。

 ゴミ処理事業の移譲を求められた場合、どう考えるのがよいでしょうか?
 ゴミ処理は、基礎自治体業務で、大阪の成長のための事業と、直接に関係するようには思えません。それでも、大阪府が移譲を求めることは、十分考えられると思います。理由としては、(大阪市以外でも)ゴミ処理に困っている市は多いため、ゴミ処理施設を広域的に有効活用を図るということを名目として、大阪府が各市への影響力を強めるツールとなると考えることができるからです。

 ただ、ゴミ処理施設を広域的に有効活用するとは、大阪市から見れば、他市のゴミ処理を受け入れるということです。
 地域の住民とすれば、なかなか受け入れがたいことでしょうし、「大阪を発展させるためのもの」ともいえないので、断るべきといえます。(もし、施設の有効活用のために、他市のゴミ処理を受け入れるなら、大阪市が直接交渉する方が、地域住民への配慮などの点で良いはずです。)

 ただ、ここで加えて考える必要があるのは、大阪市のゴミ処理事業がうまく行っている、ひとつの理由として、ゴミの焼却灰の最終処分場に、大阪湾(の埋め立て用海域)が使用できるからです。
 広域行政権限である港湾の権限を大阪府に移譲する訳ですから、その影響もよく考える必要が出てきます。

 こんな風に、事業・資産のひとつひとつに、どうすべきかをよく考えることが必要です。(大阪市役所が反対する中、それを飛ばして市民が判断するとは、そういうことです。誰も、市民の立場での整理はしてくれません。)

 (その2)・・・に続きます。


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2010年05月21日

セカンド・ウィッシュ(その2)

 (その1)からの続きです。

(3)大阪市の分割

 現状、分割後の市がどのような姿になるか、示されていません。橋下知事の発言などからは、タッチしないとも受け取れます。

 けれども、いま機能している市を外部から壊し、いま市民に提供されているサービスを確保できるかも明らかとせず(検討されているかすら、不明。)、今の市民サービスに必要な予算や組織が確保できるのかすら知らせないまま、「住民が決めればいい。」といった提案を、大阪府(知事が公式に発言されてるということは、そういうことですよね。)という重い責任を負う組織が行うというのは、無責任きわまりないと思います。

 市の分割を提案するのであれば、分割後の市の組織と予算の見込みを明らかにし、それから、今の行政サービスの確保(確保できないなら、理由とどの程度できなくなるのかを明確に。)できるようにするのは、最低限必要なことと考えます。「市の規模は、どのくらいがいい。」なんて話は、そのずっと後の話です。
 市の基礎自治体としての行政サービスは、何があっても滞ることがあってはならないものですし、市民が自分の住む市をどうしたいかを考えるとしても、あくまでも、現状を出発点にしなければ、無理です。(何も無いところに、根拠も金額も分からない予算の制約をつけて、どんな市にしたいか自分で考えてねと言われても、少なくとも、わたしにはできません。)

 市民の生活に密接な基礎自治体(市)について、現状の提案を市民に判断を仰ぐとするのは、大阪府(と、その首長が属する政治組織)が行うものとしては、無責任であると考えます。


(4)市税と地方交付税の大阪府への移譲
 話の整理として、法人市民税と固定資産税を都税(府税)にすることに絞ります。

 法人市民税も、固定資産税も、そこに住み、活動する住民が、自分が住み、活動する市が、基礎自治体業務をするために納める税金です。これを、都税(府税)にするというのは、違法という以上に、制度の趣旨に反することです。

 市にも、府にも、それぞれの地方税がありますが、税金など、単に効率を考えるなら、地方税を全て無くして、国税として税務署が一括して徴収して、市や府などの地方自治体は、国から予算の配分を受けるだけでいいのです。
 会社の税金のための手間を考えれば、法人税のほかに、事務所のあるそれぞれの府県に事業税の申告と納税をし、事務所のあるそれぞれの市に法人市民税の申告と納税をする。更に、従業員の給料から源泉徴収をして、税務署に申告と納税をし、従業員の住む全ての市(なんてこと!)に申告と納税をしなければならないのです。
 そんな手間を掛けさせてまで地方税が設けられているのは、そうしなければ、地方の自立・自主性が確保できないと考えられているからではないですか。

 府の収入が足りないなら、府税の拡充を国に訴えるべきものです。
 府下の自治体の総力を集めるというなら、その事業へ各市から拠出を求めればいいだけです。
 どちらも大変なことですが、それだけのことをしようとするなら、当然の大変さです。

 当然の大変さをやらずに済ませるために、市民が自分の住む市のために納める税(市にとっては給料のような収入)を取り上げてしまえばいいというのは、責任ある立場の方の発言とは、思えません。

(その3)・・・に続きます。


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posted by 結 at 14:48| Comment(0) | 結論 | 更新情報をチェックする