2013年02月19日

大都市制度検討会の財源調整資料の明細と政令市業務の一般財源額(参照用)

 今回は、大阪都構想が嫌な訳(その2)「大阪都構想は、住民サービスが低下しそうなので嫌だ」を書くための情報整理です。
 他記事の情報の詳細説明のための記事であり、これだけを読む記事にはしていません。標題の内容に特に興味があるという方だけお読みください。


府協議会A.jpg
府協議会B.jpg
府協議会C.jpg
府協議会D.jpg

 この資料は、第4回大阪府議会大阪府域における新たな大都市制度検討協議会(元ページ)に座長資料として提出された、財源配分モデルの資料(元資料)です。
 このうち、一番上のA−Aの都制度を前提とした財源調整の資料を使いたいのですが、歳出側に歳出額明細がありません。そこで、この資料を基に、歳出額明細を推測していくことにします。

(1)C【現行制度どおり】の大阪市の歳出(一般財源ベース)8782億円は、大阪市の平成21年度決算カードの歳出の充当一般財源等の合計額8781.8億円と一致します。つまりこの資料の数字は、決算カードの数字と同じベースの数字が使われていることが確認できます。

大阪市の平成21年度決算カード(元データ)(参照元サイト
大阪市平成21年度決算カード.jpg

大阪府の平成21年度決算カード(元データ
大阪府平成21年度決算カード.jpg

(2)A−Aの歳出(一般財源ベース)の広域自治体(18522億円)と特別区(7458億円)の合計25980億円は、大阪府と大阪市の平成21年度決算カードの歳出の充当一般財源等の合計額欄を合わせた額25980.4億円(大阪府17198.6億円、大阪市8781.8億円)と一致します。
つまり、A−Aの歳出(一般財源ベース)の広域自治体の18522億円と特別区の7458億円は、大阪府と大阪市の歳出(一般財源ベース)を振り分け直しただけで、(例えば、大阪市の特別区への分割による歳出額の増のような)振り分けに伴うそれぞれの項目の歳出額の増減は想定していないことが分かります。

(3)A−Aの特別区の歳出7458億円とCの大阪市の歳出8782億円の差は、1324億円です。A−Aで、大阪市から広域自治体へ移された業務は、「政令市権限(中核市権限を除く)」と「広域が行う基礎自治体事務」ですから、この2つの事務の合計額が1324億円と分かります。

(4)Bの分割市の歳出8452億円とCの大阪市の歳出8782億円の差は、330億円。分割市の中核市権限と大阪市の政令市権限の差は「政令市権限(中核市権限を除く)」ですから、「政令市権限(中核市権限を除く)」は330億円であることが分かります。
また、「政令市権限(中核市権限を除く)」と「広域が行う基礎自治体事務」の合計が1324億円ですから、「広域が行う基礎自治体事務」は994億円であることが分かります。

(5)D【交付税+独自調整】の表は、大阪市の中で配分しただけなので、市(本庁)の歳出2370億円と行政区の歳出6412億円の合計は、C【現行どおり】の歳出8782億円と一致します。
 Dの市(本庁)の2370億円は、「政令市権限(中核市権限を除く)」と「一体的に処理する事務(既発公債の償還)」の合計ですから、「一体的に処理する事務(既発公債の償還)」が2040億円であることが分かります。
 なお当然のことですが、Dの行政区の中核市権限6412億円とBの分割市の中核市権限8452億円の差は2040億円で、「一体的に処理する事務(既発公債の償還)」の2040億円と一致します。

 以上により推計した項目額をA−Aの表にはめ込むと、次の通りです。
大都市制度検討協議会財政調整資料(A−2明細入).jpg


 上の表の項目額の中でも、政令市権限(中核市権限を除く)の330億円というのは、重要な数字なので、他の資料からも、確認をしておきます。

(他資料1)
 大阪府で平成22年4月から平成23年1月に都市制度(大阪都構想)の議論を行った大阪府自治制度研究会でも、第9回会議(元ページ)で財政調整の試算を行っており、次の資料(会議資料の資料4「5 財政調整等について」のPowerPointファイルのP16)で「権能差に関わる需要額(約361億円)・収入額(約120億円)は控除した上で按分を行った。」としています。
大阪府自治制度研究会財政調整資料平成20年度ベース.jpg

 この「権能差」というのが、議事録(第1部P13〜14)から「政令市権能分」と分かります。
 こちらは平成20年度ベースですが、政令市業務に関する基準財政需要額が、約361億円としていることが分かります。


