2010年10月14日

「市役所が、区役所の財政調整をやってる」と誤認させる発言はどうかと思う

 今回は、橋下知事の言葉尻をとらえた突っ込みです。だから、ちょっとした話題のはずです。

 大阪市分市案撤回の次の記事の中で、橋下知事のコメントで気になるものがありました。
 http://sankei.jp.msn.com/politics/local/101011/lcl1010110043000-n1.htm

 分市案撤回発表の翌日に、平松市長と同じイベント(御堂筋kappoのこと)に参加中、橋下知事から、次のような発言があったそうです。
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橋下知事は「平松市長は地方交付税制度をまったく理解していない。財政調整を担うのはガバナンスがきいていない今の大阪市ではなく、新しい大阪都がやればいい」と持論を展開した。
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 大阪市(多分、大阪市役所のことだと思います。)って、財源調整を担ってましたっけ?
 今回、財源調整の話が出てきたのって、橋下知事が、大阪都構想や大阪市分割案で、大阪市を、会計的にも独立した都区や新市に分割するという提案を行ったことで、出てきた話だったはず。ひとつの自治体の中で、「財源調整」って、何を言いたいのでしょう?

  「新しい都庁」とやらは、都区に対して財源調整だけを担いたいのでしょうけれど、政令指定市の市役所と区役所って、そんなものじゃありません。
 大阪市を会社とすると、市役所が本社で、区役所が支店のようなもの。
 住民登録の事務に着目すると、区役所の職員の人件費は市役所が払って、業務のためのシステムの開発、運用、保守は、市役所が行って、区役所の端末機のリース契約や設置工事の契約も市役所でする。市民へのお知らせ文書とかあれば、市役所で印刷して、宛名もプリントして封筒に入れて、場合によったら、(区役所名で)市役所から、まとめて発送してしまいます。(たぶん、合ってると思うけど、あくまで想像なので、違ってる点があれば、ゴメンナサイ。)
 市役所と区役所って、業務ごとに一体で仕事してるはずだけど、こんなので、「財源調整」って、どうすればできるのでしょうか?
 それとも、大阪府庁って、福祉事務所や児童相談所、土木事務所など出先機関の財源調整をするための役所だったのでしょうか?(そんな府庁なら、いらないです。)

 多分、「区役所は、市役所から独立性の高い組織で、市役所は区役所の財源調整をしている。」という、誤ったイメージを与えるために、意図的に発言されたのだと思うのです。
 でも、知事という立場の人が、他の自治体の組織や役割を誤解させる発言を、意図的にしても、いいものなのでしょうか。
 意図的でない場合でさえ、例えば、パンフレットなどで他の自治体について、誤った説明をしていたら、直ちにパンフレットを回収して、(配布済みなどで)誤解を与えそうな先には訂正の説明をして、当該団体へは平謝りでお詫びをするものだと思います。
 ましてや、意図的な発言で、新聞で大きく報道されたものだったりしたら・・・。
 「知事」って、どんなことをしても許される、それほど「偉い人」だったのでしょうか?

 それとも、もっと怖い想像なのですが、橋下知事は、大阪市役所が区役所の財源調整をしているのだと、本当に信じていたりするのでしょうか?
 そんな理解だと、市役所や区役所の業務や役割について何も理解していないということで、それで、大阪市を分割して都区にするなんて提案をされているのだとしたら・・・・
・・・・・・どうなって、しまうのでしょう・・・・・・

 せめて、橋下知事が、その程度のことはきちんと理解しながら、誤ったイメージを植えつけるために、あえて大阪市役所に誤解を招くような発言をされたと、願っています。
 そうでなければ、怖すぎです。


 追記です。
 10月12日の毎日放送「ちちんぷいぷい」の取材で、橋下知事は次のように発言されていました。
 「分市の場合には、新しい財政調整の仕組みが必要になりますけども、都構想の場合には、大阪市役所が今やってる財政調整のやり方を「都」がやるんで、まったく財政格差が生じないっていうことをはっきり打ち出すために、まあ、ちょっと、議論の過程をオープンに出したんですけどもね。」

 「大阪市が財政調整をやってる」と言いふらしているのは、言い間違いとかの余地なく確定ですね。
 でも、この発言だと、本気で分かってないように聞こえてしまうのですが、大丈夫なんでしょうか。

 「大阪市役所が今やってる財政調整のやり方を『都』がやるんで」という発言を、市で「財政調整」ってあり得ないので「予算編成」と読み替えたとしても、それだと、都区に事業や予算の裁量権がなくなるので、「都区」でも「都制度」でもないですよね。
 支離滅裂に思えてしまうのですが・・・・。


