2011年04月25日

大阪市議会 定数削減の影響を試算してみる

 大阪府議選、大阪市議選、堺市議選は4月10日にあった訳ですが、12日にすぐ、大阪維新の会が一番最初に打ち出した政策は、府議定数の現行109から88への削減というものでした。大阪市議会についても、市議定数を現行86から、いったん69へ削減することを検討するとしました。(大阪市議会へは議員報酬のカットも同時に打ち出しています。)

 大阪維新の会は、昨年度も府議は同様の削減、大阪市議は45への削減を打ち出していて、議会への提案としては、議員報酬カットと共に、最も熱心に取り組んでいる項目です。
 新聞などを見ている限りでは、議員定数削減の理由はあまり明確に語られていないようですが「現行の議員定数は過大なので適正数へ削減する。これによって、議員経費を削減する。」ということのようです。つまり、経費削減のためとしているようです。

 今回は選挙結果が出てすぐということもありますので、4月10日の選挙で大阪維新の会が主張する定数削減が行われていたら、ということで、試算をしてみたいと思います。

 試算の対象は、大阪府議会は大変過ぎるので、大阪市議会に絞ります。削減数は、昨年大阪維新の会が、今回の選挙に向けてとして議案の提出を行った45議席への削減(現行86議席)と、選挙後検討するとした「いったん69議席」で考えてみます。

 まず、今回の大阪市議選での各党の得票数と獲得議席数は、次の通りです。
市議会定数削減01.jpg
 大阪維新の会は、33%得票し、38%の議席を獲得しました。ただ、目標としていた、過半数には届きませんでした。

 次に、69議席、45議席へと市議の定数を削減した時、区別(選挙区別)の定数配分は、次のように試算しました。
市議会定数削減02.jpg
 試算の方法は、平成21年10月の推計人口のうち20歳以上の人口を有権者数として使用しました。1議席当りの有権者数を算出し、まず区別の有権者数を上回らないように議席を配分し、残った議席を、区別の有権者数と議席配分数の差が大きい順番で配分するという方法を採りました。

 計算例:69議席の場合、1議席の当りの有権者数は32507人。北区は94506人なので、まず2議席を配分。この時点で各区に56議席の配分がされるので、残り13議席の配分を考えることになります。北区は、有権者数94506人と2議席×32507人の差が29492人。この差を区ごとに比較すると、北区は3番目に多い。13番目までもう1議席配分できるので、北区には1議席を追加して、3議席の配分としました。

 この区別の定数に基づいて、市議選での各党の区別の得票数から、区別の獲得議席を求めていくと、大阪市全体では各党の獲得議席は、次のようになります。
市議会定数削減03.jpg
 大阪維新の会に着目すると、全く同じ33%の得票にも関わらず、現行38%の議席割合に対して、69議席に削減した場合は46%の議席割合、45議席に削減した場合は53%の議席割合を占めることになります。
 つまり、33%の得票のままでも、市議会の定数削減を行うことで、過半数獲得が可能になってくることが分かります。

 また、この試算は33%の得票を前提としていますが、定数を削減すると、各党の擁立数が減るため、維新の会が得票割合を増やす傾向があることは、前回の記事で指摘した通りです。(大阪市内で34議席しかない府議選では、各党の擁立数が少なく、積極的に選びたい党の候補に投票できない結果、同じ有権者に関わらず、大阪維新の会は大阪市内で43%の得票をし、62%の議席を獲得しました。)
 このため、定数削減をした場合の大阪維新の会の議席の獲得割合は、上の試算より更に大きくなる可能性が高いです。

 そして、大阪維新の会の獲得議席割合が大幅に増える分、少数党が排除される傾向が見られます。民主党と共産党は合せると25%の得票があり、減ったとはいえ18%の議席割合を占めますが、69議席に削減すると6%にまで低下し、45議席に削減すると4%になってしまいます。
 これは、選挙区ごとの定数が少なくなる結果、少数の意見(それでも2党で25%です。)がほとんど議会に、意見反映できないことを示しています。

 大阪市の議員1人当たりの議会費は平成18年度で3500万円だそうです。(報酬だけではありません。議会の運営費なども含んだ費用です。)86議席から69議席へ17議席減らすと、とっても単純にいうと一般会計だけで1兆5千億円の予算のうち6億円を減らすことができます。(ただし、議席を減らしても単純に減らない経費も含むので、もう少し削減額は小さくなります。)

 ただ、議会というのは、市民の市政への意見の反映手段です。(例えば、1兆5千億円の使い道をどうするかといったことです。)そして市民として、市政への意見反映を強く望む時というのは、一部の意見かもしれないけれど、ぜひ聞いてもらいたいという時であることは、少なくありません。
 わたしは、色々な影響を省みず数億円の節約に走るよりも、市議会がより有効に機能して、少数意見も含めた市民の意見反映が十分出来るように、検討されることを望みます。

 橋下知事は、強力な発信力で議会改革として、議員定数の削減を行うと語ります。
 けれども、この記事で挙げたような影響(例えば、昨年条例案の提出を行った定数45への削減に成功していれば、今回選挙の33%の得票でも、大阪維新の会の目指す大阪市議会の過半数獲得に成功していたことなど)は、語ってはくれないようです。



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posted by 結 at 03:11| Comment(2) | その他 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は今より大阪市議会の定数削減すべきとは思いません。
 豊中市が36人の議席。すると人口1万で一人くらい。大阪市だと人口を考えるとまさか250はダメだが、今くらいないと少数意見が否定される。
 それより分割区になると、東京の例で行けば9つの区でも合計すると200くらいの総計の区議になる。そんな制度がいいと思えない
Posted by 山中鹿次 at 2011年05月11日 20:48
 わたしも、すべきとは思いません。
 今までの説明の中で、議員定数の削減を経費削減以上の意味で説明されていないように、理解しています。
 議会も、議席数も、本来果たすべき役割を踏まえた議論が必要なのだと思います。
 もし、十分に役割を果たしていないのならば、いかにして強化すべきかを考えるべきで、「今のような議会なら、いくらでも削っていいだろう。」的な議論は、大変危険だと思っています。
Posted by 結 at 2011年05月14日 02:07