2011年03月04日

大阪府の行政改革って、メディアイメージと違うかも

 大阪府・大阪市の財政状況について、「大阪府は橋下知事になって、強力に行政改革を推し進め財政再建を果たしたが、大阪市はボロボロだ。」このように宣伝されていると、認識しています。

 ただ、大阪府の財政再建で強調されるひとつが予算の黒字化なのですが、役所の会計って、公債を発行すると(借金をすると)収入になり、公債を償還すると(借金を返済すると)支出になる。つまり、借り入れを増やしてローンの返済を少なくすると、借金は増えていくのに黒字になるという不思議な会計です。
 そんな予算の黒字を強調されると、なんだか疑いたくなってきます。

 少し気になる話を聞いたのですが、平成21年度の大阪府の外部監査報告書の主な指摘事項2点のうちのひとつとして、次の指摘がされてるようです。
大阪府 平成21年度包括外部監査報告書
(上記リンク先 概要版P3です。)
------------------------- 報告書より引用 -------------------------
1.継続・反復して実施している単年度貸付は不当 (監査の結果)(報告書本編65ページ)
府では実態として長期の貸付であるものを、年度末日に一旦全額の返済を受け、翌年度初日に再度貸付を行うという単年度貸付を5法人に対して平成20年度中に1,193億円行っている。
これらの短期貸付は、いわゆるバブル崩壊後の府財政状況の悪化に伴い、府の歳入確保による財源対策の一環として、それまで各法人に長期で貸し付けていた資金の繰上償還を受け、その翌年度以降において単年度貸付(短期貸付)を反復・継続的に実施する方式で対応し、今日に至るものである。府の予算編成上、歳入欠陥とならないように、2日間だけ資金を引き揚げているだけであり、実質的には府からの長期貸付である。
当該単年度貸付については、直ちに是正すべきである。
仮に、平成20年度末に2日間のみ民間金融機関から借り入れている金額を、実態どおり府が継続して長期貸付とした場合(すなわち、過去において短期貸付への切り替えを行わなかったものとした場合)、95,692百万円の府の歳入がマイナスとなることから(ただし、府の追加的な資金負担はない)、平成20年度決算における一般会計決算額は85,298百万円の赤字となる(確定値は10,394百万円の黒字)。
この結果に基づいて地方公共団体財政健全化法に定める実質赤字比率を試算すると、次のようになる。

大阪府実質赤字比率試算.jpg
------------------------- 引用終わり -------------------------

 つまり、府の5法人に対する1200億円の貸付は、会計操作で短期貸付にされているが、実質は長期貸付であり、これを長期貸付として大阪府の決算を試算すると、公表しているような黒字ではなく850億円の赤字になって、しかも、財政健全化法の実質赤字比率は、財政再生基準を超えて、財政破綻状態の判定になるということのようです。
 外野が勝手に大阪府の財政状態を批評してるのではなく、大阪府自身が監査結果として公表してるものですから、かなり重い内容です。

 ただわたしは、このことで大阪府を財政破綻状態と決め付けるつもりはありません。多分、1200億円を長期貸付にしないといけないとなったら、別の手を考えて、財政再生基準を超えるようなことは回避するはずと思っています。
 ただ、長期貸付を年度末に1度返還させて短期貸付を装うというのは、かなりマズイ手法です。そして、この方法が採れないとなると、更にマズイ財政手法の中から、対策を選択することにはなると思います。
 このような望ましくない財政手法を採らざるを得ない状態を、財政再建された状態とは思えません。かなり、宣伝のイメージと中身は違うようです。

 もうひとつ、気になった事例があります。
 昨年の11月と12月に大阪府では、わたり制度の廃止などで、職員給与の引き下げを行うという報道がされました。新聞、テレビともに、それなりに大きく、報じられました。

 その記事のひとつです。
------------------------- 引用開始 -------------------------
月給5.4万円減…橋下知事vs労組、3600人“降格”で激突

 在職年数の長い係長級の大阪府職員らに、実際の職務階級より上級の給与を支給する「わたり」制度の廃止などを盛り込んだ府の公務員制度改革案をめぐり、労使交渉が今月、ヤマ場を迎える。府は11月中の労使合意を目指しているが、わたりが廃止されれば職員約3600人が“降格”、減給になるとされ、組合側は徹底抗戦の構えだからだ。橋下徹知事の就任直後の平成20年には、給与カットをめぐり徹夜交渉の末、府政史上初の交渉決裂に至っており、今回も交渉は難航必至の情勢となっている。

影響は1.4万人に

 府によると、「わたり」制度は、人事ポストが限られるなか、主事級や係長級などを長年務めた職員らの昇給を確保するために慣例になってきた制度。ベテラン主事、係長らに実際の職務階級よりも上のランクの給与を支給していた。
 府では18年度、国の公務員給与制度の見直しに準じて職務階級を見直したが、その際は制度上減給となっても、現在の給与より支給額が下がらないよう保障措置を取った。だが今回、府は全国で初めてその「現給保障」も段階的に廃止する方針を打ち出している。
 その結果、今回の「わたり」廃止では計約3600人が“降格”、減給となり、保障が廃止される職員は、約1万4千人に上る見込みだ。「4級主任」のモデルケースでは、保障の廃止分も加えると、月給は41万1636円から35万7200円となり、5万4436円の減額となる。

