2015年02月26日

(論点1)二重行政の無駄解消って、どれくらい?

 大阪都構想というと「二重行政の解消で、行政の無駄を無くす」と語られます。でも「それって、どれくらい?」というと、よく分からないという話も少なくないようです。
 スパっと整理とはいきませんが、わたしなりの意見を書いてみます。

 「二重行政の無駄って何?」という話自体が、最近の橋下氏の話って、分かり難くなってるようなので、大阪都構想を言い出した当時の橋下氏の説明に戻ってみます。

大阪維新の会 生野区タウンミーティング(2010.06.22)から一部抜粋
http://kiziosaka.seesaa.net/article/414671376.html
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
大阪都構想のもう一つの重要なメリットはね、無駄の排除、これもね、少々の無駄の排除じゃないですよ。もう、それこそ、みなさんね、「びつくり」、びっくり通り越してね、「びつくり」状態になるくらいの無駄の排除ができますよ。

 どういうことかと言えばね、体育館から何から何まで、もう全部、大阪府と大阪市は別々に作ってる。(中略)

 大学、東京でも、首都大学・東京、ひとつですよ。大阪府は、府立大学と市立大、しかもこれ、総合大学ふたつ持ってる。(中略)合わして230億、40億の金を注ぎ込んでる。一方東京の方は、財布をひとつにして、ひとつの大学を運営してる。170億の運営金でやってるんですよ。

 全部、ふたつ作ってる。これをガッチャンコして、(中略)余ったお金で、福祉や医療、そういう所にお金を回す。これが僕らの構想なんです。
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

2010年7月26日毎日放送「ちちんぷいぷい」より
http://miniosaka.seesaa.net/article/158394208.html
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
何故、市の職員が多いかっていうと、大阪全体のことをやる職員もいっぱいいるからなんですよ。大阪府庁とダブっちゃってるんですよ。
 これ全部一緒にしてですね、大阪の全体のことをやる職員と、住民に身近な職員を分ければね、大阪府庁と大阪市役所、併せて考えれば、職員、もっともっと減らせられるんです。
 で、そのお金を、どんどん、教育、福祉、医療に回せばいいじゃないですか。
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 「大阪府と大阪市で、ダブって同じような事業をしてるから、お金も職員も、いっぱい必要になってる。大阪府と大阪市をひとつにして、大阪府と大阪市の事業をひとつにしたら、お金も職員もいっぱい減らせるから、そのお金を教育、医療、福祉にお金を回す」と。
 とても分かり易いです。

 では、大阪都構想の協定書まで完成して、どの位のお金が出てきたでしょうか?

 2011年12月の第1回大阪府市統合本部会議で、府市の統合で行政コスト・年間4千億円の削減を打ち出しましたが、こんなお金は出てきませんでした。

 2013年8月、大阪都構想で、年間900億円とか1000億円とかの効果額(876億円〜976億円)とぶち上げましたが、この数字は、過去の改革効果額(例えば廃止済みの赤バスの予算削減額や、既に削減済みの職員の人件費など)も、積み上げた金額なので、最近、あまり使ってないように思います。

 最近、橋下氏らがよく使っているかなと思うのは、協定書案の時に出した長期財政推計の財政推計算入効果額(平成45年度時点)の

効果額   年間273億円
再編コスト 年間44億円
差引効果額 年間229億円

という数字です。
 財政推計算入効果額というのは、要するに「今後発生する効果額」ということです。
 平成29年度から平成45年度までの17年間の差引効果額を合計した2634億円、年平均155億円という数字も使われますが、これは平成45年度時点の差引効果額229億円の集計方法を変えただけです。

 ただ、この差引効果額229億円は、地下鉄民営化やゴミ収集民営化など、大阪都構想と関係のない効果額をいっぱい含んると、批判されています。

 批判する野党側は、大阪都構想の効果額は、年間1億円とか、ゼロとか主張しています。「大阪都構想でなければ実現できない効果額」は、年間1億円とかゼロなのだそうです


 ここまでだと、新聞記事に書いてるような話を並べただけなので、ここからは、わたしなりの見解です。

 橋下氏らが使う差引効果額229億円も、地下鉄民営化など大阪都構想と関係のない効果額をいっぱい含んでておかしいと思いますし、野党の主張する「大阪都構想でなければ実現できない効果額」というのも、極端過ぎます。

 このブログでは、
〇大阪府と大阪市の組織統合による効果額
〇大阪市を特別区に分割することによる効果額
・・・の2つを大阪都構想に関係する効果額としてます。

 更に
〇府市の組織統合に伴う効果額に、無関係な効果額が含まれていて分けられないものは、原則、全部を大阪都構想の効果額に分類する。(結構、大きいです)
〇既に実現済みの効果額は含めない。
・・・として考えます。


