2010年04月21日

大阪都を目指す理由って?

 なぜ、大阪都なんて目指すのかって思うのですが、多分、根っこは、政令指定市の大阪市・堺市が、都市計画とか、一部の広域行政の業務について、府県なみの権限を持ってるってことなんだと思うのです。

 だから、知事が何か政策を打ち出そうとすると、大阪市・堺市を除くということになっちゃう。でも、大阪府下で、大阪市・堺市の比重って大きいから、そこを除いて大阪府の政策といっても、迫力に欠ける。

 ここで普通の政治家だったら、大阪市・堺市と協調して、府下一体の政策を目指すところですが、橋下知事の突拍子もない提案に、割と常識派の大阪市の平松市長は、なかなかうんと言ってくれない。
 それで、政策擦り合せの調整とか性分に合わない、橋下知事としては、「府の権限のはずの広域行政が、大阪市・堺市には及ばないのがおかしいんだ。大阪府下の広域行政は、全部、大阪府で決められるように、大阪市・堺市から、広域行政の権限を取り上げて、集約しなきゃ。」ってことなのかなぁ、と思うのです。


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2010年10月31日

タウンミーティング・レポート

 大阪維新の会のHPの政策「大阪都構想について」で、大阪都構想について知りたいなら、タウンミーティングに行けということらしいので、10月25日の城東区民ホールでのタウンミーティングへ行ってきました。

 そこであった話としては次のような内容です。(簡単なメモを取っただけなので、テープ起こしをしたような正確なものではありません。)

 まず、城東区から立候補予定の新人2名の挨拶。
 次に浅田府議から、次のような話がありました。
○大阪は現在、倒産や生活保護が増加し、いつ夕張市になるか分からない。以前は、大阪市民の所得は、東京とそれほど差は無かったが、最近までに70万円ほど所得が減っており、東京と大きく差をつけられている。その中でも、城東区は24区中20位になっている。
○民主党の政策は、結局借金でばら撒きをしているだけで、地方交付税制度を通じて、地方にも借金を負わせようとしている。大阪維新の会は、大阪のことを大阪で考える政党をつくるものだ。
○ワン大阪について説明すると、大阪市の市政改革として、大阪市は広域行政を府に廻して、基礎自治体業務、教育、福祉、介護などをやればいい。大阪市が広域行政に手を出した結果の失政が、WTCだ。
○大阪市民は、市民というより、区民の意識の方が強いと思う。区長、区役所の存在が、また、ややこしい。城東区役所というよりも、大阪市の城東区出張所だ。区長は役人で、権限も予算もない。
○大阪都構想は、全部、区でやりましょうということだ。大阪市の税収6000億円を8つに分けたら、500〜600億円になる。この500〜600億円の使いみちを鶴見・城東で決めたらいい。
○市役所では、関前市長の決めた改革の計画は、全然進んでいない。未だにバスの運転手が1300万円を貰っている。大阪市の職員数は、大阪市より人口の多い横浜市よりも16000人職員が多い。これを横浜市並に減らすと、900億円が出る勘定だ。
○大阪市全体で考えるより、より狭い範囲で400〜500億円を使う方がよい行政ができる。
○大阪府は倒産するところだったが、橋下知事が救った。