・・・もし、この記事を気に入っていただけましたら、目次から、他の記事もどうぞ。
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posted by 結 at 02:47| Comment(6) | その他 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちちんぷいぷいにメールで意見して下さい。
昨日の学生版維新の会の発足のニュースなんて、
知事の発言なのか、政党の代表の発言なのか、府民はごっちゃになってますよ。ニュースにすべきじゃない!
政党の代表の発言は、それこそ今回のように問題になりそうなものだけを批判的なコメントと賛同するコメントを同時に放送すべきです。
きちんと問題点を伝えるのがマスコミで、垂れ流しは公平じゃないと!
橋下のマインドコントロールにテレビ局は協力しているようなものです。
Posted by minato at 2010年10月14日 19:42
 お怒りを与えてしまったようで、申し訳ありません。
 わたしは、個人で思ったことなど、自分のブログでつぶやく程度が、「分」だと思っている(ツイッターとかもしますが。)ので、TV局へ意見とかはするつもり、ありません。
 でももしホントにするなら、TV局より大阪市への方がいいですよ。「なぜ、抗議しないのか?」と。(考え方が黒くて、すみません。)

 それでも、多分、知事は言い逃れするでしょうね。無理でも何でも、反論をされないなら、強弁ってできますから。
 そもそも、知事たる立場の人が、公務中でなくても公開の場で発言したことが、知事としての責任を負わないなんて、いつから認められるようになったのでしょう。そんなのなら、首相や大臣や国会議員が、ぶら下がり取材で失言しても、公務上の発言じゃないから、政治責任はないで済んじゃいますよ。

 でも、十分に満足できるマスコミでなくても、大阪都構想が、広く論議されるとしたら、マスコミの場でしかないはず。
 実情を認めながら、付き合っていくことも大切です。
Posted by 結 at 2010年10月14日 22:41
 橋下さんの頭の中をかち割って見てみたい衝動に駆られるところですが、恐らく自分に有利な状況に世論を誘導あるいは煽動するための手法だと思います。都制度で行っているところの財政調整など、今の大阪市がやっていないことは百も承知の上で、さもやっているかのような印象を聞き手に与えるためにしている発言だと思います。
 
 今の大阪市役所のやり方では上手くいってないが、大阪都になればそれが100%上手くいく。とでも言わんばかりです。普通の常識ある人が普通に考えれば、結さんのおっしゃるように、組織論としてありえないのは明らかなのですが、ここで思い出されるのは、福島区、生野区の補欠選挙のときの橋下さんのアジ演説です。区長は予算として1億5千万円しかもっていない。人口6万人の区でわずか1億5千万円だ。大阪府下の同じ人口規模の市は、300億円以上の予算を持っている。区民の皆さんは大阪市役所に騙されてるんですよ。不当に搾取されているんですよと言わんばかりの論調でした。ひょっとしたら、ここで言うところの「1億5千万円」を財政調整の結果とみなし(もちろんそうでないことはわかった上でですが)、今の大阪市では到底まともな財政調整ができているとは言えない。大阪都ができればそれがすべて上手くいく。と、世間に思わせたいのでしょう。

 大阪維新の会のホームページで、政調会長の浅田府議が「大阪都構想について」という記事の中で同じような趣旨のことを語ってます。単に人口規模が同じということだけで他の市町村と同じような予算編成権がないのはおかしいという、まったく馬鹿げた論理を展開されています。一般市民はこの程度の説明で軽く騙せるとでも思っているかのような振る舞いです。まったく許しがたいですね。(・・・と、性悪説にたって考えてたんですが、ふと、性善説にたつと、いやいや、本当にそういう風に思い込んでいるのかもしれないという気もしてきました。結さんのおっしゃる、「怖すぎ」な状況ですが、そうなると、そんな人が府会議員をやってるのかと、もう怒りを超えて、悲しくなってきますね。いや、やっぱり恐ろしくなってきますね。)

 いずれにせよ、ありえない比喩や例えを使って自分の有利な状況に交渉を導いていくという手法は、橋下さんの常套テクニックです。川嶋市議のブログでも以前紹介されていました、橋下さんの著書で橋下さん自身が語っています。これは、弁護士として、民事の交渉の場で駆使して「腕の立つ」弁護士と賞される分には許されるのでしょうが(それでも、倫理観や社会正義よりも目先の交渉で勝つことを優先する彼の人としてのありようはどうかという気はしますが)、公人として、しかも860万人府民の信託を受けている知事としての振る舞いではあってはならないと思います。

