2011年06月22日

維新の会市議団が大阪都構想へ2段階方式など提唱(その2)

 前回の新聞記事に関して、2回目です。今回は「地域自治区」についてです。
 記事の中で該当部分のみ、再掲します。

--------------------------- 引用開始 ---------------------------
維新市議団が「合区案」提唱へ 都構想実現へ2段階方式 地域自治区の設置も
2011.5.24 02:00

(略)
 合併の組み合わせは未定だが、合区にあたっては「従来のコミュニティーが壊される」との批判に配慮し、旧区ごとに「地域自治区」を設置することを検討。さらに、地域自治区には自治会単位で代表を選出する地域協議会を置き、地域に密着した教育や福祉などの課題について住民意見を集約するという。

 維新幹部は「2段階方式は選択肢のひとつ。ただ、どういう形になっても現在のコミュニティーを守るために地域自治区制度は導入したい」としている。
(略)
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 前回の「合区・都構想の2段階方式」については相手にしないとしましたが、「地域自治区」については、都構想案に反映可能性は十分あると考えています。理由は(1)特別自治区は、特別区内の体制のことなので、橋下知事は市議らがどのような設計をしても、特に口出ししないと思われる。ただ、そのための予算の配慮まであるとは思いませんが。(2)維新大阪市議団は支援者に、今の24区を無くしてしまうことの理解を得にくいと考えていると思われる。「地域自治区」はそういった支持者へ「今の区の枠組みは守った」と主張するために、ぜひ欲しいと思われる。・・・からです。

 では、「地域自治区」の内容を見ていきましょう。記事から分かるのは、次のことです。
○地域自治区は、現在の行政区の区域ごとに置く。
○自治会単位で代表を選出する、地域協議会を置く。
○地域に密着した教育や福祉などの課題について住民意見を集約する。

 これだけでは何も分かりませんが、それでも考えてみるのが、このブログの趣旨なのでがんばってみます。

 特別区の内部に「地域自治区」を置くとした場合、そのあり方は、かなり極端に分かれるのではないかと思います。

 (今の行政区に近いしっかりとした制度の場合)
 特別区をひとつの市として捉え、30万人規模の市に3つの行政区(=地域自治区)を置くものになります。
 基礎自治体の行政組織も今の行政区単位に置く=今の区役所と区役所制度をそのまま残すイメージになります。この場合の「特別区の区役所」とは、市役所を8〜9に分割したものと捉えるのが近いと思います。

 当然、行政コストと高コストです。今の30万人規模の市が、行政区など置いていないことを考えると、この方式だと、特別区が財政的に立ち行かなくなる可能性が高いと思います。(特別区の中の体制をどうするかで、たくさんの予算を都が付けてくれる訳じゃないですから。)

 (ごく軽い制度の場合)
 自治会組織を特別区全体で統合せずに、現行の行政区の単位のままで残し、特別区の区役所(=市役所のようなもの)は、それぞれの自治会組織から要望を受けるようにするだけ、というのが考えられます。
 この場合、自治会の組織単位が今のままというだけで、特別区(=新市)の政策が地域自治区(=現行の区の区域)単位で行われる訳ではないので、市民の視点で言うなら「それがどうした?」「『区』なんて呼ぶほどのものか?」という話に思われます。
 この場合、どちらかといえば、特別区(=新市)へ大阪市を分割するなら、特別区(=新市)の住民がまとまる方策を考えるべきと思いますから、わざわざ住民の分断を制度化して、どうするの?と思ってしまいます。

 記事からの印象では、維新大阪市議団の提案する地域自治区とは、後者の軽い制度に近いように思います。少し断定的に評するなら、実害は小さそうですが、大した意味もなさそうです。
 名古屋市の地域協議会と比較すると、
・地域協議会の代表って、公選制じゃないの?
・独自の予算は持っていないの?
あるいは、記事から
・住民意見を集約するだけで、決定権はないの?
とか、疑問点が出てきます。今後説明される話なのかもしれません(といっても、大阪都構想の具体化が1年以上進められていないことを思うと、いつになるのでしょうか?)が、今のところ、具体的な権限などが分かる表現はされていません。

 まあ、公選制なんて話になったとしても、町会単位の代表なら、誰かいきがった奴が立候補して信任投票になるよりも、町会長に出てもらう方がマシな気はします。(町会の組織率は?といった問題はあるとしても。)
 また、予算を少額(数千万円〜1億円程度?)持ったとしても、区全体を代表した意見と扱われない以上、平松市長が新設しようとしている、区政会議より格下になるように思われます。(維新の会の方は、違うとおっしゃるのでしょうが。)

 ただ、地域自治区に設けられる地域協議会の制度が中途半端なものになってしまうのは、ある意味、当然に思います。地域協議会がしっかりとした、区政決定の実権を持つことになると、区議会と二重構造になってしまい、どちらが区政決定の主体か、分からなくなってしまうからです。
 基礎自治体の単位を、特別区(=新市)にするなら、住民代表は区長であり、区議会です。それと別の形で代表を出してこようとする地域協議会は、中途半端なものにならざるを得ません。

 この議論の大元のおかしな点は、維新の会の大阪市議さんは、基礎自治の単位は、現行の区の単位が相応しいと思っている(少なくとも、支持者には、そう説明したい)のに、大阪市を分割して新たに作ろうとしている基礎自治の単位(=特別区)が、それよりも遥かに大きなものにしようとしているということです。もし、基礎自治の単位を、現行の区の通り24区にしていれば、地域自治区を設けようなんて議論は、多分出なかったでしょう。
 上の決定で、逆らえないのかもしれませんが、市議さんが市民の代表だと思うと違和感を感じます。

 「大阪市が基礎自治の単位として相応しくないから、分割すべきだ」としながら、基礎自治の単位としてどうあるのが相応しいのか、きちんとした議論をせず、結論だけは先にある。でも、市民に受け入れられにくいから、とにかく「区」と名づけたものを作って糊塗しよう。
 そういったことが、感じられてしまいます。


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posted by 結 at 04:09| Comment(0) | 概要 | 更新情報をチェックする
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