2011年02月24日

橋下知事は「設計図だけでも作らせて」と言うけれど(その2)

 前回、4月の選挙から住民投票までのプロセスを整理した中で、「4月のの統一地方選(府議選と市議選)で過半数獲得が決まったら、5月以降、大阪府の職員で大阪都構想の設計図の作成を開始する。」という部分も、結構、矛盾があるように思っています。

 大阪府知事としての橋下「知事」は、大阪都構想をどうするか、決めていないということは、お気づきでしょうか?(2月21日の府政運営方針で橋下知事は「府レベルの広域自治体と市町村レベルの基礎自治体が有効に機能するよう新たな設計図をつくり上げていく必要がある」として、初めて知事として大阪都構想らしきことに言及しました。ただ、大勢に影響はなく、ややこしくなるだけなので、ここではあまり重く捉えません。)
 「そんなバカな。」と思うかもしれませんが、今年の5月以降に府で設計図を作り始めるというのは、案を作り始める程度の決定もこれまでしてこなくて、案を作るか決めるのは、4月の選挙結果を見てからにすると言ってる訳です。形式としては。

 昨年10月に橋下知事は府議会で、「知事として大阪都構想を掲げたことはない。」と発言されてますし、その後(2月21日まで)知事として大阪都構想をどうするかといった発言も聞きません。TV出演時「知事としてではない」という断りも、府の政策なら、本来不要です。
 府研究会の報告書や府の成長戦略を、大阪府で作成して大阪維新の会で便利に活用していますが、、これは大阪府が発表したものを大阪維新の会が勝手に使ってるだけで、大阪府としては大阪都構想を意図したものではないと言っています。公式には。

 橋下知事自身の中で、これまで方針を決めていなかったとも思えないので、何故このような空々しい言い訳をしているのかは、よく分かりません。内容を明らかにしない方が、選挙に有利とか計算しているのでしょうか?
 ただ、府民・市民には、それなりに影響があります。

 大阪都構想の今回の提案(過去にも提案されたことはあったようなので、それは分けます。)は、昨年2月に橋下知事から提案したのが最初だったと思います。大阪府で設計図を作り始めるなら、その時から着手できた訳です。1年掛ければ、橋下知事のいう詳細な設計図には及ばなくても、一定内容の分かる案を整理できたはずです。
 そうすれば府民・市民は(関心さえ持つならば)大阪都構想のかなりの部分を理解して選挙に臨むことができました。
 テレビや新聞でも、もっと内容のある報道ができたでしょう。府民・市民は、もっと参考になる意見も聞けたのではないかと思います。少なくとも朝日新聞の連載コラムのように「よくわからないにゃ」を繰り返す必要はなかったはずです。
 今度の4月の選挙のように、大阪都構想の内容なく方向性の決定のみといい、内容は住民投票で判断してといったような、無茶なことを府民・市民に押し付けずに済みます。

 もうひとつの影響として、スケジュールがあります。
 大阪都の実現まで4年としたのは、4月の選挙で選ばれた府議・市議さんの任期中ということと思います。でも、前々回の記事でも書いたように、このスケジュールには、かなりの無理があると思います。
 1年前から設計を進めていれば、橋下知事が2年という設計期間は(1年短くとは行かなくても)かなり短縮できたはずです。
 実現まで4年というのは、かなりの無理があるだけに、この1年をスケジュールに組み込めれば、都制移行を住民の意思を汲んで行うために、かなり貴重な期間だったはずと思うのです。

 それでも、設計図の作成を始めるには、選挙で府民・市民の意思を問う必要があると主張されるかもしれません。最近の橋下知事や大阪維新の会の方の発言を聞いていると、設計図を作るのも大変な作業で、多くの費用もかかるから選挙での確認が必要なんだといったことをおっしゃっているようです。

 でも設計図作成の着手に、選挙で府民・市民の意思を問う必要があるというのに、できた設計図を実現に移すかを議決する前に、選挙で府民・市民の意思を問わないというのは、何とも不思議な話です。選挙で問うことなく府議会・市議会で住民を代表して議決し「設計図を実現に移す」ことにしたとしても、あとで住民投票があるから構わないという理屈のようです。

