2010年11月13日

大阪都構想で、市役所の職員は何人を適正と見ているのだろう

 先日の坂本氏とのやり取りの中で、大阪市の職員数は他都市と比較して2〜3割多いという話がありました。これは、坂本氏の主張というよりは、上山信一著「大阪維新」の中で挙げられている数字であり、同書籍は、大阪維新の会のHPで大阪維新の会の基本的な思想やこれからの具体的政治指針として挙げられているものですので、基本的に大阪維新の会では、そのように考えられていると想定してもいいのでしょう。

 では、この「職員数が他都市と比較して2〜3割多い」というのは、何人程度を適正と考えているのかを整理してみたいと思います。
 なお、大阪都移行後の職員数については、大阪府と合わせての数字になると思われるので、大阪市役所だけを捉えて何人にするというのは、あまり意味はないかもしれません。ただ、このブログでは、基礎自治体業務を中心に見ていますので、都区の業務などを見るときには、意味があるのかなと思っています。

 まず、この上山信一氏が「職員数が他都市と比較して2〜3割多い」と考えたのは、いつ時点でしょう。
 上山信一氏が「職員数が他都市と比較して2〜3割多い」と感じたとした、大阪市での在任期間は2005年2月から2007年11月ということです。
 数字が固まる時期などを考えると難しいかもしれません(2005年数値を上山氏が入手できるのは、どんなに早くても2006年の夏以降と思われるからです。)が、できるだけ後の年度として、2005年(平成17年)の数字を基準と考えましょう。

 2005年の大阪市の職員数は、47600人(交通、水道、病院を除くと、37400人)です。ここから算定すると、
 2割多いとした時の適正数 職員数 39600人(交通等除く31100人)
 3割多いとした時の適正数 職員数 36600人(交通等除く28400人)
となります。

 2010年の大阪市の職員数は、39000人(交通等除く28300人)です。

 都区の業務を考える上で大切なのは、交通・水道・病院の職員を除いた数なので、28300人なら、3割多いとした場合の適正値も既に達成していることになります。
 ただ、削減9100人のうち2300人は、大阪市立大学を地方独立行政法人にして、算定から除外しただけなので、実人員の減ではありません。この分を足した2010年の交通等除く職員数は、30600人であり、2割と3割のほぼ中間と捉えるのが妥当なようです。

 なお、今年の8月末に大阪市は9000人以上の更なる削減を2023年度末までに行うという発表をしています。

 この数字から言えば、大阪都制への移行に当たって、新たな人員削減は必要ないことになり、人員削減が可能かという点は問題となりません。ただし、人員削減によって予算を生み出せるという目算は、外れることになります。

 なお、上山信一氏は、「大阪維新」の中で改革は進んでいないとしています。職員数については、どのような根拠でどのような数字を妥当としているのか、分かりません。
 また、橋下知事は、タウンミーティングなどで、この39000人は多すぎると、しきりに語られます。こちらについても、単なる横浜市との単純比較なんて話だけでなく、どのような根拠でどのような数字を妥当としているかは、教えていただきたいと思います。「大阪維新」には書いていないと思います。


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posted by 結 at 01:00| Comment(2) | 概要 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 上山さんが大阪市にいたときに作った市政改革マニフェストは、平成18〜22年度の5年間の改革のプランを掲げたものでした。その途中、平成19年の市長選挙で前の関市長から今の平松市長に代わりましたが、平松市長は、関市長が進めていた5年間の改革マニフェストはほとんどをそのまま継続し、職員数の削減や公共事業の見直しなど、そのほとんどは1年前倒しですでに21年度までに達成しています。22年度までの達成状況は大阪市のHPで見ることができます。マネジメント改革のほとんどの項目で達成率が100%超となっています。

http://www.city.osaka.lg.jp/shiseikaikakushitsu/cmsfiles/contents/0000008/8549/a3itimaimono.pdf

