2011年01月19日

「大阪市の税収は、大阪市だけのものではない」と無理な理屈をつけるのは

 橋下知事が主張された「大都市の税収は衛星都市から働きに来ている人が支えている。(大阪)市の税収は(大阪)市だけのものではない」という理屈ですが、前回の記事でみた中では、
○大阪市域で発生する地方税は、既に、大阪府や(大阪市へ住民が働きに来ている)他市との配分を行っており、その中の大阪市の取り分である大阪市税のみ、再度配分の対象にするべきという理屈は立たない。
○大阪市域の地方税の市への配分割合は、大阪市外の配分割合よりも少なく、また大阪市域の府税が、広域行政経費として大阪市域へ十分に還元されているかも疑問が残る。
○「大阪市の経済活動が、一方的に他市の住民に支えられている」という明確な論拠も確認できない。(大阪市民も十分に、他市へ働きに出掛けていて、相殺されている可能性がある。)
 といったもので、かなり無理のある理屈です。
 では、なぜ、こんなに無理な理屈をつけようとするのでしょうか?わたしは、次のように推測をしています。(以前の議論の繰り返しになります。何度も読んだよという方は、ご容赦ください。)

 地方自治制度の中で、市町村税は身近な行政(=基礎自治体業務)に充てられる財源であり、府県税は広域行政に充てられる財源です。
 この原則は、東京都制度においても踏襲されており、都税制度によって、市町村税の一部を都庁の財源としますが、都庁は市町村税から得た財源は、水道、下水道、消防などの都庁が受け持つ(一般的に市町村の担当とされる)業務のために使用するためとしています。
 現状は、当初の理由から乖離してきている部分があるようですが、それでも都庁は、この原則から離れていないと主張しています。
参考:平成17年東京都財政局「都財政が直面する課題」P3〜5

 少し余談となりますが、都庁が都税制度により得ている税収は約1兆円あり、これが2〜3兆円の予算額となって23区の市町村業務の補充として支出されているとすると、23区内の市町村業務へ支出される予算額は、特別区23区の予算額3兆円に対して(都庁支出分を合わせると)1.6倍〜2倍程度の予算額が支出されていることになります。

 翻って、大阪都構想ではどうでしょうか?
 業務配分は明らかにされていませんが、橋下知事の発言などを聞く限り、市町村業務の大きな部分を都庁側が受け持つとはしていません。どちらかというと、府業務を都区で担当する方が大きい印象を持ちます。

 また、橋下知事は、府市の財源をひとつにして、大阪全体の基盤整備を行うことを強調されています。これは、市の財源の一部を(市の枠を超えて)広域行政の財源に組み込んでいくことを示唆していることになります。

 大阪都構想では、政令市である大阪市・堺市が身近な行政の財源の一部を削って、政令市に認められた広域行政の財源に充てていることを理由として、都庁が市の財源の一部を、府全体の広域行政のために使用しても構わないしようとしています。

市の財源(市税)は、身近な行政のための財源だ(原則)
        ↓
身近な行政を少し削っても、市域内では市民の要望に沿った広域行政ができる方が、より市民のためになる(市の判断)
        ↓
市が広域行政に支出するなら、その予算も府がまとめて使った方が府全体としては有益だ(府の判断)

という流れです。

 でも、結果の部分として、市町村税は身近な行政(=基礎自治体業務)に充てられる財源という原則は、明確に踏み外すことになります。
 そのため、この原則を超越して、市の財源(市税)を広域行政のために使用できるという(一見それらしい)理屈が欲しかったのかなぁと思うのです。

 でも、大阪都構想の制度設計や財源の原則を審査するのは、総務省のお役人さんということになると思うので、市民を騙すような屁理屈で騙されてくれるとは思えません。
 多分そのうち、更にもっともらしい理屈を考える必要に迫られることになる気はするのですが。


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posted by 結 at 06:16| Comment(0) | 財務 | 更新情報をチェックする
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