(他資料2)
 大阪府市と府議・市議が集って協議を行う「大阪にふさわしい大都市制度推進協議会について」(大阪府の参照ページ)の第6回(2012年9月10日開催)に提出された次の資料があります。(元データ
大阪市一般財源の中核市相当・特例市相当比較 平成22年度.jpg

 この資料の中で、平成22年度の大阪市の基準財政需要額は5986億円、中核市相当とした場合の需要額の試算が5627億円とされているので、差額(政令市業務部分)は359億円。
 ただ、この資料では、基準財政需要額に含まれない一般財源額も、同じ割合で政令市(中核市相当を除く)の歳出と中核市相当の歳出に分けられるという想定で、一般財源額全体を按分した数字が挙げられています。この試算では、大阪市の一般財源額8919億円に対し、中核市相当の一般財源ベースの歳出額が8384億円となり、差額(政令市業務部分)は535億円。


 このふたつの資料から見ると、大都市制度検討協議会の財政調整資料A−Aに挙げられた政令市権限(中核市権限を除く)の330億円の推計は、政令市業務に関する基準財政需要額から数字を持ってきたとみると妥当です。
 ただ、基準財政需要額に含まれない部分も按分するとして、535億円という解釈もありえるということが分かります。
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2013年02月27日

特別区の予算や財源配分の説明の変遷(参照用)

 今回も、大阪都構想が嫌な訳(その2)「大阪都構想は、住民サービスが低下しそうなので嫌だ」を書くための情報整理です。

 過去に特別区がどの程度の予算額などを持つと説明されてきたか、わたしが知っているものを並べてみます。

 2010年6月の大阪維新の会の生野区のタウンミーティングで橋下市長は、次のような説明をしています。(要約をしています。元の発言は、コチラから。

「生野区の人口は13万8千人。池田市、箕面市、富田林市、河内長野市、門真、守口、この辺りの10万人ちょっとのこの規模の市町村では、選挙で選ばれた市長の下に、380億円位の予算権限があるんですよ。生野区のことは生野区で決める。自分たちで区長を選んで、生野区議会議員を選んで、380億くらいの予算の使いみち決めたらいいじゃないですか。」
「福島区は6万人いる。6万人もいれば、180億円の予算の使いみちを、自分たちで決めてる。」

 この説明の中では、生野区長の裁量予算1億8千万円と比較して凄い予算が使えるようになると強調しますが、当時の大阪市の市民1人当たり予算額は約60万円。人口13万8千人なら800億円以上の予算が投入されてることになりますから、380億円というのは、かなり控えめな数字です。

 2010年10月に大阪維新の会の城東区でのタウンミーティングに参加した時は、大阪市を8つの特別区(30万人規模)にするとして、各特別区で500〜600億円の使いみちを決めたらいいと説明をしていました。

 2011年1月に統一地方選に向けて大阪維新の会は発表したマニフェストの中では、「数百億円の予算の使い道は区で決めることができるようになります。」とされました。(元データ 大阪維新の会マニフェスト2011年1月27日のダウンロード版)
 ただ、「中核市並み」とした30万人規模の特別区の予算が「数百億円」では見劣りすると考えたのか、2011年2月以降(9月頃まで)、橋下市長がTV出演時などに口にする特別区の予算は「1000億円程度」になります。

 ただ、当時の大阪市の予算額を24区で平均すると約650億円、特別区を3区相当とすると1950億円。政令市固有の業務の予算を除いたとして1850億円程度の予算を投入しているので、特別区の予算「1000億円程度」は、やっぱりかなり控えめな数字です。

※大阪市の予算から、行政区3区相当の特別区への予算投入額1850億円を試算する詳細は、後日、参照用記事で説明します。(この記事からもリンクする予定です。)


 2011年9月、大阪府議会の「大阪府域における新たな大都市制度検討協議会」(元ページ)へ大阪都構想時の財源配分を考えるための資料が提示されました。
 この資料は、歳出と歳入の切り分けをセットにして見るもので、東京都的な財源配分(業務配分を大阪都構想、財源配分を東京都ベース)を行うと、特別区は1850億円の歳入不足になると示されました。(元データ
(元資料では、歳出側の数字がないため、補完しました。詳細は「大都市制度検討会の財源調整資料の明細と政令市業務の一般財源額(参照用)」を参照。)
大都市制度検討協議会財政調整資料(A−2明細入).jpg