 市政改革マニフェストは、平成17年当時に、上山さんが相当強力に関市長に働きかけて、他都市の状況や当時の大阪市の財政状況を分析して作ったものです。その後の、リーマンショック等の未曾有の景気後退により、更なる財政の悪化という状況があり、更なる行財政改革が必要となっているのは確かで、平松市長はさらなる職員削減計画や財政改革を発表しています。

 いずれにしても、大阪市の財政状況や、職員数の問題は、大阪市自身の改革によって解決されるべきで、そのことで即大阪市の解体、廃止をしなければならないものではないはずです。夕張市が財政再建団体になったからといって、一定の財政に関する国の関与はあるにせよ、市を廃止して道に吸収合併してしまうというようなことは現行の法体系の中にはありません。改革の是非は、議会選挙や市長選挙によって、問うことは可能であり、そこに民意の反映もできるわけです。

 維新の会は、大阪市役所・大阪府庁を解体・再編と主張していますが、大阪市に対する攻撃ばかりで、肝心の橋下さんのお膝元、大阪府庁の解体についてはなんら語る気配はないですね。財政状況も、どちらかと言えば、大阪市より大阪府のほうがより危険な水準にあると言う話も聞きますが、維新の会は根拠数字は示さずに橋下さんが赤字から黒字に変えたと宣伝するばかりです。起債発行により借金を増やせば見た目上は黒字になりますが、そのような説明は一切省略して歳出歳入の差引きだけで橋下さんの財政手腕がさも優れているかのような言い方をされています。

 結さんが常々指摘されているように、大阪都構想で大阪市が8〜9の都区に分割されると、普通に考えたら中枢統括部門を8〜9に分けることで職員数は増となります。以前に書き込みしたように、行政実務用のコンピュータ関係のシステムも9プラス1セット作らないと日々の行政実務が回らないのです。行政コストは確実に増大します。その上税収は確実に都に吸い上げられますので減ります。財政調整のしくみも本当にできるかどうかはかなり怪しいです。市民の暮らしは、バラ色になんてなるわけありませんよね。

 産経新聞の記事によると、上山さんの著書でさえ、制度の詳細は革命ができてから考えればよいと書いてあるみたいで、まあ、ブレーンがそう言ってるのだから、維新の会がそれ以上のことを言わないのも頷けるという話です。自らを政策集団と名乗ってる割には自ら考えようとはしません。看板倒れも甚だしいと思います。
 
 以前に橋下さんが、新しく作る大阪都の職員は700人ぐらいでいいとか言ってたことがありましたが、たった700人で何をするつもりだったんでしょう。あるいは、700人ぐらいでできる業務しかするつもりはなくて、あとは基礎自治体に全部押し付けるつもりだったんでしょうかね。

 追伸:先日の産経新聞に上山さんとの対比で登場していた立命館の村上教授の論文が、大学のHPで閲読できます。かなりのボリュームですが、参考にどうぞ。

http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/law/lex/10-3/2010-3.htm
Posted by bafuken at 2010年11月13日 04:42
 上山信一氏が「大阪維新」で、組合関係者などのために関前市長が落選し、上山信一氏が作成して改革が頓挫したことが問題なのだというのは、嘘ということですね。ちなみにこの話、橋下知事もタウンミーティングでされてました。

 大阪府庁の話は、「大阪維新」の中でも出てこないですね。公共施設や公有地の高度利用を提案するような話の中でさえ、大阪市の土地・施設のみを挙げる徹底振りです。
 少なくとも、知事の立場にある人が、府民に対して正しい認識を行うための情報提供を怠っているように感じて、本当にいいのかなぁって思ってしまいます。

 立命館の村上教授の論文は、さすが学者さんという感じで、論理的・体系的に大阪都構想を分析されてますね。
 このブログでも、ぜひ紹介したいと思っています。
Posted by 結 at 2010年11月14日 02:05