2010年11月04日

行政サービス維持を確認して、大阪都構想を決めて欲しいと願うのは、贅沢なのか

 大阪維新の会の大阪市会議員候補の坂本尚之氏が、当ブログのコメントでのやり取りについて、氏のブログでご意見をいただきました。たいへん、光栄なことと思います。
 ご意見は、わたしの考え方とは、かなり異なるものでしたので、この記事で反論をさせていただきます。

 元のコメントのやり取りとは、次のようなものです。
 前回の記事「タウンミーティング・レポート」のコメントとして、維新の会の候補者さんがブログで、「説明が不十分」、「メリット・デメリットが不明確」との批判に対し、次のように述べている。

1.方向性の提示・決断→政治
2.複数案の提示   →行政
3.最終案の選択    →政治
4.選択された案の実行→行政
と政治と行政の役割を分担して、
大阪都構想は1の段階だ。2の段階で「メリット・デメリットの作成は行政マンの腕の見せ所」として、複数の具体案を役人たちに作成させ、3の段階として有権者から選ばれた政治家が、選択する。

そして、これは選挙で白紙委任状を出せということだが、我々が必要としているのは、選挙に行く時の判断基準だ。とコメントをいただきました。

 これに対して、次のようにわたしはコメントさせていただきました。
すごい話ですね。たとえば、ダム建設に置き換えてみると話の凄さがよく分かります。

1.ある地域にダムを建設するか方向性の提示・決断→政治
2.ダムの建設工法の複数案の提示 →行政
3.最終案の選択    →政治
4.選択された案の実行→行政

 ダムの建設を政治決断するに当たって、コストや周辺住民への影響などを考慮せず、治水が必要と言う方向性だけで決めてしまうと言ってるようなものです。メリット・デメリットは、ダム建設を決定してから、役人さんに考えてもらうのか。そりゃあ、地域住民は怒りますよね。
 方向性を決める時だって、建設の概要と、コスト、周辺への影響くらい整理して、決めなきゃいけないと思いますよ。
 こんな話をしているようでは、その候補者さんは、どのように府民・市民へ責任をもって、大阪都構想を推されているのか、とても疑問です。


 この「維新の会の候補者さん」である坂本尚之氏から、ブログでいただいたご意見は、次のものです。
http://blog.zaq.ne.jp/osakaishin/article/19/

主旨としては、次のようなものです。
○(例えに無理はあるが)大阪都構想をダム建設に例えるなら、次のようになる。
1.政治が「治水対策」をする、という方向性を決定
2.行政が複数のダム案・河床掘削案のメニュー提示
3.政治がダム建設を決定
4.行政がダムを造る
○ダムのコストや周辺住民の影響などの提示は、政治家にできることではない。行政がコンサルなどを使い、莫大な時間と費用を掛けて、ようやくできることだ。
○大阪維新は、明治維新に対比できる。明治維新の志士は、幕府を倒し議会制導入という方向性を示したぐらい。庶民の生活がどう変わるかの説明などしていない。
○今のままでは大阪がダメになるというのが基本の認識。

 ということで、このご意見についてのわたしの反論です。

 上記で1〜4として挙げた大阪都構想の工程を、大阪市内の基礎自治体業務に限定してみると、次のようになります。
1.大阪市の都区への分割を決定(大阪市民への住民サービスがどうなるかは考慮しない。)
2.都庁と都区の業務分担や財務構造、都区のあり方の外枠について、役人に案を出させる。(複数案を提示させ、メリット・デメリットの比較も、大阪市分割を前提としたこの複数案の中で行う。)
3.(維新の会が主体となって)案の中から、どの案にするか決定する。
4.「3.」で決定した業務分担や財務構造の中で、都区の行政サービスをどうするかは、都区の代表や移行チームなどに任せる。