 この同時期に、大阪維新の会は、2011年11月の知事・大阪市長のダブル選マニフェストに関するプレス発表を行い、「税財源は、地方交付税などを都に39%、区に61%に配分すれば、中核市並みの運営は可能と試算した。」と報じられました。(元記事
 このプレス発表の元となったのが、大阪都構想推進大綱(案)(VER1.02 平成23年9月10日)で、この中では次のように書かれています。(元データ テキスト版
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
5.財源・人員体制問題(元データ
 政令指定都市を廃し、その内に特別自治区を設置することで懸念される財源・人員体制問題は、全て制度の構築で解決される。
 特別自治区には中核市並みの財源を保障する。現在大阪市が提供している住民サービス分の財源は特別自治区に保証する。
 特別自治区間の税収格差問題は、基礎自治体間の財政調整制度として現在唯一存在する東京都区財政調整制度を参考に新たな大阪都区財政調整制度を創設すれば解決できる。大阪市に交付される交付税、固定資産税、法人市民税、特別土地保有税を財源とし、その61%を特別自治区に配分すれば、各特別自治区は中核市並みの財源を有することになる。現在の大阪市役所体制が各区の財政調整を担っているが、より透明性の高いルールの下、各区民の意思がしっかりと反映する新たな大阪都区財政調整制度を創設する。
 各特別自治区の職員数は中核市の職員数を基本とするが、現在の大阪市の職員数で十分賄える。

(中略)

2.中核市並みの権限を有する基礎自治体としての特別自治区
(1)区長
特別自治区の長である区長を置く。区長は特別自治区の住民が直接選挙る。
特別自治区制への単純な住民参画・住民決定という理由だけではない。特別自治区の権限と財源は中核市並みとなる。現在の行政区と異なり、特別自治区は規制行政の許認可権の行使、報告徴収、立ち入り検査、また行政代執行や被虐待児の一時保護等の強い強制力の行使を権限として持ち、財源も1000億円規模を扱う。そして何より特別自治区は課税自主権を有する。これほどの権限と財源を有する組織の長は、選挙によって選ばれる職であることは当然である。

(中略)

(7)税財源(元データ
A各特別自治区の財源として、旧大阪市が各行政区に投じている金額分(各区平均650億円)は最低保障し、さらに中核市並みの財源を保障すること。
--------------------------- 引用終了 ---------------------------
ここでのポイントを3つ挙げます。
〇特別区は、中核市程度の財源を持ち、中核市の職員数で住民サービスを行うとしていること。
(「現在大阪市が提供している住民サービス分の財源は特別自治区に保証する。」という表現もあります。ただ、「各特別自治区の財源として、旧大阪市が各行政区に投じている金額分(各区平均650億円)は最低保障し、さらに中核市並みの財源を保障すること。」という表現もあり、特別区は大阪市の行政区3区相当とみると、特別区は650億円×3=1950億円が最低保障されているはずですが、区長は「財源も1000億円規模を扱う」と矛盾しまくりです。)
〇調整用財源とする市税の税目などを明確にし、61%と特別自治区への配分率を明記したこと。
〇特別区の予算規模を1000億円と明確にしたこと

 ただ、ここで示された財源配分を上の表に当てはめると、次のようになります。
大都市制度検討協議会財政調整資料(A−2 61%配分).jpg

 大阪市から大阪府へ、調整財源と都市計画税・事業所税を合わせて約2400億円の財源を移管する(その他、地方譲与税やその他一般財源も減少)のに、業務移管は政令市権限と「広域が行う基礎自治体事務」の合わせて1320億円で、特別区側で1000億円以上の財源不足となります。

 勿論、この歳出・歳入の比較表を持ち出してきたのは、維新側ですから、辻褄合わせは考えてあったようで、次のように配分するのだと、府議会の大都市制度検討協議会へ出してきました。(元データ 大都市制度検討協議会報告書 大阪維新の会大阪府議会議員団の見解より)
大都市制度検討協議会財政調整資料(D変形 維新案).jpg

 つまり、政令市権限330億円に加えて、大阪市の「既発公債の償還」2040億円を大阪府へ移管するから、2400億円の移管をしても特別区に財源不足は起きないというのです。
 ちなみに、既発公債の償還で2040億円も大阪府へ移してしまったので、「広域が行う基礎自治体事務」としていた994億円が無くなってしまいました。

 「大阪市の市債を全て大阪府が引き受ける」という奇策で、「特別区に(現状の大阪市より遥かに少ない)中核市程度の財源配分」と「業務と財源の移管額を一致させる」の辻褄合わせをしたのですが、辻褄合わせに過ぎませんから、問題と矛盾があります。

