2010年05月17日

なぜ、大阪市分割なのか?(その2)

 広域行政権限の集約や大阪府・市の二重行政解消だけであれば、大阪市が政令指定都市を返上すればいいだけの話なのに、なぜ、大阪市分割なのか?

 太田知事当時の最初の発案で、大阪市を分割して都区にしたのは、「30万人規模くらいが、市として適正規模って、どこかでいってた。」とか、「政令指定都市でなくなった大阪市が、そのままひとつの市だったら、でかすぎでしょ。」とか、「この位に分けておいた方が、東京都と比べた時、都政っぽいよね。」とか、あまり深い意味ではなかったのかなと、思ってます。

 でも、ニュースで流される橋下知事の発言で、「大阪市解体」を盛んに叫んでいたり、平松大阪市長との会談で、まず大阪市解体ありき、みたいな話をしているのを聞くと、もう少し理由があるのかなと考えてみたので、思いつくままに挙げてみます。

(1)広域行政権限の集約というような、権限の取り合いみたいな言い方をするより、大阪都構想といった方がインパクトがあって、中身が分からないままでも、支持をえやすい。

(2)大阪市民には、区役所−市役所が、区役所−都庁に置き換わるだけというイメージを与えた方が、本質が全く異なるということが分かりにくくなって、受け入れられ易い。
 橋下知事が、「役人の区長じゃなくて、自分たちで区長を選びましょうよ。」なんて演説しているのをニュースで見ると、政令指定都市の行政区の区長と、(市長と同様の)特別区の区長を、わざと混同させようとしているようで、この意図を強く感じます。

(3)大阪市分割案は、8市への分割ですが、大阪市自体は、9つに分割して、そのひとつを大阪府に吸収するという形をとるようです。これによって、広域行政権限と関係のない、大阪市の事業や資産を、基礎自治体の大阪市から無償譲渡させようとしていることを分かりにくくする意図もありそうです。大阪市の分割と紛れにしないと、大阪市の事業や資産を無償譲渡させることが、明々白々になりすぎますから。

(4)大阪市の分割とセットで都政という分かりにくい制度を持ち出すことで、法人市民税や固定資産税など、基礎自治体に固有の財源を、大阪府に移譲させようとしている。
 最初、東京都の制度を真似ると、結果そうなるというだけかと思っていたのですが、2月の橋下知事と平松市長の会談の記事を読んでいると、橋下知事が、「権限と財源を都に集中させる。」とか、「大阪市の税金は、大阪市民だけのものではない。」といった発言をされているようなので、明確な意図をもって、基礎自治体の財源を移譲させようとしているようです。

(5)大阪市が政令指定都市でなくなっても、200万人都市の発言力を持ったままだと、邪魔。この際、大阪府に意見を言える存在は、無くしておきたい。

 色々と考えてみましたが、こういった理由しか、思いつきませんでした。わたしがそう思ってるためかもしれませんが、何か、ただただ大阪府の都合に思えてしまいます。
 大阪市の分割で、思いっきり影響を受ける、そこに住む大阪市民のためという理由は、思いつきませんでした。


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posted by 結 at 00:44| Comment(0) | 基礎自治体業務 | 更新情報をチェックする

2010年06月02日

大阪都の都区は、東京23区のように豊かになるか(その1)

 以前の記事でも触れたことがありますが、「大阪都の基礎自治体のイメージが浮かばない。」という記者の質問に、橋下知事が「東京都の特別区が、どんな事業をしているか、見てみればいい。」といった返答をされていました。
 また、大阪維新の会の政策の中でも、「都区は、東京都の特別区よりも、権限と財源を有する基礎自治体である。」とされています。

 東京都の特別区といっても具体的な内容までは知りませんが、財政的にも豊かで、先進的な独自の住民サービスを行っているというイメージがあります。
 大阪都になったら、都区は、東京都の特別区のような独自で多彩な住民サービスの提供ができるのかを考えてみたいです。

 まず、そのための整理として、財政力を中心に比較をしたいと思います。

 良い住民サービスを提供する条件は、財政力だけじゃないという意見もあると思います。わたしも、主な条件を挙げるなら、市役所(区役所)職員のやる気、スキル(アイデアの発想力を含む。)、そして財政力を挙げます。

 けれども、人材は、特別な人の有無をいうのでなければ、組織が育てていくものです。
 様々なアイデアを持てるというのは、業務の経験や上から押し付けられた仕事だけではなく、様々なサービスを立ち上げた経験が大切です。
 また、日々の業務だけに追われていては、無理です。新しいことに取り組むための人員の余裕も必要です。
 それから、失敗を恐れず、チャレンジを尊ぶような、組織全体の気風や余裕も大切なことです。
 こういったことの裏づけとしても、財政力は重要となります。

 財政力があれば、良い行政サービスができるとはいいません。
 でも、良い行政サービスを実施するためにも、それから、そういった行政サービスを生み出す組織を育てるためにも、財政力は、重要な役割を果たすと思うのです。

 次回は、この財政力の具体的な比較を行いたいと思います。
posted by 結 at 02:20| Comment(0) | 基礎自治体業務 | 更新情報をチェックする

2010年06月05日

大阪都の都区は、東京23区のように豊かになるか(その2)

 大阪都の都区として案に出されている11市と、東京都の特別区23区の財政規模=歳出額を比較してみます。

           歳出額     人口     面積    1人当たり歳出額
大阪都11市  2兆5200億円  546万人  657平方キロ  46万円
東京都23区  3兆 300億円  848万人  617平方キロ  36万円

 歳出額は、東京23区の方が大きいですが、面積は同じようなものとしても、人口が東京の方がずいぶんと多いので、やっぱり、人口1人当たりの歳出額で比較するべきなのでしょう。
 人口1人当たりの歳出額だと、大阪の11市で、十分に東京23区と張り合えますから、この数字だけでみると大阪都の都区が、東京23区並の事業をするのも、大丈夫そうです。

 ただ、他の資料とかを見ていると、東京都では、法人市民税と固定資産税のうち、特別区に配分しなかった分は、都が市の業務を代行するための財源にするということになっているようなのです。
 特別区へ55%配分で、配分額の合計が1兆円。ここから推計すると、都が8000億円の税を、特別区の市の業務に投入していることになります。この話を鵜呑みにすると、税のような自主財源は、それを元に、国から交付金や補助金を受けて事業をしますから、歳出規模としては、2〜3倍くらいになり、2兆円前後の歳出額が、東京都の歳出に隠れていることになり、これを加えると、東京23区の市業務の歳出額は、人口1人当たり60万円近くになってしまいます。

 ただ、東京都が行っている事業のうち、市業務分の歳出額って分からないので、こんな推計値の比較は誤差の幅が大き過ぎて、比較して意味のあるようなものにならないのです。
 つまり、(わたしが得られる程度の情報では、)歳出額を比較する方法で、大阪都11市と東京都23区を比較するのって、できそうにありません。
 次回は、何とかして、比較可能な方法を探してみたいと思います。
posted by 結 at 03:01| Comment(0) | 基礎自治体業務 | 更新情報をチェックする