2013年09月20日

大阪都構想パッケージ案の効果額仕分け

 前回記事「大阪都構想パッケージ案のコスト論」では、パッケージ案で都構想実現後の経常的なコスト増をどのようにして計算しているのかを見ました。
 「コスト増は年間約130億〜60億円」と報じられますが、それは数項目のコスト増を試算しただけのもので、現状の大阪市を5〜7の特別区に分割して、今まで通りの住民サービスを行う時、必要となるコストの計算はされていないと分かりました。

 今回は、大阪都構想パッケージ案で継続的な効果額として挙げられたものを見ていきます。
 「年間976億〜736億円」と報じられますが、併せて、地下鉄民営化など関係のない項目も詰め込んだ水増しされた数字とも言われます。
 ひとつずつの項目を仕分けして、わたしなりに大阪都構想の効果額ってこれくらいかな?という数字を出してみたいと思います。

 なお、「大阪都構想は、二重行政を解消し、行政の効率化を行う」と長らく語られてきましたが、「二重行政の無駄」があるのならば、ここでの効果額として表れてくることになります。(効果額全てが、「二重行政の解消」という訳ではありません。)

 先に、いくつかの注釈です。
○大阪都構想の効果額とは、「府市の組織を統合することによる効果額」(または、大阪市を特別区に再編することによる効果額)と捉えます。
 より狭い解釈では「大阪都構想でなければ、(大阪府・大阪市のままでは)実現できない効果」というのがありますが、ここでは採りません。
 どのような差異があるかというと、府立病院と市立病院の経営統合が現在、検討されていますが、「大阪都構想でなければ、実現できない効果」と捉えると、府立病院と市立病院の経営統合は、別に大阪都構想が無くても行えるので、該当しません。でも、府市の組織を統合することによる効果額」と捉えるならば、該当します。

○「府市の組織の統合」と直接関係しないものは該当としませんが、「府市の組織を統合することによる効果額」とセットになっていて分けられないものは、全体を効果額と捉えます。区分が難しいと感じるものなどは、できるだけコメントに記載しておきます。

○効果として市政改革プランが挙げられていますが、市政改革プランの効果額は収支見通しなどで既に計上済みで、新たな財源とはなりません。そのため、「都構想効果に仕分け分」は、効果額と別に、財源額を出してあります。市政改革プラン関連の項目は、効果額には計上されますが、財源額はゼロとして扱います。

○人件費削減を整理するためには、人員の異動数を事由別に切り分けていくことが必要ですが、パッケージ案の完全な再現はできませんでした。また、効果額の計算で、アウトソーシングなどの効果額を単純な人員減と区分できていません。
 そのため、人件費削減の効果額(主に全体分)が、パッケージ案の発表より、やや大きめの数字となっています。ご容赦ください。


 まず、大阪都構想の継続的効果は、パッケージ案では次の表で掲げられています。
元データ 元サイト 08-P06)
パッケージ案継続的効果.jpg

 この2つの表の合計額として「年間976億〜736億円」と報じられる訳です。

 これについて、パッケージ案に挙げられてたAB項目等(元データ 08-P08)の各項目、市政改革プラン(元データ)の各項目、パッケージ案の職員体制の再編(元データは後述)を事由別に切り分けたものといった項目別について、「府市の組織を統合することによる効果額」になるか、次の表に整理しました。(巨大過ぎて、ブログに置けなかったので、リンク先をご覧ください。)

効果額仕分けの表へのリンク
<大阪都構想効果額仕分け>


 項目別に仕分けたものを、項目数と効果額で集計したのが、次の表です。
効果額仕分け集計表.jpg

 「年間976億〜736億円」と報じられる効果額に対して、わたしの仕分けでは、年間約100億円が効果額と言えるのかな(財源額としては約73億円)という結果となりました。

 パッケージ案に挙げられている経常的なコスト増は年間約130億〜60億円ですから、この数字のままとして、大阪都構想が黒字になるのか、赤字になるのかは、どちらに転ぶか分からないことになります。
 まして、前回記事で指摘したように、コスト増が極一部の項目だけしか試算されていないとなると、全体のコスト増に対しては、大赤字となります。

 また、効果額・財源額が100億円そこそこなのに、その帰属を大阪府と特別区に分けると、(資料にはありませんが)かなり大阪府に偏ります。
 2013年9月13日の大阪府・大阪市特別区設置協議会(通称、法定協議会)では、大阪市の収支不足年間300億円を全て特別区に負わせるとしていることに対して、特別区が本当にやっていけるのか、本当に予算が組めるのかと、白熱した討論となっていました。

 大阪都構想で巨大な無駄が解消され、年間900億円の効果額が生み出されるならば、年間300億円の収支不足に危機意識を持った議論をするのは奇妙なことです。
 でも、効果額が100億円足らずで、大半を大阪府が持っていってしまい、大阪市の年間300億円の収支不足や特別区に分割することによるコスト増だけを特別区が負うならば、特別区が本当にやっていけるのかと、議論されるのは当然に思います。


(追記)
 上記記事で後述とした、パッケージ案の職員体制の再編の事由別切り分けの元データについて、説明します。

 パッケージ案の人員削減についての効果の元になる数字は、5区案でいうと、この資料(元データ 02-P9)の現員H24年度府市職員数総計29898人と配置数案(標準)の総計26359人となります。
 この数字は、府の事務職員、市の事務職員、市の保健所、下水道、一般廃棄物、小中学校技能労務の職員を合わせた数です。
 この数字の中では、市の保健所、下水道、一般廃棄物の5675人は、現員と配置数案(標準)の双方で変わりませんから、除外をしていいことになります。

 そこで、この資料(元データ 02-P38)の開いた頁と次頁の資料に、次の作業をしたのが下の表です。
○府市の事務職員と小中学校技能労務の職員だけを残します。(府に移管され、配置数に残る461人がダブルカウントになるため除外しますが、誤差の原因と思われます。)
○「基礎→広域」「広域→基礎」「市→一部事務組合」の増減を伴わない部署間異動だけ、先に整理し、部署間異動後の現職員数が整理できます。
○H27年4月再編当初配置数の辻褄合わせのための数字操作を排除します。
職員数の推移整理.jpg

 この表で、
知事部局が、11086人 → 9350人 理由確認ページ(開いた頁と次頁)
市長部局が、10951人 → 9789人
一部事務組合が、651人 → 431人  理由確認ページ(02-P27)
小中技能職員が1535人 → 653人  理由確認ページ(02-P39 *3)
 になることがわかるので、各項目の右に挙げた確認ページで、その理由を確認・整理しました。


・・・もし、この記事を気に入っていただけましたら、お勧め記事のまとめ目次から、他の記事もどうぞ。
   大まかに大阪都構想のことを知りたい方は、まとめブログをご覧ください。
posted by 結 at 03:29| Comment(0) | 概要 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント