2011年03月17日

大阪都構想のイメージ図

 次のイメージ図は、大阪維新の会のマニフェストに挙げられているもので、「大阪都構想のすべて」なのだそうです。
大阪都構想イメージ01.jpg

 大阪都構想を概観するには大切なイメージ図ですが、大枠として捉えるだけとしても、わたしには大阪都構想の半分を示しているに過ぎないと思えます。よく指摘されることですが、財源面が示されていないからです。
 具体像が分からないと言われる大阪都構想ですが、この程度であれば(多少は想像で補う必要はありますが)財源面もイメージ図にすることはできると思います。

 それでもって、「待っていても誰もやってくれないなら、自分でやってみよう!」というのが、今回の記事です。

 最初は、一般的な市町村と政令指定都市(大阪市)の現状の図です。
 なお、この図の構成単位を自治体として捉えると、「区」という自治体は存在しないので、イメージから省きました。
大阪都構想イメージ02.jpg

 この図でみると、政令指定都市が2つの面で、かなりの歪みを抱えた制度であることが分かります。
 ひとつは、府県の仕事の多くの部分を、政令指定都市のエリアでは、政令指定都市が担当すること。
 もうひとつには、政令指定都市は府県の仕事の多くを担当するにも関わらず、財源的には一般の市とあまり変わらないことです。(府県は、政令指定都市のエリアでは、仕事の多くを政令指定都市に任せますが、税金は一般の市のエリアと同様に徴収します。)

 財源の手当が十分ではないのに、なぜ政令指定都市を目指すのかと考えると、府県の意向に左右されず、政令指定都市が住民の要望に沿った行政を行えることに、それだけの価値があると捉えているからかなと思います。(この点についての理論的な議論は、以前の記事「二重行政よりも二重負担」で行っています。)

 例えば、こんな例を聞きました。
 大阪府では、道路補修が住民の要望になかなか追いつかず、資材の費用だけ府に出してもらって、住民自らが補修作業を行うのが府のモデル事業として取り上げられたのだそうです。今度は、河川改修にも、同様の取り組みを行うそうです。美原町(現在は、堺市と合併)の方も、堺市が政令指定都市になって、今まで進まなかった道路の改修が進んだと、喜びをブログに書かれていたのを見かけたことがあります。
 大阪維新の会の府議さんに、大阪都になったら大阪市民もそういう道路補修の心配をする必要があるのかと尋ねたら、自分の区の府議さんに頑張って予算を取ってきてもらいなさいとのことでした。

 大阪市に住んでいると別に意識さえしない行政サービスが、大阪市が政令指定都市だからこそできていることって、あるのかもしれません。


 次に東京都の場合です。
 都制では、表が次の3つになります。
大阪都構想イメージ03.jpg

 都制では、特別区域の市税の一部を都税にして、そのうちの一部を都から特別区へ配分します。
 都と特別区の財源の出入りはややこしいですが、財源配分後の予算と特別区の業務分担は、概ね均衡します。
 東京都は、市税の一部を配分せずに都の財源にしますが、替わりに水道、下水道、消防など「市」が担当する業務の一部を、東京都が担当します。

 ただ、表ではバランスが取れているように書いてますが、特別区は配分が少なすぎるといい、東京都は多すぎると言っています。


 最後に大阪都構想の場合です。
大阪都構想イメージ04_02.jpg
 大阪都では、業務分担の表だけをみるときれいに見えますが、税源は東京都の場合と同様に特別区域の市税の多くの部分を都税とし、財源配分後も、特別区は一般の市より、少ない配分での予算しか持ちません。
 それなのに、一般の市より幅広い(中核市なみの)業務を分担する、非常に歪な構成になっていることが分かります。

 この特別区の予算と業務分担の歪な関係の説明としては、次の2種類の説明がされているように思います。
 ひとつめとしては「政令指定都市の市民が、市税から広域行政の費用を負担する」ことを当然の前提として、今まで政令指定都市が(財源の保障もなしに負っていた)業務の一部を都へ移管するので、そのための財源も都へ移管するという考え方です。

 もうひとつの説明としては、大阪市民・堺市民は、たくさんの市税を支払いながら、「一般の中核市なら、この程度の予算があればいいだろう。」と、その一部分だけを自分の市(=特別区)へ配分してもらうという考え方です。(普通、市町村はたくさんの市税を集めたら、その全てを使って、できる限り身近な行政を充実させます。)

 いずれにしても、大阪市民は、「都」から他の市の市民と同じ広域行政サービスを受けるだけなのに、府税を払った上に、(「財源調整」の過程で)市税の一部も広域行政サービスのために都へ支払います。
 そして、大阪市民の身近な行政は、残った部分の市税だけで特別区が行います。特別区は、一般の市より少ない割合の市税しか財源として持たないのに、一般の市の業務に加えて、本来府県の業務も幅広く担当しますから、大阪市民は支払った税金の割には、貧しい住民サービスを受けることになります。

 「都」は、小さな業務分担でありながら、たっぷりと財源を確保するので、様々な事業を行うことができます。そして、特別区(や市町村)へ財源調整として、予算の配分をしますから、特別区や市町村へ強い影響力も発揮できます。そういう強い広域行政体となります。


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posted by 結 at 04:46| Comment(0) | 概要 | 更新情報をチェックする
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