 住民投票が地方議会や(一自治体に特別法を適用するような)国会の暴走を抑止するための手段として、重要な役割があるのは分かります。けれども、府や市が重要な決定を議会で行うために、選挙で民意を問う代わりにはならないと考えています。
 ひとつには、市議会・府議会の選挙で問うよりも、単純に過半数を取ればいい住民投票の方が随分とハードルが低いのです。その意味で住民投票は、あくまでも補完的な役割のものだと考えます。
 ふたつめとして、わたしが知る限りでは、この住民投票は大阪府で投票するものだと理解しています。けれども、大阪都構想は、わたしの捉え方では、大阪市と堺市を解体し、大阪府へ統合するものです。だから、大阪市民、堺市民の意思が非常に重要だと思っています。
 でも、大阪府全体での住民投票なら、府下人口のうち4割の大阪市民・堺市民がそれぞれ過半数の反対をしていたとしても、残り6割の府民が圧倒的に賛成となれば、それで決まってしまうのです。

 更に気になる点として、現在は知事と市長が、それぞれの立場から情報を発信しているので、府民・市民は賛成・反対の様々な角度の情報を、不完全ながらも得ることができます。
 住民投票の時点では、市役所からも今の橋下知事や維新の会と同じような説明・情報発信しかしないと考えられ、かなり一方的な情報しか、府民・市民は持たないことになるように思われます。
 せめて選挙であれば、対立する立場の候補者が、それに抗うような説明・情報発信があるかもしれませんが、住民投票ではそれもありません。
 府庁・市役所が一丸となって、メディアを巻き込んで行う宣伝活動の下で行われる住民投票で、(公正な情報が出されていれば反対になるケースであっても)反対が多数になることは考えにくいでしょう。(もし、反対が多数になるとしたら、それは大阪都構想という政策の是非ではなく、それまでの行政運営の失敗があったとか、そういう評価です。)

 大阪市民・堺市民が、市民の単位として、大阪都構想にNo!の意思表示ができるのは、実はこの4月の選挙だけしか、ないようです。
 今回の選挙で設計図を作るかの方向性を決めるというのならば、4年掛けて設計図を作り、次の府議会・市議会の選挙で、その内容を問うのならば、こんな乱暴な話にならずに済むのですが、そういう方向ではないようです。


 設計図を2年掛けて作るという話、もうひとつ心配な点があります。
 2年というのもかなりの期間ですし、かなりの人員も投入するようです。(ちょっと聞いたのでは、300人体制とか?)確かに行政的には、そういった詳細な詳細な設計図もいるのでしょうが、わたしなどが見たいとしている大阪都構想の具体的な内容とは、かなりズレているのではないかと危惧します。

 大阪都構想を、自分が家を建てようとする場合に例えてみましょう。
 現在示されているのは、チラシに描かれた、キラキラした完成イメージ絵のようなもの。セールスマンは、緑に囲まれた素敵な家の絵を示して「子供たちが楽しそうにはしゃぐ、この家での生活を想像してみてください。」と語ります。
 でも「間取りは?」とか「価格は?」とか「ガレージはあるの?」とか訊ねても、「そんな細かいことは、設計事務所に依頼して、ちゃんと設計図を作らないと、答えられない。設計図を作るためにも、まずは契約を。設計図を見てから、契約解除もできますから。」と言ってる状態なのかと思うのです。

 設計事務所が作る、大工さんが見るための設計図は確かに詳細なものが必要です。柱の1本づつの長さ、太さをミリ単位まで指定して、材質やらなんやら、どこまでも詳細なものでしょう。
 でも、わたしなどが求めているのは、そんなに凄い細かいものではなく、間取りに、価格に、「ここは洋間なの?」とか、いった話なのだと思っています。

 そして、2〜3年後に設計図ができたとして、300人が2年掛けて作った、会議室いっぱいのファイルを示して、「さあどうぞご自由に見てください。」といった話にならないかなぁと心配してしまいます。

 何しろ、大阪維新の会はHPで、公約を示せ、政策を示せという前に、タウンミーティングに来て、推薦図書を読んで、大阪府自治制度研究会の資料(これが凶悪に大量)を読んでくださいとやった過去があるのですから。(しかも、全部調べても、欲しい情報は出てこない。)



運営上のおしらせ

 これから4月が近づくにつれ、ブログの荒れなどが心配されるため、当面、コメント欄の閉鎖します。
 ご不便をお掛けしますが、ご理解をよろしくお願いいたします。


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posted by 結 at 03:32| その他 | 更新情報をチェックする
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