2010年05月13日

大阪市分割後の8市の減収は、どのような影響を及ぼすか

 大阪市分割後の8市に、分市によりコスト増が発生する中、2000億円以上の大きな減収が起きれば、当然、大変困ります。これに対して、どのような対応を採るか、考えてみます。

 まず第一段階として考えられるのは、市民サービスに影響を与えない歳出削減の取り組み、遊休資産の売却、公債増発による財源不足の穴埋めです。
 しかし、歳出削減は、既に10年以上取り組みを続けています(財政非常事態宣言を出す前から、当然出来ることはやってるでしょ。)し、資産売却も既にできる分はどんどん売ってるでしょうから、新たに大きな財源を生み出せるとは考えにくいです。
 公債発行も、既に大きな発行残高を抱えていますから、(政令指定都市でなくなったことから、公債発行には大阪府の許可を受ける必要もあり、)借金依存の財政運営とはいかないと思います。最小限の激変緩和以上は、期待できないと思います。

 第二段階として考えられるのは、市民への給付事業などの市独自事業の廃止、職員の給与カット、一般的な早期退職募集かなと思います。(削減効果の割りに、市民への影響の大きい、市バスや病院などの事業や、図書館などの施設閉鎖は、ここでは含めないと考えます。市バス、病院などは、府に譲渡していれば、ここでの対象ではありません。)
 この時点で、市民サービスの維持は、完全に崩れます。給付事業などの市独自事業は、何が減るかではなく、何か残せるかと考えた方がいいと思います。
 ここまでで収まれば、大阪府で橋下知事が初年度に行った1000億円カットを過激にした程度で済みます。しかし、こういったサービスカットは、騒がれる割に削減額は、年間2000億円、3000億円といった削減目標額と比べると、大きくはないので、ここまでで、収拾できない場合も、十分に考えられます。

 第二段階で収拾できないならば、第三段階は、もはや、法的義務となる業務(実は、この分が結構たくさんです。)以外、市民生活へ大きな影響のあるものでも、削れるものは何でも削っていくことになってしまいます。人員削減についても、踏み込んだ対応を行うことになるでしょう。

 どのレベルの歳出削減が必要になるかは分かりませんが、第二段階で済むにしろ、第三段階に踏み込むことになるにしろ、市民には、極めて望ましくないことです。
 しかもこの話の救いのない点は、努力した歳出削減が市民サービスには、何も繋がらないということです。


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posted by 結 at 23:28| Comment(0) | 基礎自治体業務 | 更新情報をチェックする

2010年05月15日

都区が財政的困難に陥ったとして、都庁は助けてくれないのか

 前回、大阪市分割後の新市(都区)は、かなりの財政的困難に陥って、市民サービスにも大きな影響が出るかもしれないと書きました。
 もしそうなったとして、市民へ影響が及ばないように、大阪府(都庁)が何とかしてくれないのでしょうか?

 まず、現状の大阪市役所と区役所の関係で考えてみます。
 大阪市の中で、市役所と区役所は、同じ会社の中の本社と支店のような関係です。ですから、そもそも区役所だけが財政困難に陥るということはありません。なので、別の状況として、区役所で失火による火災があり、数ヶ月間、区役所で業務を行えないようになってしまったとしましょう。

 市役所は、(その区役所とも連携を取りながら、)数日中にも、学校の体育館や他の市の施設で、仮設の区役所窓口を開けるスペースを確保し、不十分でも、窓口業務が続けられる状態を確保します。そのために必要な、書類、用紙、機材などを徹夜してでも、確保し、そのために、必要な予算も確保します。
 区役所の業務再開に、その区役所の職員の多くが取り組む必要があるなら、仮設の窓口には、他の区役所からの応援体制を取ることになり、市役所がその手配をするでしょう。
 原因が、失火など区役所自身の原因であるなら、市長自身が市民サービスに大きな影響を与えてしまうことを陳謝し、大阪市全体を以って、市民生活への影響を最小限にするよう努力すると語り、市民生活への影響をできるだけ抑えるために、市役所も区役所も(それこそ労働組合も含めて)取り組むことでしょう。

 話を戻して、新市(都区の区役所)が財政的困難に陥り、市民サービスへ大きな影響を与えることになった時です。
 新市(都区の区役所)と大阪府(都庁)は、全く別の会社です。でも、無関係ともいえません。この場合では、業績不振に陥った会社(区役所)と主力銀行(都庁)の例えが、かなり近いように思います。

