2010年05月02日

政令指定都市制度は、「悪」か?

 大阪都構想って元はといえば、大阪市(と堺市)が政令指定都市という理由で一般には府県が持つ広域行政の権限を色々と持っているため、大阪府下で統一した広域行政を行えないので、これを解消したいということなのだと思うのです。

 これだけ聞くと、政令指定都市制度って、とっても悪法です。でも、ちゃんとした存在意義のない制度が何十年も続く訳がないですし、新たな政令指定都市が生まれるはずもありません。
 政令指定都市制度の意味を、考えてみます。

 日本の行政組織は、基本的には国・府県・市町村の3層構造になっています。その中での「業務」=「権限」の配分の仕方は、実は結構、地方分権の考え方に基づきながら、整理されています。つまり、「地方にできることは、地方に。」です。
 市町村にできることは市町村の業務にして、市町村の手に余るようだったら、府県の業務にする。
 市町村の手に余る業務の中で、府県にできることは府県の業務にして、府県の手に余るようだったら、国の業務にする。
 長年の間、大きな見直しがされていないため、あちこちガタがきていて、地方分権改革が色々と叫ばれますが、財政面を除けば、元からそこそこ「地方分権」なのです。

 このように配分したとき、市町村の業務って、小さな村でもできる範囲で決められます。でも、横浜市、名古屋市、京都市、神戸市、大阪市といった、大きな市であれば、もっと幅広いの業務をできる力があります。
 そこで、これらの大きな市に、一般的な市町村より幅広い業務(市町村の業務からはみ出しているということは、府県の業務)を担当させるための制度が、政令指定都市制度だと思うのです。

 では何故、一般的な市町村ができない業務を(大きな市ならできるからといって)府県の権限から切り出して、大きな市に与えようとするのでしょうか。
 地方分権の基本の「地方にできることは、地方に。」というのは、より住民に近い自治体の方が、より細やかに住民のニーズに合わせて、業務を行うことができるという考え方に立っているのだと思います。

 大阪府下で、広域行政の権限が大阪府、大阪市、堺市に分割されているのは、統一的に強力に政策を進めるのには、不向きです。ただ、大阪市内、堺市内では、より地元に密着した政策が進められているということです。
 大阪市民にとっては、今回の大阪都構想は、広域行政を地元密着で進めるのがいいか、府下で統一的に強力に進めるのがいいかを、問うているのだと思います。

 それから更に話を進めるなら、より幅広い視野で、統一的・戦略的に強力に進めようとするなら、きちんとしたトップを据えた道州制ということになりますし、もっと幅広く、強力にしようとするならば、中央集権国家ということになるのだと思います。


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posted by 結 at 20:27| Comment(0) | 広域行政 | 更新情報をチェックする

2010年05月03日

大阪市の広域行政を大阪府に任せたいかを考えてみる

 大阪市の広域行政を大阪府に任せるということを、具体例を出しながら、考えてみます。

 例として、大阪市の地下鉄・市バスの交通事業を考えます。
 交通事業は、政令指定都市の特別な権限でなく、一般的な市も行う事業ですが、(また、橋下知事は交通事業の民営化を提言していますが、)地下鉄延伸や新線の話を色々されているようなので、橋下知事が重要な戦略ツールとして大阪府への移譲を考えているのかなと、例にしてみます。

 大阪市の交通事業は、地下鉄新線の開発などで、7000億円の負債を抱えながらも、近年は年間200億円程度の利益を上げていて、公営交通機関としては、かなり優秀です。ただ、利益の大半を、御堂筋線で稼ぎ出し、地下鉄の他線、市バスの赤字を支えているという、歪な利益構造もあります。
 大阪市が地下鉄延伸を行うとすると、財政難で中止した今里筋線の東住吉への延伸で、大阪市南東部の地下鉄空白地域の解消ですが、今里筋線の現開業部分だけで、2700億円かかっており、延伸には1300億円必要となる見込みで、当面着手の見込みはなしです。

 大阪府へ移譲された場合、橋下知事からは、四ツ橋線の堺市延伸やなにわ筋線新設など色々提案されており、西部湾岸地区の活性化などをにらみ、いくつもは無理でも、1ヶ所程度は新線、延伸に、取り組むことが考えられます。また、伊丹空港廃港問題で、箕面市の説得に北大阪急行(=御堂筋線)の箕面市延伸を提案していますから、北大阪急行電鉄の態度によっては、大阪市交通事業による延伸もあるのかもしれません。知事が変わったら、どうなるかは分かりませんが、大胆な手を期待したいという思いはあります。

