2012年08月23日

区役所ごとの住民サービスの選択って、こういうことになるのかな?

 8月14日(火)の早朝と18日(土)の午後、大阪市内でもかなりの豪雨となり、数百棟の浸水被害や落雷で死者2名、軽傷9名の被害がでました。14日の午前10時ごろに、松井知事がツイッターに、休暇気分ののんびりとしたツイートをされ、「災害発生中に何を考えてる」とツイッターを中心に批判があり、新聞でも取上げられました。

 そこで、今回の豪雨災害にほぼ無視を決め込んでる橋下市長は置いておくとして、各区役所のツイッターでの情報提供がどうなっているか、調べてみました。
 勿論、不謹慎な発言などひとつも無かったのですが、調べた結果は、かなり興味深いと思いました。

 13日の気象警報発令から14日中、それから18日に、各区役所のツイッターアカウントや区長のツイッターアカウントで行われた、気象警報や被害状況などのツイートをまとめてみると、次の通りでした。

北区   なし
都島区  気象警報・注意喚起・被害状況 課題の認識
福島区  なし
此花区  注意喚起
中央区  気象警報・鉄道の運行状況・被災証明発行手続きのお知らせ
西区   区長の一言コメント(被害状況にも触れる)
港区   気象警報・注意喚起・被害状況 海遊館情報
大正区  気象警報・注意喚起・被害状況
天王寺区 気象警報・注意喚起・被害状況
浪速区  なし
西淀川区 なし
淀川区  14日気象警報・注意喚起 18日なし
東淀川区 課題の認識
東成区  被害の視察報告
生野区  なし
旭区   14日被害状況、18日気象警報 浸水被害ゴミ回収のお知らせ
城東区  アカウントなし(8月21日から開始)
鶴見区  アカウントなし
阿倍野区 気象警報
住之江区 気象警報・注意喚起
住吉区  警戒態勢の説明
東住吉区 被害状況・注意喚起
西成区  なし

(元のツイートの文面は、コチラにまとめています。)
(このツイートをまとめるに当たり、大阪市HPのツイッターアカウント一覧のほか、OsakaWatchさんがまとめられた「公募区長が就任へ!ツイッターアカウントの一覧【大阪市民は必見】」を活用させていただきました。)

 わたしがこれを見て思ったのは、「見事にばらばらだなぁ」ということです。
 多分、区役所に判断を委ねられ、市役所からこういった場合の対応は、特に指示が出ていないのでしょう。
 区別の被害の状況はコチラですが、特に各区の被害状況と「気象警報などの情報提供を実施してるか」の関連はないようです。さすがに長居公園で死者の出た東住吉区では、それまで気象警報などの情報提供をしてなかったのに、長居公園の落雷被害の情報提供と注意喚起のツイートを始めましたが。

 わたしは、区役所からツイッターで気象警報や被害状況の情報提供をすることについて、次のように考えています。
〇区役所が一般の区民に、災害情報のような即時性の求められる情報を提供できる、ほぼ唯一の方法
〇区役所のツイッターの情報をフォローという形で常時見ている人は数百人でしかなく、それだけで区民の多数に情報提供できるものではないが、災害時に「区役所が何か情報を出していないか」と思った区民が、区役所へ出掛けたり、区役所へ電話をしたりせず、区役所からの情報を受け取ることができるので、大切な情報提供手段。
〇ツイッターそのものは費用もかからず、気象警報が出された時には区役所で警戒のため人員が詰めているので人手もあるし、情報もある。基本的に、やらない理由がない。

 わたしが勝手に点数を付けるとしたら、気象警報・注意喚起・被害状況の3点の情報提供をタイムリーにやってて、合格点。それに加えて、被災証明の発行手続きや水害のゴミ回収のお知らせ、区長の視察報告や災害についての区長の所見などが適切に加わると、100点とか120点になるのだと思います。
 逆に、「情報提供何もなし」は0点としか言いようがなくて、被害が出てから注意喚起とか、市民に問われてから説明とか、限りなく0点に近い。
 中間になるのは、気象警報はきちんと出してたけど、浸水被害があったのに触れなかった阿倍野区と、14日に被害が出て18日は気象警報をお知らせした旭区と、14日は気象警報のお知らせしてたけど18日はなぜか無かった淀川区かなと思います。
 ざっくりと、合格点6区、合格に不足3区、(ほぼ)0点15区です。

 橋下市長は、大阪市の全ての区が同じ住民サービスを提供する必要がなくて、住民のニーズに合わせて、住民サービスを選択していけばいいと言います。
 このように聞くと、60点〜80点の合格ラインはどの分野でも確保しながら、ニーズの高い部分は、90点、100点、120点を目指して頑張るのかなと思います。

 でも、区役所がそれぞれ独自で行った住民サービスである、気象警報時のツイッターでの情報提供を見ると、上のような感じです。
 わたしは、区役所がツイッターで気象警報などの情報提供を行うことに、(個人ごとの意見の違いはあったとしても)区ごとの住民ニーズの違いはないと思っています。
 それなのに、区ごとにこんなに結果が分かれた理由を次のように考えます。
〇ひとつは、区長の好みかなと思います。区役所のツイッターを、区長が意見を伝えるためのものと考え、区民への情報提供手段と考えなければ、気象警報などの情報を区民にお知らせしようとはしないでしょう。

