2011年10月15日

続・大阪都構想「特別区の税財源は61%の配分率で大丈夫!」を読み解こう

 「大阪都構想『特別区の税財源は61%の配分率で大丈夫!』を読み解こう」の記事が、文章が込み入って読み難くなってしまったので、結論だけを再整理します。「大阪都構想『特別区の税財源は61%の配分率で大丈夫!』を読み解こう」の議論がベースですが、そこから少しだけ、議論を進めています。

 大阪維新の会の大阪都構想推進大綱(案)によると、「特別自治区間の税収格差問題は(中略)新たな大阪都区財政調整制度を創設すれば解決できる。大阪市に交付される交付税、固定資産税、法人市民税、特別土地保有税を財源とし、その61%を特別自治区に配分すれば、各特別自治区は中核市並みの財源を有することになる。」としており、後段の説明から「中核市並みの財源」とは1000億円規模を指すことが分かります。

 大阪府議会の大都市制度検討協議会に大阪維新の会が提出した資料を見ると、大阪市税のうち都市計画税・事業所税813億円が都に移管され、大阪市の交付税、固定資産税、法人市民税、特別土地保有税4159億円を特別自治区間の調整交付金の財源とし、そのうち39%(1623億円)を都の財源にするということが分かります。

 同資料によると、現在の大阪市の一般財源8782億円のうち、2436億円(調整交付金1623億円+都市計画税・事業所税813億円)が都に移管され、その他の一般財源も300億円程度減少するため、特別区に分割された大阪市の一般財源は6068億円に減少することになります。
 なお、この6068億円のうち、その他一般財源に計上されている1300億円は公債発行による収入(つまり、借金)と思われるので、公債収入を引いて比較すると、現在7500億円程度の一般財源が、特別区分割後の大阪市全体で4800億円程度に減少することになります。

 4800億円は、8分割で平均600億円、9分割で平均533億円ですが、特別区の予算規模としては、これに国庫支出金や公債発行収入を加えると、1000億円規模になるということだと思われます。

 大阪市から都へ一般財源2436億円が移転されるのに対して、政令市権限のうち都へ移管される業務は、一般財源330億円に過ぎませんので、特別区の財源は大幅に不足することになります。

 予算規模としては、平成20年度の大阪市の予算規模は1兆5500億円で1区平均650億円。特別区を3区相当規模として1950億円。都へ移管される業務分を差し引いたとしても現在、約1850億円の行政サービスを行っていることになります。
 特別区の予算は、この1850億円規模から1000億円規模へ削減されますから、大幅な行政サービスの削減があると考える方が妥当です。更に、大阪市を特別区に分割することによるコスト増(スケールメリットの喪失)も巨大なものとなりますから、実質はこの金額差よりも更に厳しい状況になると考えられます。

 ただ、特別区が大赤字になって、大幅な行政サービス削減を明らかにしたくないのか、大阪府議会の大都市制度検討協議会での議論では、基礎自治体業務の一部も都へ移管するような案を挙げていましたが、「コレだ!」という案を提示することはできませんでした。
 大阪市議会の大都市・税財政制度特別委員会で大阪維新の会は、大阪市の既発公債の償還2040億円を都側で引き受けるとして試算すると(分割してもコスト増が発生しないと仮定するなら)特別区の財源不足は起こらないと主張しました。
(参考:財源配分試算の資料 )
税源配分シュミレーション01(市大都市特別委員会提出分).jpg
 ただ、この案には次の問題があり、あまり有効な案と捉えません。(大変話を分かりにくくし、問題点が見えにくくなる点で、維新の会にとって有効な案かもしれませんが。)

〇調整財源の61%配分(39%を都へ移転)は既定路線なのに、大阪市の既発公債の償還の都側引き受けは、ただ試算の前提に置いてみただけであり、「これで実施するというものではない」とわざわざ断っている案なので、「だから大丈夫」という話に全くならないものです。
〇この試算では、調整財源が大阪都構想推進大綱(案)の「大阪市に交付される交付税、固定資産税、法人市民税、特別土地保有税」だけでなく、都市計画税・事業所税が加えられているのに、61%配分という結論のみ一致します。「調整財源の61%配分」に辻褄を合せる説明を「単なる試算」としてしただけとしか、評価できません。
〇この案の通り、大阪市の既発公債の償還を都側が引き受けたとしても、当初の数年は試算の通りにうまく行きますが、特別区が発行した区債の償還が始まると(その償還財源を都が握ったままのため)区が行政サービスを削って区債償還の財源を生み出す必要があり、特別区が大赤字になって、大幅な行政サービス削減が必要になる点は、変わりません。
〇この案の通り、大阪市の既発公債の償還を都側が引き受けたとして、当初それでうまく行くのは、特別区の行政サービスの提供規模が1850億円規模のままだからです。大阪都構想推進大綱(案)の示す、特別区が中核市並み1000億円の予算規模、中核市並みの職員数という考え方と明らかに矛盾します。
「特別区が中核市並み1000億円の予算規模」の方が、より基本的な理念であることを考えると、この案はその場しのぎの正当化のための説明と捉える方が、妥当です。


 なお、大阪都移行後の特別区は現状の予算規模1850億円から1000億円程度の削減となり、分割によるコスト増も合わさって、大幅な行政サービスの削減を余儀なくされるという、ここでの結論は、大阪都構想推進大綱(案)で掲げる「現在大阪市が提供している住民サービス分の財源は特別自治区に保証する」の主張と、矛盾するように見えます。
 ただ、わたしは、大阪維新の会のいう「大阪市の現状の住民サービスの財源保証」を次のように捉えるので、矛盾しないと考えています。
〇まず、大阪市が独自に提供する行政サービスのみ抽出します。多分、数十〜数百事業で数百億円の規模と思われます。(ここでは、仮に400億円規模とします。1特別区50億円。)
〇独自の行政サービスを除いて特別区の予算を1850億円から1000億円に削減し、その後、独自サービス分として50億円を加え1050億円にすることで、独自の行政サービスの財源は確保と主張すると考えます。
〇1050億円でどのような行政サービスを実現するかは、特別区の区長と区議会の選択。

 辻褄は合いますが、これで大阪市民の行政サービスが維持されるとは思いません。大幅な行政サービスの削減を余儀なくされると思います。


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posted by 結 at 04:32| Comment(0) | 概要 | 更新情報をチェックする
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