 また、大阪市の交通事業を、大阪府の立場から見た場合、当然のことながら、大阪市内に偏っています。路線の新設や変更の容易なバス事業について、府下の交通インフラの底上げのため再編し、府下の交通網が行き届くようにすることが考えられます。
 また、バス事業は赤字であり、地下鉄の新線・延伸などの余力を確保するため、圧縮方向での検討も併せて考えられます。

 このことは裏返しでいうと、大阪市内のバス路線は、それなりに廃止される可能性を考慮する必要があるということです。
 此花区の住人の立場で、よく利用するバス路線が廃止の検討がされているらしいと聞いたとしましょう。

 よく利用するバス路線が廃止されるのは、利用者は当然反対です。
 現状であれば、その声を有効に大阪市に届けるには、市会議員に訴えて、住民としての思いを届けてもらうことになります。
 此花区全体の思いとして、此花区選出の市会議員全員が動いたとして、3名です。大阪市議会89名のうちの3名、かなり頑張ってもらわないといけません。

 大阪府へ移譲された後で考えると、此花区選出の府会議員は1名です。大阪府議会112名のうちの1名、区を代表して頑張って活動していただけると思いますが、やっぱり届く声は、細くなってしまうことは否めません。

 大阪市の広域行政を大阪府へ任せたいか、大阪市にそのまま、やってもらった方がいいか。
 やっぱり一長一短があって、何に重きを置くかで、意見も変わってきます。それだけに、じっくりと考えたいところです。


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posted by 結 at 21:27| Comment(0) | 広域行政 | 更新情報をチェックする

2010年07月17日

大阪府と大阪市の実績の比較も知りたいよね(その1)

 前回、大阪都構想の具体的な説明がなかなかされないと書きました。
 また、かなり以前の記事ですが、大阪市の分割を提案するなら、「市民生活には、どのような影響があるのか。このことで、分割後の市の行政サービスは、どのように改善されるのか。現在の基礎自治体としての行政サービスは、維持できるのか。」って、当然訊かれることじゃないかなと書きました。
 今回は、それに加えて、なぜ教えてくれないのかな・・・の話です。

 大阪都構想のひとつの側面として、大阪市が大阪市内で行っている(大阪市が政令市でなければ、大阪府が行う)広域行政は、大阪府が担当した方がいいんだ・・・という主張があるのだと思います。
 でもそれならば、そういう事業範囲について、大阪市の行政サービスと、大阪府が大阪市以外でやってる行政サービスを(有利とこだけ取り出したとか言われないように、できるだけ広範に)比較して、市民にアピールすればいいように思うのですが。
 大阪府の事業が、どれだけ優れていて、大阪市が政令指定都市じゃなくなれば、どんな風に行政サービスが良くなるか、具体的に示せば、それって、大阪都構想のとっても後押しですよね。少なくとも、「悪魔の大阪市役所を潰して、天使の大阪市役所にしましょう。」なんて戯言よりは、説得力があるはずです。

 対象業務って、結局よく分からないのですが、都市計画の実績や福祉事業、保健所・児童相談所・福祉事務所のサービスなどでしょうか。
 水道事業とかが、本来、分かり易いんですけどね。「水道事業の統合効果が期待される」なんていうよりも、「大阪府に統合したら、(今、大阪市外では水道料金は××円だから、)今までの水質を保証して(あるいは、今までより水質が向上して)、水道料金が××円安くなる!」とか言えば、一発で響くじゃないですか。

 逆に、こういうことをちゃんと言わないのって、実は、行政サービスが悪くなるのを隠してるのかな、とか勘ぐっちゃいます。
 でもきちんと説明しないで、市民に選択をさせて、例えば、水道事業統合の後になって、「水道料金が、大阪市の場合は値上げになります!」とか言ったら、それって「騙し」ですよね。

 だから、有利・不利に関わらず、行政サービスの違いをきちんと説明するのって、絶対必要なことだと思うのですが、何か説明してくれないのですよね。
posted by 結 at 01:04| Comment(0) | 広域行政 | 更新情報をチェックする