 大きな矛盾としては、大阪都構想推進大綱の示す財源配分は、特別区は1000億円の予算を持ち、中核市程度の住民サービスを提供するとして設計しています。
 これに対し、「既発公債の償還」を移管するとして辻褄合わせをした財源配分表は、特別区は1600億円程度の予算(3区相当の特別区に対し、現状予算1850億円投入されてるなら、公債の償還2000億円÷8=250億円を引くと1600億円。公債償還は、予算額と一般財源ベースでほとんど差が無いことから、こうなります。)を持ち、(借金の返済だけ大阪府に任せるので)1850億円の予算を持ってるのと同等の住民サービスを提供するというのです。
 ちなみに、大阪都構想推進大綱は、特別区は、中核市並み1000億円規模を前提とした職員数にするとしていますから、予算が1600億円あっても、その規模の住民サービスを提供するには職員が足りません。

 大きな問題としては、「既発公債の償還」相当の財源を、調整財源の一定割合で移管するとしていることです。
 以前の記事「続・大阪都構想『特別区の税財源は61%の配分率で大丈夫!』を読み解こう」で整理していますが、簡単に言うと、月5万円の自動車のローンを知人に肩代わりしてもらう替わりに、その知人に今後ずっと月5万円を支払い続けるという契約をするのと同じです。
 しばらくは、直接ローンを支払ってるのと同じですが、自動車のローンが終わっても知人への支払いは続きます。自動車を買い替えて、新たな自動車ローンを月5万円組んだとすると、支払いは知人への5万円に加えて、新たな自動車ローンの5万円となり、10万円の支払いが必要になります。

 辻褄合わせなので「何だかなぁ」という話なのですが、これが知事・大阪市長のダブル選マニフェスト別添の「大阪都構想推進大綱」の前提となっている議論で、現状、最も公式に示されている大阪都構想の財源調整の説明です。
 なお、上で引用したのは、2011年9月にプレス発表した際の検討中の「大阪都構想推進大綱」で、正式のマニフェスト別添「大阪都構想推進大綱」では、次の表現になっています。
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
5、財源・人員体制問題(元データ
 政令指定都市を廃し、その内に特別自治区を設置することで懸念される財源・人員体制問題は、全て制度の構築で解決される。
 特別自治区には中核市並みの財源を保証する。現在大阪市が提供している住民サービス分の財源は特別自治区に保障する。
 特別自治区間の税収格差問題は、基礎自治体間の財政調整制度として現在唯一存在する東京都区財政調整制度を参考に創設する新たな大阪都区財政調整制度によって解決する。大阪市に交付される交付税、固定資産税、法人市民税、特別土地保有税等を財源とし、その約6割を特別自治区に配分すれば、各特別自治区は中核市並みの財源を有することになる。現在の大阪市役所体制が各区の財政調整を担っているが、より透明性の高いルールの下、各区民の意思がしっかりと反映する新たな大阪都区財政調整制度を創設する。
 各特別自治区の職員数は中核市の職員数を基本とするが、現在の大阪市の職員数で十分に賄うことが可能である。

(中略)

2.中核市並みの権限を有する基礎自治体としての特別自治区(元データ
(1)区長
 特別自治区の執行機関として区長を置く。区長は特別自治区の住民が直接選挙する。


(中略)

(7)税財源(元データ
A各特別自治区の財源として、旧大阪市が各行政区に投じている金額分(各区平均650億円)は最低保障し、さらに中核市並みの財源を保障すること。
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

〇調整用財源とする市税の税目を「交付税、固定資産税、法人市民税、特別土地保有税『等』」と「等」を入れることで不明確にし、特別自治区への配分率を「約6割」とぼかしました。
〇区長が「財源も1000億円規模を扱う」という表現も無くなりました。

 他の部分の表現を見ても、基本の考え方が変わったとは見えませんから、財源配分が何か変わったといより、財源配分を特定できないように表現をぼかしたように思います。


 2012年9月、大阪府市と府議・市議が集って協議を行う「大阪にふさわしい大都市制度推進協議会」の第6回(大阪府の参照ページ)で示された財源調整案が、直近のものだと思います。
 ただ、橋下市長が説明の冒頭で「これはあくまでもシミュレーションといいますか、そういうものです。」としていますから、「その程度の話」として受け取っておくことが、肝心です。