 これで差引効果額229億円を分類すると、次のようになります。(参照:大阪都構想の効果額から、関係ない効果額を分けてみた

092効果額分類の集計表02.jpg

 この分類だと、大阪都構想の効果額は、(府市統合関係と特別区分割関係を足した)効果額124億円、コスト44億円、差引効果額80億円となります。

 ところで、最初の「二重行政の無駄って、どれくらい?」に戻りましょう。
 「特別区に分割することによる効果額」は、二重行政の無駄解消ではありませんから、二重行政の無駄解消は「府市統合関係」だけで、コスト差引前でも39億円に止まります。

 この39億円という数字は、大阪市の4千億円の事業部分を、大阪府の2兆7千億円の一般会計と統合したにしては、小さ過ぎます。
 二重行政の無駄などなくても、4千億円もの事業部分を統合するなら、数百億円の統合効果くらいありそうなものです。二重行政の無駄が解消されるなら、それより更に大きいはずです。

 大阪市の4千億円の事業部分を統合しながら、統合効果39億円という数字は、通常の類似事業統合の統合効果の捻出にも失敗してるということです。(参照:(補1)大阪都構想の統合効果が悲し過ぎる
 二重行政に関して言えば、「二重行政の無駄が存在するとは示せなかった」または「二重行政の無駄があるとすれば、この案では、その解消などできない」といえます。
 この効果額をもって、「二重行政の無駄が解消される」というのは、無理があります。


(追記1)
 「二重行政の無駄」はともかくとして、大阪都構想の効果額は、効果額124億円、コスト44億円、差引効果額80億円でいいのでしょうか?

 差引効果額229億円の分類としては、そうなるのですが、わたしは差引効果額80億円とは評価しません。
 主に特別区分割の効果額85億円、コスト38億円、差引効果額47億円の試算そのものに疑問があるからです。

 特別区分割で差引効果額47億円という試算では、次の2つが重要です。

〇大阪市一体で行う1兆3千億円部分の事業を、5つの特別区でそれぞれ行うことにして、
(1)ランニングコストのコスト増が年間20億円(0.15%増)に止まる。
(2)所要人員が約15%削減できる。(年間67億円の経費削減)

 でも、どのように試算してるかの内容を見ると、とても信じられるようなものではありません。
(参照1:特別区になった時のランニングコスト試算は、全体の1%しかしていない)
(参照2:大阪市一体の事務を5つに分割して実施すると、所要人員が減るという試算の背景

 例えば、(1)のコスト増の年間20億円って、歳出額で120億円部分(システム経費とビル賃料と議員報酬の3項目のみ)のコスト増試算(16%増)しかしてなくて、試算せずに「増減なし」とした残りの1兆1千億円以上の一部でも、同じような割合のコスト増になれば、数百億円のコスト増なんて、簡単に発生してしまいます。
 勿論、そんなことになれば、大赤字です。

 特別区分割で試算以上のコスト増になると、特別区の財源は増えないので、住民サービスを削って、埋め合わせることになります。

(追記2)2015.04.25
(追記1)の「(1)ランニングコストのコスト増が年間20億円(0.15%増)に止まる」の試算の問題について、「(論点6)特別区のコスト試算は杜撰」で改めて整理しました。こちらも読んで頂けると嬉しいです。


【大阪都構想のまとめ記事】

大阪都構想って、こういうこと

論点1:二重行政の無駄解消って、どれくらい?
論点2:広域行政一元化で、大阪が成長するの?
論点3:特別区になると、住民の意思が反映されるようになるの?
論点4:大阪市民だけが、市税を割いて余分に府財政を負担する
論点5:特別区の行政サービスは低下する
論点6:特別区のコスト試算は杜撰

総論:大阪都構想のメリット・デメリットを見てみたら


過去記事の整理:大阪都構想の議論のかけら
〇橋下氏街頭演説 こういう大阪都構想の説明はいけないと思う・再び(ミニ版)
〇大阪都構想の「事業配分に沿った財源配分」が、大阪市民に損だと思う3つの理由
〇協定書の大阪都構想が出来が悪いのは、こんな所
〇橋下氏の「2200億円は、大阪市域外には流れない。特別会計で管理する。都区協議会がチェックする」に矛盾と思うこと
〇特別区の区議数を、現在の大阪市議と同じ86人にしたのは妥当か?
〇大阪都構想を知るには、協定書を読めばいいのか?

posted by 結 at 03:11| Comment(0) | 概要 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。