2012年08月28日

10ヶ月前の橋下市長の市長選での選挙演説を聴いてみた

 別の調べ物をしてる中で、YouTubeに橋下市長が、2011年11月の市長選の最中、街頭演説をしている動画を見つけたので、見るというか、聴いてみました。
 大阪都構想の説明をする内容で、いつもながらの名調子です。これを聴いて「大阪都構想のことがよく分かった。絶対にやるべきだ!」という人もいるだろうなと、まあ思います。

 内容は主に3つです。(元の演説内容はコチラ。YouTubeへもそちらからリンクを貼っています。)
(1)大阪府・大阪市の二重行政による無駄遣いを解消し、無駄が多過ぎる大阪市役所を徹底的に行政改革して、ダブついた職員も全部削る。そこで生み出したお金を、子ども達や、おじいちゃん、おばあちゃんたちの医療、福祉、教育にお金を回す。これが大阪都構想のひとつの目的。

(2)大阪も日本も、ヒト・モノ・カネがどんどんと逃げ出し、沈んでいってる。ヒト・モノ・カネが集まる都市はみんな1千万人以上の規模。260万人規模の大阪市では戦えない。大阪市役所、大阪府庁、まとめられるところは一つにまとめて、880万人の大都市で、世界からヒト・モノ・カネを呼び込む。これが大阪都構想の二番手の目的。

(3)いっぱい応援をして頂いているが、応援していただいていても、投票に行って頂けない方が少なくない。ぜひ、投票に行って票をください。


 さて、今聞くと、色々と引っかかりが出てきます。特に(1)が色々と変です。

 橋下市長は、市長就任後の2012年2月、2012年度の予算編成方針の説明で、「現役世代を強力にサポートするため、子育て、教育の充実、雇用の創出に力を入れるが、財源は天から降ってこない。市民に応分の負担をお願いする。」(元記事はコチラ)と言い出しました。

 市政改革プランの作成を打ち出した4月には、 「全国の自治体で税収が伸び悩んでいるのに、税金を使う方はバブルの絶頂期から変わっていない。特に大阪市のサービスは手厚く、税収が減ったのに、住民サービスに手をつけられていない。家計では、収入が伸び悩んでいる時は支出を絞り、ぜいたくを改める」(元記事はコチラ)と言い出しました。

 無駄を無くして、医療、福祉、教育を充実すると言ってたはずが、「財源は天から降ってこない」なんて無駄削減を訴えてたことなど無かったかのように、橋下市長の重点施策のために、他の住民サービスを廃止・削減すると言い出します。しかも「お金が足りない」と言い出し、新規施策のための事業費より、他の住民サービスの廃止・削減の事業費の方が、ずっと、多いのです。

 更に橋下市長は、「大阪市のサービスはバブル期のまま」とか「標準レベルに落とさせてください」とか、大阪市民の住民サービスの削減・廃止をまるで当たり前のことであるかのように、語っています。
 市政改革プランの中では、「現役世代重視」と高齢者向け施策の削減・廃止をまるで当然のように打ち出しますが、選挙の時には、高齢者向け施策も充実させると訴えていたのです。

 2012年7月、市政改革プランとして決まった住民サービスなどの削減・廃止は、次のものです。
大阪市の市政改革プランの施策・事業の見直し一覧

 橋下市長は、選挙の時に訴えていた、無駄の削減に失敗したのでしょうか?いえ、それも変なのです。
 もし、「選挙の時に訴えていたように無駄の削減で住民サービスの充実を図ろうとしたが、無駄の削減ができなかった」から、「住民サービスの削減・廃止に財源ねん出を求めた」のなら、時期がおかし過ぎます。

 橋下市長は、就任直後から、様々な施策を打ち出しましたが、それらは検討に着手したというだけで、「無駄の削減ができなかった」と判断をするとしたら、2年目、3年目になってからのはずです。
 橋下市長が、就任から2〜4ヶ月目、最初の予算編成で住民サービスの削減を打ち出したということは、無駄の削減で住民サービスの充実をするつもりなどなく、最初から住民サービスの削減・廃止のつもりだったということです。


 他にも、(1)の話には、その後の現実と食い違う点が少なくありません。
 二重行政で凄い無駄が出ていると強調するのですが、大阪府市統合本部で、大阪府・大阪市の類似事業の統合検討を行った結果は、随分と印象の異なるものです。(この内容は、また別の記事で取上げたいと思います。)

 ダブついた職員を削るという話も、結果はかなり微妙です。
 「大阪市、4年で職員半減」と打ち出しましたが、大半は、地下鉄、バス、市立病院、上下水道、ごみ収集、保育園・幼稚園などの民営化、独立法人化で、基本は人件費が委託料に置き換わるだけです。民営化、独立法人化で、予算が大幅に削減される印象を持つ方もいるかもしれませんが、そうでない事例もいっぱいありますから、結果を見ないと分かりません。
 そして純然たる人員削減は、「大阪市『4年で職員半減』 民営化など徹底、方針表明」の記事(元記事はコチラ)によると、21600人を19350人へ4年間で1割減。これは、大阪市のこれまでの人員削減の取り組みと比較すると、同程度かやや少ない水準です。


 (2)の大阪府・大阪市が統合され、大阪府が880万人規模で行政を行うようになれば、大阪はヒト・モノ・カネが世界から集まる都市になるという話は、府市統合が実現しないと、結果の検証はできません。
 でも、「260万人規模だとヒト・モノ・カネは逃げていくが、880万人規模だと、世界からヒト・モノ・カネが集まるようになる」と、根拠を示さず、決め付けで言ってるだけの話です。(1)の「無駄を無くして、医療・福祉・教育を充実させる」がほとんどデタラメだったことを思うと、あまり信用する気にもなりません。


 橋下市長は、選挙に勝ってきたから、自分が市民の意見を代表するのだとします。
 でも、選挙の時にマニフェストや演説で橋下市長が語ったことと、かけ離れた市政が行われていると感じる時、橋下市長は本当に市民の信任を得ていることになるのかな?と、疑問に思うことがあるのです。

(追記)
 橋下市長の市長選の時の選挙ビラも見つけたので、掲載しておきます。
大阪市長選挙の時の選挙ビラ.png


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posted by 結 at 20:28| Comment(0) | 市政 | 更新情報をチェックする
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