2011年01月08日

都区がこんな予算なら、分市して財政再生団体になった方がマシ

!!!!注意!!!!(2012年5月27日)
以下の記事で、特別区の予算額と大阪市の分市時のシュミレーション数字の比較を行っていますが、大阪市の分市時のシュミレーション数字は、その合計額などから、予算額ではなく一般財源額と思われます。
一般財源額と予算額の単純な比較は無理で、大体の比較を行う場合、予算額を2分の1程度にして、比較をする必要があります。
 以下の記事で、特別区の予算額600億円を大阪市の分市時のシュミレーション数字と比較していますが、予算額600億円(うち一般財源額概ね300億円)として、300億円を大阪市の分市時のシュミレーション数字と比較する形で、記事をお読みください。
************* 以下、記事本文 *************

 以前「二重行政が少しでもあるなら、大阪都にすべきか」の記事の中で、大阪維新の会のタウンミーティングで具体的に説明された予算額は、現状の所要額をかなり下回ってると書きました。今回は、その説明です。

 橋下知事は、7月に毎日放送「ちちんぷいぷい」に出演時から「各(都)区が何百億単位の予算を持つ。」と説明されていましたが、具体的な数字をテレビ・新聞などのメディアでコメントされたのを、わたしは知りません。

 都区単位の予算がクローズアップされたのは、8月末に橋下知事が大阪市分市案を提案された時です。9月の橋下知事・平松市長の意見交換会で、平松市長の「分市すると、分割後の各市で大きな財政力の格差が出て、問題がある。」という指摘に対して、橋下知事は「地方交付税制度で財源調整されるので、問題ない。」とかわしました。
 10月に分市時の財政試算を大阪市が発表し、分市後9市中黒字は2市のみで、2市が財政健全化団体落ち、残りの5市が更に悪い財政再生団体落ちで財政破綻するということが明らかになりました。
(当時の記事の詳細などについては、こちらのブログ記事を参照ください。)

 この時、問題になった分市後各市の財政所要額と歳入見込額は、次のようなものです。
分市時財政格差(再建団体区分有).jpg
分市時財政格差(地図).jpg

 ただ、この資料については次の2点から、あまり過信はできないと考えていますが、現状公式に示されている分市後(または大阪市の都区分割後)の財政状況についての最も具体的な資料なので、この資料に沿って話を進めていきます。
○全9区の所要額合計が約9千億円と、予算額1兆5千億円との乖離が大きい。公債費などが除かれているように思われるが、どのような予算項目が除かれているか明確でなく、本当にその部分を除いて良いか分からないので、かなり上ブレのリスクがあると考える。
○示された所要額は20年度決算の実額であり、(このブログで強く指摘する)大阪市分割によるスケールメリットの喪失でコスト増になる点は反映されていない。この表で所要額=歳入であっても、10%コスト増なら財政健全化団体、20%コスト増なら財政再生団体になるので、無視できない。

 その後、10月中旬には、橋下知事と大阪維新の会により大阪市分市案は撤回。橋下知事は「大阪都構想では、大阪市役所が今やっている財政調整のやり方を都がやるんで、まったく財政格差は生じない。」ただし「制度設計は行政マンの知恵(が必要)」といった発言をされています。(この話は、大阪市役所は区の財政調整などしていないので、全くの出鱈目。具体案もないという話なのですが、まあ、そう発言されてます。)

 これらの発言の後、10月24日に城東区で開催された大阪維新の会のタウンミーティングで、都区の予算額について聞いたのですが、橋下知事も臨席のもと、「500〜600億円の使いみちを鶴見・城東で決めたらいい。」と説明されています。(詳細は、以前の記事「タウンミーティング・レポート」を参照ください。)

 わたしが聞いたのは城東・鶴見の都区だけですが、橋下知事は基礎自治体の予算額を、「この程度の人口規模なら、この程度の予算額。」として示されることが多く、人口規模が同等なら予算額も同じくらいを示されると思うので、500〜600億円というのは、鶴見・城東の都区だけでなく、他の8都区も同等と想定します。

