2011年06月25日

橋下知事の堺市・竹山市長への「絶縁宣言」を考える

 6月22日の読売新聞で、次のような記事がありました。

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橋下知事「絶縁宣言」…大阪都否定的な堺市長に

 大阪府の橋下徹知事は22日、自身が代表を務める地域政党・大阪維新の会の会合で、大阪都構想に否定的な堺市の竹山修身市長について、「(対立する)平松邦夫・大阪市長と同じ位置づけだ。一線を引く」と述べ、「絶縁宣言」をした。

 竹山市長は府の元政策企画部長で橋下知事の側近として仕え、2009年9月の市長選で知事の全面支援を受けて初当選した。しかし、今月9日の市議会では、都構想の柱となる区長公選制について、「(区長のもとに設けられる特別区を)別個の基礎自治体と認めることになる。(堺市の)七つの区は一体であるべきだ」と述べるなど、都構想に否定的発言を続けていた。

 橋下知事は会合終了後、報道陣に対し、「政治的には距離を置かざるを得ない」と明言した。

 また、知事のブレーンとされる上山信一・慶応大教授が5月31日付で府特別顧問を辞任し、今月1日から大阪維新の会の政策顧問に就任したことも公表した。

(2011年6月22日23時35分 読売新聞)
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 堺市の竹山市長は、記事でも述べられている通り、橋下知事の元部下(大阪府の幹部職員)で、橋下知事の全面支援で当選した、橋下知事に極めて近い立場の市長のはずです。
 そんな竹山市長と橋下知事の間で、確執が報じられるようになったのは、昨年10月に橋下知事が、堺市を大阪都構想の特別区の区域に含めると明らかにしてからです。

 昨年のやり取りは、旧記事「堺市長が、大阪都参加を躊躇う理由を知りたいな」で書いていますが、橋下知事から「お山の大将になりたがっている」と罵られつつも、竹山市長は大阪都構想について
○大阪都構想は二重行政の解決に有効だが、堺市と府の間に二重行政はなく、堺市に明らかなメリットがない。
○府と大阪市の統合の成果を先に示せ。
とするだけで、大阪市を対象とした大阪都構想へ批判になる発言を避けて、堺市が特別区へ参加することで、どのような問題があるかについて、言及を避けていたように思われます。

 今回の記事を見ると、竹山市長は、市議会で区長公選制について問われ、「(特別区を)別個の基礎自治体と認めることになる。(堺市の)7つの区は一体であるべきだ。」と語ったようです。

 少し補足すると、大阪都構想の柱として、大阪維新の会が主張する「区長公選制」は「区長を選挙で選ぶ」というよりも、新たに設ける特別区をそれぞれ別の基礎自治体(=新市)にするということで、「区長公選制」という表現で堺市の分割を求めるものであり、認められないと語ったということです。
 ごく当然の認識で、財源面の問題にまでは踏み込まない穏当な答弁だと思います。
 ただ、大阪都構想が「堺市を分割するもの」で、堺市にとって問題があると発言した点で、これまでの発言よりも踏み込んだ内容だったと言えます。

 興味深いのは、これに対する橋下知事の反応です。
○まず、「誤解がある」とはしませんでした。
 大阪都構想へ批判を受けた時の常套句になりつつある「誤解がある」としなかったということは、事実認識は一致していると考えて良さそうです。
○それから、「協議し、説得を行う」ともしませんでした。
 自分が送り込んだ市長なのですから、ちゃんと「堺市民のためになる」という理があるなら、説得の相手として、最も期待が持てる相手のはずです。
 「説得する」という選択肢を排除している時点で、大阪都構想が、スローガンや演説で市民を煽って支持を取り付けることはできても、市民の利益を預かる市長から、協力を取り付けられるようなものではないと、自ら認めたといえます。

 結局、橋下知事としては「絶縁宣言」という対処しかできなかったようです。
 2年後の堺市長選には、堺市民のことなど考えず、ひたすら橋下知事に従う候補者を出してくるのでしょうか?