 次に、橋下知事から、次のような話がありました。
○今、大阪が危機だ。特に大阪市が危機だ。大阪都構想は、大阪市を作り変えるものだ。改革(のような生ぬるいもの)じゃない。
○役人の退職者を支える天下り。日本一酷いのは、大阪市役所。市役所では、2000人を全部、税金で養っている。大阪府は60数人。
○今の大阪市は、少々の改革をしても無理。大阪府は改革をしてるのに、市役所では役人のレールに乗ってしまっている。大阪市は、市民を守ろうとしているのではなく、市の職員を守ろうとしている。
○地方の民主党は、役所の職員の代弁者。
○城東区は、人口16万5千人。箕面市、池田市、守口市、河内長野市よりも大きい。大阪府下でも、大きな市に相当する。でも、城東区に公選区長はいない。予算は1.9億円で半分が、区民ホールの維持管理。
○池田市の予算は348億円。箕面市は340億円。だいたい、300〜400億円くらいの予算は持っている。
○大阪市役所が、その他の予算をつけてるというが、それは違う。国が知事を派遣するのと同じ。市長は予算などを握りこみ、城東区に渡そうとしない。
○城東区と阿倍野区は、同じですか。(それぞれ、自分で選んだ行政サービスがいいのではないか。)
○これが、5千人とか6千人なら、言わない。16万人なら大きい方。その規模でできる。みんな、その地域の実情でやっている。
○大阪市では、市役所が全部抱えている。皆さんの意見が反映される訳がない。自分たちの町のリーダーは、自分たちで選ばなければならない。
○大阪市が市政改革をするといっている。でも、選挙でリーダーは選ばない。区政会議といって、市役所がメンバーを選ぶといっている。市役所に選ばれた人が、市役所へ意見を言える訳がない。
○市役所は、役人が自分の判断を正しいと思っているから、選挙を否定している。選挙があるから、(役所は)みなさんにひざまずき、どうですかと意見を聞くんです。
区政会議、騙されちゃいけない。市役所の都合のいい人を選ぶに決まっているじゃないですか。
○みなさんは、WTC作って欲しかったですか。ワインミュージアムとか欲しかったですか。
○大阪市役所は、市政改革で住民サービスを削ると言っている。どれを削るか、全市一律で。どれを削るかは、選べるべきだ。
○大阪府という、面積の小さな府の中に、大阪府、大阪市という同じくらいの役所があると、まとまらない。
○2つずつ、巨大な施設と作ってる。選挙のための実績作りに、施設を色々と作っている。中央体育館、中央図書館など、それぞれで作ってる。中央なんて名前を付ける施設は、ひとつでいい。税金が湯水のように使われている。
○大阪市は成長戦略を作ってる。(大阪府もつくってる。)でも、大阪市の成長戦略は、他市のことを考えていない。東大阪や八尾なども力を合わせないと発展できない。彩都や堺のベイエリアもないと発展できない。
○上海のGDPは20兆円。大阪は40兆円。オーストリアに匹敵する規模。
○大阪都構想の正しさは、歴史が証明している。今の大阪と同じように、東京でも、東京府と東京市があったが、東京府と東京市が合併して、東京都を作った。今、東京には、人、モノ、金が集まっている。ロンドンも同じ。
○大阪が成長すれば、税収を上げて、よい政策も実行できる。

 この後、橋下知事と参加者による質疑がありました。
(市民) 国民年金が生活保護より、ずっと少ないのは不公平。赤バスも無駄。
(知事) 国民年金、不公平だと思う。でも、国・府・区でそれぞれの仕事があるので、年金・生活保護は、国政選挙で声を上げて欲しい。
 赤バスの改革は、市議が反対するからできない。自分としては、必要なところだけでいいと思う。今の全部の路線をやる必要はない。全部やっているのは、職員の職場確保のためだ。

(市民) 大阪都構想に向けた法改正のプロセスを教えて欲しい。
(知事) 府議会・市議会・知事・市長が揃わないとできない。大阪都には、法改正が必要。でも、有権者の意思で、民主党を動かさなければならない。最後は、住民投票になるが、そこで、やめたになるとは思わない。

(市民) 30万人に区議は何人置くか。
(知事) 区議が増えても、区のためだけに仕事をする人なので、議員は増えていい。大阪市の市議の給料は高過ぎるから、下げて経費が増えないようにすればいい。議員の人数も、それぞれの地域で決めること。

(市民) 市議を減らすと、チェック機能が下がって、役人が喜ぶだけではないか。
(知事) 今の市議にチェック機能はないから、市議を減らすのは、今の人が浮かばないようにするため。
市議にチェック機能といっても、無理。住民からのチェック機能を整備する必要がある。行政審査請求などといったような。
議会は、マネジメントをする。役人を動かす。取締役会のイメージ。
どういう仕組みかは、メニューを示して、住民が選べるようにしたい。

(市民) 危機感がないというが、市民は仕事に困窮している。危機感がないのは、役所や議会の方。ぜひ、やり直して欲しい。
(知事)何をやるかは、誰でも分かっている。でも、どうやるかは示していない。
何をやるかについての話はしていない。どういう器を作るかの議論をしている。中身の話は、城東の区長を選挙で選ぶようになってからの話。


 だいたいこんな話でした。
 大阪都構想の内容を知りたくて、タウンミーティングへ行ったのですが、(わたしにとっては)取り立てて情報らしきものは、ありませんでした。橋下知事の煽りは、大層ふるってましたが。