 「1.」の決定の影響で、もしも「大阪市民の住民サービスが低下する」なら、あとは、その前提の下で、一番マシな案を探す作業にしか、なりません。
 しかも、業務分担や財務構造の決定時には、住民サービスも考えますが、都庁が成長戦略をどのように打ち出せるようにするかの方が、より重要ですから、「一番マシな案」とは、必ずしも「大阪市民の住民サービス確保にとって、一番マシな案」とは限りません。 更に、住民サービスが低下したとしても、都区の行政サービスをどうするかは都区代表の責任にしてしまえばいいという、責任回避が可能な内容になっています。

 やはり、「治水対策を行うという方向性の決定」程度のものとして、分割後の業務内容・組織形態も決めず、分割により住民サービスにどのような影響が出るかの検討もしないまま、(260万人への行政サービスを担う)大阪市の解体と都区への分割を決定するという点に無理があります。
 少なくとも、大阪市民に行政サービスを確実に提供するという責任を負う立場からは、出てこない発想に思えます。

 なぜ、このような無茶な話になるのでしょうか。
 大阪都構想は、行政サービスの提供を担う自治体の解体を伴いますが、行政サービスの向上や確保を目指すものではないからです。

 大阪都構想が「1.」で決定する方針とは、「二元行政を解消し、ひとりの司令官の下に、成長戦略に取り組むための権限と財源を集約する。」ことだと考えます。
 そして、この方針に対して、「大阪市の都区への分割」は(大阪の司令官をひとりにする)二元行政解消の結果に過ぎず、大阪市民の住民サービスがどうなるかは、その派生事項に過ぎません。
 大阪維新の会として「大阪市民の住民サービスがどうなるか。」に関わらず「大阪市の都区への分割」を行うなら、方針決定に雑音になる事項は、ひたすら無視をするのは合理的です。

 では、このような方針決定の態度に対して、大阪市民として、どのように考えるのがよいのでしょうか。

 「大阪維新の会が目指す大阪の成長戦略が実現するなら、そして30万人規模で首長と議会を選出できるなら、身近な行政サービスの水準がどうなっても問わない。」というなら、身近な行政がどうなるかを問わずに、大阪都構想を支持するので構わないと思います。悪くしても、夕張市なみの行政サービスは、たぶん確保されます。
 ただし、大阪都構想の目指す成長戦略は、大阪維新の会が政治指針とする大阪府自治制度研究会の中間取りまとめの議論の中でさえ、大阪の成長を阻んでいるのが大阪府・大阪市の並立が原因かはよく分からないし、国の成長戦略が必ず成功する訳ではないのと同様、大都市制度を変えても、本当に成長するかは分からないといった意見が出ていることは知っておいた方がよいように思います。

 「大阪の成長戦略は応援したいけど、身近な行政サービスが(我慢できる範囲を超えて)低下するのはイヤ。」というならば、大阪都構想に賛成・反対に関わらず、大阪都移行後の都庁・都区がどうなって、住民サービスにどのような影響がでるのか、説明を求めた方がよいと思います。そして、マスコミなどを通じて、第三者の評価の声も求めた方がよいと思います。選挙によって政治を決める。それは選挙民は、それだけの責任を負わせるということだからです。
 特に、市を分割するということは、たくさんのコスト増の要因をはらみます。また、タウンミーティングで府議さんは都区の予算として、大阪市の税収の8等分くらいと語りました。(大阪市の予算は、税収の2.5倍ですから、単純に比べると予算6割減です。)
 強く情報を求め、慎重に吟味することは、市民にとって、マイナスになることはないと思います。


 なお、「ダムのコストや周辺住民の影響などの提示は、政治家にできることではない。行政がコンサルなどを使い、莫大な時間と費用を掛けて、ようやくできることだ。」という点についても、少し語ってみたい点があるので、それは次回の記事にしたいと思います。

(追記)
 もし、この記事に賛同いただき、コメントをいただけるようでしたら、坂本尚之氏のブログではなく、この記事に対して書き込んでいただけるよう、お願いいたします。
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   大まかに大阪都構想のことを知りたい方は、まとめブログをご覧ください。
posted by 結 at 08:26| Comment(0) | 概要 | 更新情報をチェックする
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