 区役所と都庁は、十分に協議を行い、都庁は、区役所の財政再建に必要な支援を行うと思います。例えば、公債発行を承認したり、緊急融資を行ったり、法人市民税と固定資産税の配分率を臨時に上乗せしたりといった方法が考えられます。

 ただ同時に、都庁は、区役所に対して、財政再建計画の策定とその実施を求めると思います。財政再建計画は、全体としては10年計画などでも、都庁の支援が必要となる危機的状況からの脱却は、3年程度(多分、長くても5年)で行う計画の策定を求めると思います。
 この場合の財政再建計画とは、結局は、支出の大幅削減のことで、つまりは、大規模なリストラと市民サービスの切り下げです。都庁の支援があるといっても、多少の猶予期間を持つことはできるかもしれませんが、前回記事の財政困難の結果としての、市民サービスへの影響は、あまり改善されないだろうと思います。

 市民サービスの切捨てに怒り、区役所で話をしてもどうしようもないので、都庁へ抗議にやって来た市民が、こんな話を聞く姿を、想像してしまいます。
 「区の財政再建計画に問題があるとお考えとのことですが、それは、区役所の方へご相談ください。
 財政再建計画を都庁が区役所に押し付けたとお考えのようですが、それは誤解です。計画は、区役所がお立てになったもので、区役所からの要請に応じて、できる限りの支援をさせていただいているところです。
 大阪都への移行に元々の問題があり、その責任が都庁にある。とのお話ですが、大阪都への移行は、確かに大阪府が提案をさせていただきましたが、府民や参加各市の賛同を得て、実現したものです。あなたの市にも、市議会で参加の決議をいただいていますよ。都庁が、一方的に押し付けたものでないことだけは、どうぞ、ご理解ください。」


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posted by 結 at 00:49| Comment(0) | 基礎自治体業務 | 更新情報をチェックする

なぜ、大阪市分割なのか?(その1)

 前回までの大阪市分割結果の予想は、随分と暗いものになってしまいましたが、わたしが思いついた要素を整理しただけなので、それなりに外れると思います。
 でも、大阪市分割は、(既存のいろいろを背負い込むにせよ)白紙なだけに「様々な可能性」こそありますが、ずいぶんと危うい点もありそうで、下にセーフティーネットはなさそうです。

 では、なぜ、大阪市分割なのでしょうか?
 大阪府への広域行政権限の集約(府・市二重行政の解消と呼ばれているものも含みます。)には、大阪市と堺市が政令指定都市でなくなり、一般の市になれば、よいだけのことです。
 法的にも、この方が、現行法でできるはずです。

 橋下知事の話としても、「大阪府への広域行政権限の集約」については、それなりに話として響くのですが、大阪市分割についての「市の人口が50万人を超えると、市長は個々の市民の声が聞けないと聞いた。」とか、「大阪市は、8つの基礎自治体になって、それぞれ行政を競い合った方がよくなる。」とか、「区長は、自分たちで選びましょう。」とか、「どんな基礎自治体になるかは、東京都の特別区をみてもらえばいい。」とか、といった話を聞いていると、ただひたすらに、大阪市を分割したいだけで、後付の理由を聞いている気持ちになってしまいます。

 橋下知事の地方分権についての考え方は、かなり首尾一貫していると思っています。
 地方のことは、地方が考えればいい。地方分権の結果、その地域を良くするも、悪くするも、そこに住む住人次第だ。
 ですから、大阪市の分割を主張しても、新たな基礎自治体の具体的な姿は描かない。それは、そこに住む市民が、それぞれに決めていくことだから。首尾一貫しています。

 その中で、ひとつ整合していないのが、大阪市の分割です。
 その延長で考えれば、市民が大阪市を分割したいと考えているなら、市民の中から出てくる意見として、議論がなされればいいはずです。
 少なくとも、市民に大阪市分割の声などない中で、外部から介入して、実現しようとすることではないはずなのです。
 この点が整合していないため、大阪市分割は強く主張しますが、分割後の基礎自治体の具体像は描かず、「後は野となれ」的に見えてしまうような不整合が出ているように思います。

 そうであってなお、なぜ、大阪市分割なのか、次回は、その理由を考えてみたいと思います。


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posted by 結 at 15:18| Comment(0) | 基礎自治体業務 | 更新情報をチェックする
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