 また府は、20年度から3年間の期間限定として実施してきた給与カットを、23年度以降もさらに3年間継続する方針。この給与カットは20年6月、橋下知事も出席しての徹夜交渉が組合史上初の決裂となったため、府は時限的措置として特例条例を議会で議決し、実施に至った経緯がある。

 さらに府人事委員会では、今年度のボーナスを前年度より0.2カ月分少ない3.95カ月分に引き下げるよう勧告している。これも実施されれば、47年ぶりの4カ月割れとなるため、ボーナスをめぐる交渉も難航しそうだ。

 橋下知事は、今議会で公務員制度改革を「大きな柱」と強調。「府民の理解が得られる改革をめざし、大阪からあるべき姿を発信したい」としている。府は人件費カットで捻出(ねんしゅつ)した財源を私立高校生の授業料無償化などにあてる方針で、11月中の労使合意を目指している。だが組合側は「府の提案は、およそまともなものとは言いがたい」と一歩も引かない構えで、2年前の徹夜の攻防戦が再び展開される可能性もある。

産経ニュース2010.11.3 18:00
------------------------- 引用終わり -------------------------

ポイントとしては、
○わたり制度による給与のかさ上げを廃止する。(3600人)
○18年度の給与制度見直しで減給対象者に行っている「現給保障」(今の給与額よりは下げないと保障すること)を段階的に廃止する。(14000人)
○モデルケースでは、月給41万1636円から35万7200円となり、5万4436円の減額となる。
○20年度から期限3年の給与カットを、さらに3年間継続する。
○ボーナスも0.2ヵ月分引き下げる。

 橋下知事の行政改革の目玉として言われることも多い、職員の給与カットについて確認しておきます。
○給与カットは、永続的な引き下げではなく、3年間の期限付きです。
○カット率は給与14〜3.5%、ボーナス6〜4%。ただし、職員の大多数を占める管理職以外の職員は、給与で3.5%又は5.5%。ボーナスは4%のカットです。

 この報道の続報で、わたしの知ってる最終は次のものです。
 途中案のためか、新聞の小さな記事だけで、テレビニュースでは見かけませんでした。(途中案ですが、府側からの回答内容なので、これよりも厳しい内容になることはありません。)

------------------------- 引用開始 -------------------------
人件費カット緩和 大阪府、職員組合に最終回答

 大阪府は20日、在職年数の長い職員らに実際の職務階級より上級の給与を支給する「わたり」廃止などを盛り込んだ府の公務員制度改革案の導入と、人件費カットの3年間延長について、人件費削減幅を緩和し期末・勤勉手当の減額は今年度で終了することを決め、職員組合に最終回答した。税収が増加に転じる見込みとなったためで、削減総額は現行の約350億円から約270億円となる。

 最終回答では、平成20年度から3年間の特例措置として実施してきた給料カットについて、管理職以外は0・5%緩和して減額幅を9〜3%に。ボーナスの減額(6〜4%)は廃止し、23年度から3年間実施する。今回の制度改革で給料が現行より減る職員の給与引き下げは年2%ずつとするが、給与カット期間中は現行額を維持する経過措置を講じる。

 府労働組合連合会(府労連、約1万9千人)は最終回答に妥結の方針で、来月1日の中央委員会で最終決定する。府関連労働組合連合会(府労組連、約2万人)は26日の中央委員会で対応を決定する予定。

産経関西(2011年1月22日 07:24)
------------------------- 引用終わり -------------------------

ポイントとしては、大多数を占める管理職以外の職員に限れば、
○給与カットは、3.5%→3%  5.5%→5%
○ボーナスの4%カットは、廃止。
○わたり制度や現給保障廃止による給与引き下げは、給与カットの期間は行わず、給与カット終了後も年2%ずつの引き下げまでしか行わない。

 どのような印象を持たれたでしょうか?
 わたしは、最初の報道と比較すると、随分慎ましい結果(まだ、結果にすらなっていません。)に思いました。
 府職員の給与カットなど永続して当然と思ってる方から見れば、ボーナスカットは無くしたり、給与を0.5%アップ(カット率の0.5%緩和って、裏返すとそういうことです。)なんて、思いもよらない話かもしれません。

 ちなみに後の記事と同時期に、大阪市の給与カットも、小さく新聞に載りました。管理職以外の職員に限ると、3.2%の給与カットを更に2年継続するそうです。

 大阪府の給与カット3%又は5%と、大阪市の給与カット3.2%を比較するなら、わたしには、大阪府の行政改革が素晴らしく進んでいて、大阪市がダメダメといったようには思えません。(ちなみに、大阪維新の会のマニフェストでは、大阪市の行政改革を断行し、橋下府政が行ったと同様の給与カットをすると謳っています。)
 どうやら、メディアなどから伝わってくるイメージだけじゃなく、一度は、自分の手で検証してみる方がいいようです。

 次回は、力及ばずな点は出ると思いますが、大阪府の橋下行革と大阪市の行施改革を比較できないか、挑戦してみたいと思います。


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posted by 結 at 04:14| Comment(0) | 財務 | 更新情報をチェックする
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