 それでもって、少し気になったこと。細々としたことですが、嘘が混ざっていたように思えたこと。
 わたしの気付いた点を挙げると、「大阪市の税収6000億円を8つに分けたら、500〜600億円になる。この500〜600億円の使いみちを鶴見・城東で決めたらいい。」と話されていました。
 この話って、市の予算を8都区で山分けして、それぞれ使いみちを決めればいいという話に聞こえます。でも、通常、市町村って、国の交付税や交付金などを税金に加えて予算を作るので、税収の2倍以上の予算になるのが普通です。大阪市の予算は、1兆5千億円で、8分割すると、1875億円。
 つまり、500〜600億円というのは、都区の予算は現在の半分以下にすると、さりげなく言ってる訳です。聞いてる人に気付かせないように。
 多分、わたしが気が付いていないことでも、さりげなくあるのでしょう。

 まとめとしては、大阪維新の会のHPの政策「大阪都構想について」で、大阪都構想について知りたいなら、タウンミーティングに行けということで行ってみたのですが、知りたいような情報は取り立ててなかったというのが、結論です。


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2010年11月08日

できないのか、やらないのかは、伝わるのだと思う

 わたしはこのブログで、大阪都構想の具体像が知りたい、わたしたちにどのような影響があるのかを知りたい、と語ってきました。
 これについて橋下知事がメディアで語られているのは、「大阪維新の会は、知事や議員さんなど個人がやっているもので、既存政党のような政党交付金もない。制度設計を全部やるのは、無理。細かな制度設計を行うには、役所の力を使う必要がある。細かな制度設計は、統一地方選挙後に、役所の力を使って行う。」ということなのかなと、思います。

 この話、橋下知事が市井の一個人であったり、草の根の市民活動から出てきた話であれば、多少は頷けます。
 でも、橋下知事は、大阪府知事の立場にある人です。大阪都構想自体、太田前知事の時代に、大阪府の政策として、打ち出されたもののはずです。
 橋下知事には、大阪府の政策として大阪都構想を進める方法は、いくらでもあったはずなのです。そして、橋下与党の大阪維新の会が推進するので、全然、構わないはずです。
 それで、何か問題があるのでしょうか。府議会に責任を負わなければならない程度のことしか、わたしには思いつきません。

 大阪都構想を大阪府の政策として進めた方が、府民・市民にも、ずっと分かり易いです。
 大阪府の役所の力を使って、ずっと具体的な大阪都構想案だって、十分に作れるでしょう。(役所の力を使うといっても、5〜20人程度のチームを作って、必要資料があれば、各部署へ請求する程度のことかと思います。)
 少なくとも、大阪都構想と無関係としながら、大阪府自治制度研究会を作り、事務局という名前で、府の職員を使って「大阪にふさわしい新たな大都市制度を目指して」の「中間とりまとめ」を作らせ、たまたま方針が合致するからと、大阪維新の会の政治方針として使用するといったような、あからさまなことは、しないで済みます。

 橋下知事は、大阪都構想の具体化に役所の力を使えないのではなく、使わない方法を選んだだけのことです。

 しかも、「役所の力が使えないから、詳細な設計ができない。」ということを奇貨として、メディアなどで、大阪都構想についての制度説明を減らしているようにも、感じます。
 このブログでよく、7月末に橋下知事が毎日放送「ちちんぷいぷい」に出演された時の発言を引用しています。これは、このブログに全文記事を載せていて利用し易いこともありますが、8月末に橋下知事が出演された2番組では、出演時間はそれ程変わらないのに、制度説明がずっと浅くなっているためです。10月に参加した城東区のタウンミーティングでも、この傾向は変わりません。

 前回記事のコメントで頂いたところによると、大阪市議会で共産党の市議さんが、大阪都構想の概要設計の想定と、各都区へ与える財務上の影響についての試算を発表されたのだそうです。
 共産党はずっと野党ですから、市役所の積極的な協力があったとは思えません。公表情報や普通に請求して入手できる程度の情報だけで試算したのだと思います。
 議員さんの力だけでも、この程度のことは、十分にできるのです。

 多分こういうと、橋下知事は、既存政党は政党交付金をいっぱい貰ってるからできるのだというのでしょう。
 でも、大阪都構想を看板にしたシングルイシューの政党が、その政策で他党に遅れを取るようでは、どうしようもないでしょう。

 橋下知事は、「大阪維新の会は、個人がやっているもので、制度設計を全部やるのは、無理だ。」と語ります。
 でも、できない中でも、精一杯の制度設計を行い、できる限りの説明をしようとしているのか、役所が関われないということを言い訳に、選挙前に具体的な制度設計を提示して議論することを回避しようとしているのかは、何となく伝わってくるものです。

 大阪都構想の具体像を示さずに統一地方選挙に臨むことは、橋下知事や大阪維新の会にとって利益になるのかもしれません。けれども、それは、府民・市民にとっての利益を考えての対応だとは思えません。


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