 財政シミュレーションは4パターンありますが、ここでの捉え方でいうと、調整財源に都市計画税・事業所税を含めるか、含めないかの違いなので、調整財源に都市計画税・事業所税を含めたDパターンを例に見ていくことにします。(元データ
ふさわしい大都市制度推進協議会 財政シミュレーション.jpg

 この資料の財源配分の考え方は、今までのものと比較すると随分とマシです。
 大都市特例事務(これまでの資料で、政令市権限(中核市権限を除く)と呼んでいたもの)の190億円の移転は、譲与税や地方交付税の移転で賄う。(つまり、基礎自治体財源の移転対象とはしない。)
 基礎(自治体業務)からの事務移転に対応するものとして、1720億円の移転を行い、この部分は調整財源からの配分を受けるというものです。

 ただ、財政シミュレーションの前提条件として、「事務配分」について次のように書かれています。(元データ
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
事務配分
広域と基礎間で事務の再配分がなされても、財政調整機能が働くかをシミュレーションするため、以下の事務を仮定に試算
・政令市として実施してきた大都市特例事務が大阪都へ移転
・東京都に準じた事務(消防、上下水道、公営企業、大学)と公債費の三割(大阪市の債務を広域と基礎の役割に応じて割り振った場合を仮に想定[大阪府自治制度研究会資料より])が大阪都に移転し、その財源を財政調整制度の中で移転すると仮定して試算
(財源額は把握可能な範囲で行っており、具体の事務範囲を示したものではない。)
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 この書き方からすると、既発公債のうち広域分だからと移管する分の償還財源を、「基礎からの事務移転1720億円」に混ぜ込んであるようです。公債費の3割とすると、予算ベースで667億円、一般財源ベースで589億円、概ね600億円が、実は広域分として移管のようです。(公債費が掲載された平成22年度決算カードはこちら

 例えば、港湾投資の公債残高があったとして、(堺市のように、中核市が政令市になって、府県から港湾事業の移管を受けるとして)事業とセットで公債残高の移管も受けるのか、公債の移管は行わないのか、わたしは把握していません。
 でも、もしセットで移管するものならば、大都市特例事務部分が基礎自治体財源に移管対象外としたように、公債の移管も基礎自治体財源の移管対象とならないはずです。もし、セットで移管をしないものならば、大阪府議会の大都市制度検討協議会で、年2000億円の既発公債の償還を大阪府が引き受けるから、基礎自治体財源を2000億円移管しろとした、上記の議論と同じ問題となります。

 また、広域を公債費の3割としていますが、元資料(元データ)を見ると、企業会計を含んだ合計が30.8%で、ここで議論すべき普通会計だけでは広域の割合は19.0%です。
 どうも、もっともらしい理由を付けて、府への財源移転額を膨らませたいようです。

 こうなってくると、基礎からの事務移転1720億円から、公債費の3割600億円を除いた1120億円も怪しくなってきます。
 例えば、東京都に準じた事務だとして挙げてる「消防、上下水道、公営企業、大学」も、消防や上下水道が基礎自治体事務でしょうけど、公営企業や大学って、基礎自治体財源を付けて引き渡すような「基礎自治体事務」なのでしょうか?

 例えば、これまでの財源調整案の政令市権限(中核市権限を除く)330億円に対応すると思われる大都市特例事務は、譲与税や交付税の移転で対応させるとなったら、急に190億円になってしまいました。同じ資料の中で、政令市権限の一般財源額は、基準財政需要部分で359億円、その他を含むと535億円だとしてるのに。(同じ資料で政令市権限の一般財源額を挙げているページ ただし、直接書かれていないので、政令市権限の一般財源額の読み取り方を解説した記事(記事の終盤を参照))
 政令市権限の一般財源額359億円(または535億円)と大都市特例事務190億円の差額は、どの項目に含まれてるのでしょうか?

 色々と、疑いたくなってしまいます。

 しかも、大阪市を特別区に分割することで200〜800億円のコスト増になると(元ページ)しながら、「これまでの高コスト体質を改善すれば十分対応が可能」として財政調整上対応しない(元ページ)としてるのは、大阪市の現在の住民サービスの維持をきちんと確保しようというより、「特別区の財源に『中核市並み』以上の財源を与えるなんて、多過ぎるんだ」という姿勢がありありと見えてしまいます。(基礎自治体財源って、市民がその基礎自治体で住民サービスを受けるために支払う市税などですから、市民が「多過ぎる」と思って減税を求めるならともかく、大阪府が巻上げて「多過ぎるから、一部だけ与えてやる。残りは大阪府使ってやる」なんてものでは、無いんですけどね。)


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