 上の財政所要額の表に、500〜600億円の範囲を赤線で入れた表が次のものです。
分市時財政格差(600億表示有).jpg

 グラフでは少し見難いので、数字で分市時と都構想時の都区別の赤字額を比較したのが次の表です。(都構想時の予算は、上限の600億円を使用しました。所要税等の数字は、大阪府自治制度研究会へ大阪市が分市時財政シュミレーションの資料として提出したものを使用しています。)

分市都構想赤字比較.jpg

 この数字で比較する限り、大阪市分市時よりも大阪都構想での想定時の方が遥かに赤字額が大きくなっています。
 非常に雑な想定なので、赤字額の差が半分だったり、数割増だったりするようなことは十分にあると思いますが、大きな傾向が変わる理由は、現在のところ見つけられません。

 大阪都構想であれば、分市案で指摘されるような大阪市分割後の財政力格差を最低限にすることは可能です。でも、上記のような横並びの予算額になる位なら、例え財政力格差があって行政サービスに格差が出ても、分市案の状況の方がずっとマシです。(そして、区間の格差もなく、より高い水準で行政サービスが提供される現状の方が、更にマシです。)

 また、都政移行後、この500〜600億円という予算額は、250万人の大阪市民の総意であっても変えることはできません。大阪市税(や地方交付税など)のうち、どれだけを大阪市民250万人の基礎自治のために使っていいか(そして大阪市税のうち、どれだけを850万人の大阪府全体のために使うか)を決めるのは、850万人の大阪府全体から選出された、都知事と都議会なのですから。


・・・もし、この記事を気に入っていただけましたら、目次から、他の記事もどうぞ。
   大まかに大阪都構想のことを知りたい方は、まとめブログをご覧ください。
posted by 結 at 01:37| Comment(2) | 財務 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
都構想が実施された場合、大阪市域の市民生活はとんでもないことになりそうですね。
区によっては無駄なサービスの廃止どころの話では済まず、生活に必須な市民サービス(ゴミ収集等)が次々と有料化または値上げなんてこともおきるかもしれません。
ここまでくると、区長公選制と引き換えにするには犠牲があまりにも大き過ぎるでしょう。

大阪都構想に関しては、ちょっと考えてみただけで色々と疑問が湧いてきてきりがありません。
ここでは再三話題になっていますが、移行費用をどのように捻出するのかというのも知事及び維新の会サイドから全く示されていませんしね。
府の自己資金の他に、首尾よく国からいくばくかの金を引き出せる目処がついたとしても、移行費用に全然足りなかったらどうするのでしょうか。
その場合、とりあえず法改正にこぎつけておいて、移行費用が貯まるまで待つと言う手が思い浮かぶのですが。。。
「たった今大阪都構想可決。但し移行は40年後。大阪府は頑張って貯金します。府民の方々もご協力を」という結末になった場合、賛成派の人々は受け入れるのでしょうか。
どうしても都構想を実現したいというのなら、こういう結末は想定しておく必要はあると私は考えています(リニアの大阪延伸みたいな感じで)。
知事や維新の会自身が、法改正による可決と移行とのタイムラグをどのくらいと考えているのか、ある程度は示しておく必要があると思います。
また賛成派の中に、法改正以降、実際の移行開始までうん十年待ちになってもいいという人々がどのくらいいるのかも興味があります。

法改正も高い高いハードルですが、そこからあともまた同じなのですから。
いくら頑張っても、無い袖は振れません。
さしあたって袖のない場合は、一体どうするんでしょうか。
甚だ疑問です。
Posted by どんごろす at 2011年01月15日 01:55
どんごろすさんへ

 区長公選制のサービス選択メリットは、止めてもいいかなという予算があっていて初めて活きてくるものなので、「区長公選制と引き換え」のデメリットになりません。ひたすら、デメリットです。

 移行費用は(あくまで想像ですが)国は出してくれないとしても、起債の許可は下りると思います。ですから、借金をすることで待たずに移行できると思います。(それでも、かなりの時間と費用がかかりますが。)
 借金は、大阪市民が行政サービスを削って返せばよい訳ですから、多分、辻褄はあってるのでしょう。それでいいという方にとっては。
Posted by 結 at 2011年01月16日 05:11