〇もうひとつは、区役所の組織体制。組織は分厚くなれば、より専門的に担当する人間がいて、しかも何段階かでチェックするので洩れは少なくなります。市役所の危機管理室や広報担当部署などがやっていれば、当然のこととして情報提供するでしょう。
 区役所だと、色んな業務の片手間で担当する人が数人(2〜3人?)。区長を含め、このような災害対応に慣れている人だったり、気の利く人なら、情報提供をしますが、慣れていなくて気が付かなければ、何もしないのです。

 区役所ごとの住民サービスの選択って、住民のニーズによる選択も確かにあるでしょうけれど、住民のニーズと懸け離れたところで、随分と差が出ることがあるようです。それも、60点と90点の違いではなく、0点と90点の違いとして。


 こういう指摘をすると、橋下市長なら次のように言うのかもしれません。
 「確かに、最初は色々と差が付くこともあるかもしれない。でも、公選で選ばれる区長は、住民の声を必死でききます。どこかの区長が良い取り組みをしてるなら、競って吸収し、更に工夫を加えて、もっと良いものにして出してきます。今は、0点と90点かもしれませんが、時を重ねるごとに120点、150点、180点になっていく。競争も何もない、大阪市のままじゃ、ずっと60点のままだ。そんなのでいいんですか?」

 この言葉通りになるためには、区長はスーパーマンであることが求められます。
 この理屈なら、公選首長である大阪市長は、住民の声を必死で聞いて、情報提供の不十分な区があれば、一喝して、全部の区を良くしなければなりません。でも、市長がひとりでそんなことするのは、無理ですよね。
 橋下市長は、よく人口規模を挙げて、260万人は大き過ぎて無理だ、30万人ならできるというのですが、人口規模が260万人の市と30万人の市で、業務の種類は何割も変わりません。260万人の市の市長がひとりでできないことは、30万人の特別区の区長もひとりでは、大抵はできないのです。
 市長、区長がひとりでできないことは、組織の力で行います。組織の力に差があれば、それが住民サービスの差となります。


 橋下市政のように「区役所ごとの選択」を強調するのでなければ、大阪市のような政令市の方が、それぞれが別個の基礎自治体の特別区より、区ごとに行き届かない点があっても解消されやすいです。

〇数区の区長が、気象警報を区民にお知らせした方がいいと気付く話なら、市役所の中の専門部署の危機管理室は、当然気が付くでしょう。気が付けば、危機管理室は、それが専門の仕事ですから、片手間でやってる区役所より、きちんとやり方を考えて、「こうやって」と区役所に指示を出します。

〇区役所も、「各区で住民サービスに差があって当然」の特別区より、「大阪市は基本的に同じ住民サービス」の今の区役所の方が、こういう話には熱心です。「大阪市は基本的に同じ住民サービス」の今の区役所だと、「あっちの区では、こういうのやってるのに、この区では何でできてへんねん」と区民から言われると、言い訳ができないからです。
更に区役所は、自分で手に余るようであれば、市役所の危機管理室に「これはうちの区だけの話じゃなくて、各区統一してできるようにした方がいい話やから、やり方を考えてくれへんか」と下駄を預けることもできます。


 例えば、わたしであれば、この件なら、次のような整理をすると思います。
〇区役所で、情報提供用のツイッターアカウントを作ってください。(鶴見区がありません。)
〇各区へ気象警報などの情報を連絡するのと同時に、大阪市の情報提供用ツイッターアカウントでツイートするので、区役所のツイッターアカウントでリツイートして、区民へお知らせください。(橋下市長になって、大阪市の情報提供用アカウントは廃止されたため、現状はできません。)
〇その他の情報については、各区で必要に応じて発信してください。災害情報と関連して、発信した方が良いものは次のようなものがあります。(災害関連の情報発信例をリストアップ)

 このような整理を行うだけで、区役所ごとに0点と90点の差が出ていた事務が、60点から90点くらいに差を縮めることができます。


 区役所ごとに何をするかを決める特別区は、特に熱心に取り組む案件は、(予算などが現在と変わらないならば)今の大阪市より良くなる可能性があります。
 でも、特に熱心に取り組む案件以外については、区役所ごとの格差は、かなり大きなものになるかもしれません。

 現在のままの大阪市であれば、特に熱心に取り組む案件は、特別区が取り組むより、更に力強く進めることができるでしょう。
 ただ、大阪市全体で特に熱心に取り組む案件以外を、区役所が独自に取り組もうとしてもしても、特別区が特に熱心に取り組む程にはできないでしょう。
 ただし、現在のままの大阪市の方が、どの分野でも安定的に高いレベルでの住民サービスが実現されやすいでしょう。


 同じ区役所の中でも、それぞれの住民サービスで、0点とか90点とか、あまり差が付くような特別区という方法よりも、大阪市という枠の中で、どのサービスでも60点から80点を確保しながら、区ごとに更に上乗せを目指していくような方法の方が、わたしが身近な住民サービスに求めるものには、近いように思っています。


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posted by 結 at 01:12| Comment(0) | 基礎自治体業務 | 更新情報をチェックする
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