 今回の件で堺市の大阪都構想参加がより難しくなったこと以上に、重要と思うことがあります。
 大阪市が大阪都構想に参加することが「大阪市民のためになる」のか、疑義が生まれるきっかけになりえるからです。

 橋下知事や大阪維新の会の方の大阪市民への説明で、市民へ不利益を及ぼすものとは、説明していません。そして市民に不利益はないとしているのに平松市長=大阪市が頑強に反対する理由付けとして、「大阪市役所という特殊な役所が、既得権を守りたいために反対しているのだ」というレッテル貼りをしてきたのだと思います。

 でも、堺市まで大阪都構想への参加を反対するとなると「大阪市役所という特殊な役所」という説明に綻びが出てきます。今度は、堺市役所や竹山市長に同じようなレッテル貼りを始めるかもしれませんが、不自然さは誰もが感じることになるでしょう。

 大阪都構想へ参加することは、市民にとって利益になるのか、不利益なのか、(よく分からないと逃げずに)大阪市民・堺市民が冷静に考えるきっかけになればいいなと思います。


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posted by 結 at 03:00| Comment(4) | その他 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
  大阪都構想について冷静に考えるためにも、大阪都構想を知る必要がある気がしますが、堺市の竹山市長の大人な反応を見ると、橋本知事の提唱している政策が本当に大阪に住む者の求めるものなのかと悩みます。
こんなコラムを見つけました。
http://www.ritsumeilaw.jp/column/column201106.html
Posted by uk at 2011年06月27日 14:46
ukさんへ

 いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。

 まず、次の市長選・知事選までに、もっと大阪都構想を知る必要があると思いますが、橋下知事や大阪維新の会は今以上の情報を出そうとはしないと思いますし、メディアも(統一地方選での対応を振り返るなら)知事などから出されたコメントを垂れ流すだけで、独自の検証をして報道することは期待できないでしょう。
 結局、大阪都構想を知ろうとすれば、市民ひとりひとりが、自分で考えるしかないようです。このブログも、そんな微力のひとつになればと思うのですが。

 立命館大学の村上弘教授のコラム、ご紹介ありがとうございます。このブログで取り上げたのより、新しい論文も紹介されていたりで、とても興味深いです。こういうのを、もっとたくさんの方に読んでもらいたいですね。
Posted by 結 at 2011年06月29日 02:21
 関西のメディアは橋下知事寄りだなぁ〜と最近つくづく思います。橋下知事の発言だけを一方的に垂れ流して、それに対するコメントが全くない。大阪市民、府民も実際は知事が何をしているのか、ほんとはまったく知らされていないと思います。「橋下さん、なんか知らんけど頑張ってはるやん。」っていう漠然とした支持が大阪市を潰してしまうんだなぁと思います。どうすれば、メリット、デメリットを平等に報道していただけるのか・・・。そろそろ関西のメディアも面白いからじゃなく、報道にあり方に立ち返ってほしいです。
 ここに来る大阪都構想ってなんだ?と疑問を持ち、勉強している人の意見が大半の「なんか知らんけどやってはるやん。」な意見に覆い潰されてしまうのが、ほんとに口惜しいです。
Posted by 北区民 at 2011年07月02日 09:21
北区民さんへ

 「橋下さん、なんか知らんけど頑張ってはるやん。」「無駄なくす言うてんねやろ。そしたら、ええやん。」視聴者どころか、コメンテーターがこのレベルだから、どうしようもないところがあります。
 ただ、4月の選挙以降、橋下知事や維新の会の議員さんの振る舞いが粗雑さを増し、メディアの中の人にも、少しずつは「本当に、ええんやろうか」と感じてる人が増えてくれてないかなと、期待を持っています。

 小さな声の発信が、そういう言葉にならない気持ちを言葉にするための後押しになる・・・そんかことに小さな祈りをこめて、期待しています。
Posted by 結 at 2011年07月04日 03:34
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