 またいつものように、長くなって申し訳ありません。もうひとつ、書いておきたいことがあります。
 
 先日の大阪市会財政総務委員会で大阪市会維新の会が議員提出議案で出された条例案についての質疑が行われました。そのなかで、大阪市を9つの基礎自治体に分割してしまうと、当然、行政コストは増大するが、財源はどうするのかという質問に対し、維新の会は、何を広域行政で行うかが問題であり、今の時点では具体的な構想はできていない。タウンミーティングを重ねることで、12月末まで市民・府民の意見を聞き、最終的に集大成してお示しすると答弁されました。また、現行の都制度にならうと、現在の大阪市の税収入6700億円のうち、2700億円が都(=府)に吸い上げられることになる。この2700億円が市に戻ってくる制度保障はあるのか、また、財政調整機能はどのように担保されるのかとの質問に対し、都制度は新しい法律によって決められることであり、立法の際に何を広域行政でやり、何を基礎行政でやるのかを決めることによってその内容は変わってくると答弁されました。
 要するに、都構想について、今私たちがもっとも知りたいことについては、まったく何も決まっていないということです。広域行政と基礎行政の分担はタウンミーティングで聞いた市民・府民の意見によってこれから決めるし(12月末までに?もう2ヶ月半しかないよ)、財源の問題や財政調整制度については法律で決めることなので国会に判断を委ねるということです。
 橋下さんや浅田府議とは違って、論理のすり替えではなく、質問にまともに答えると、こういった答えにしかならないというのが今時点での維新の会の現状だということなのでしょう。タウンミーティングやアジ演説やぶら下がりの囲み取材や自分たちのホームページという、言わば何でもありの言ったもん勝ちの場でならいざ知らず、市会の委員会という公の場で、市会議員のせめてもの矜持を持って答弁されたといったところでしょうか。(橋下さんは府会本会議という場でも平気で適当な発言をされますが)

 橋下さんはどこまでも強気で突っ走るのだと思いますし、府議の方たちはある意味、無批判・無責任に知事の追従をするのみでいいのでしょうが、痛みやダメージを受けざるを得ない大阪市民・区民を直接の有権者にもつ市会議員の方たちは、今、ものすごくつらい状況になっているように思います。(そういう意味では市内選出の府議さんも同じ思いではないのかなと思いますがどうなんでしょう?)それも承知の上で、来るべき選挙に向けて、自民から維新へと鞍替えしたのだから、当然といえば当然ですが、いずれにしても、早く都構想の具体案を示して、選挙の際に我々有権者が十分に内容を吟味した上で投票できるように、そこまでの準備を十分整えた上で選挙戦を戦ってもらいたいものです。橋下さんの戦略としては、できるだけ有権者にものを考えさせないで、何となくよさげなイメージとスローガンのみで世論を引っぱっていって勝利をもぎ取るつもりなんでしょうが、少なくとも良識のある市議の皆さんが、その勝ち馬に乗るためだけに維新の会に行かれたのではないということを早く証明してほしいものです。
Posted by bafuken at 2010年10月16日 06:51
橋下知事や大阪維新の会が、いかに自分たちの都合のよい論理で突っ走ろうと、そのことを府民・市民が認めている限り、一般的に物事を判断できるような形で、説明が果たされ、議論を行うことはできません。

大阪都構想は大きな影響を与える、大切なことですから、きちんと理解をして考えていきたい。
それは、大阪都構想に賛成・反対に関わらず、大切なことです。
こういう当たり前のことを、ひたすら語るしかないのかもしれません。

bafukenさん、このブログは、長文コメント大いに歓迎です。また、コメントをいただけることは、すごくやる気にもなれて、ありがたいです。
でも、bafukenさんの言葉が何かの広がりを持つためには、ここはあまり効果がないところかもしれません。
大阪都構想のことを、きちんと理解して考えよう。それは賛成するうえでも、大切なこと。
そんな気運が少しでも広がればいいなと、思います。
Posted by 結 at 2010年10月16日 12:44
今までの経緯を見るに、話術などではなく、橋下氏は地方自治についてほとんど知識を持ち合わせていないのではないかと私は思っています。
例えば水道統合の不可思議な結末などはそのあらわれかもしれません。
大阪都構想についても、地方自治法その他の改正論議でおかしな主張をして顰蹙を買いそうですね。
大阪市が解体される可能性より、橋下氏が勝手な主張を繰り返して国側を怒らせてしまい、結果として大阪府が干される可能性のほうがはるかに高いような気がします。
橋下氏と意気投合していた原口氏も降ろされてしまいましたし。
実現するか否かにかかわらず、大阪都構想自体が既にひとつのリスクともいえるのではないでしょうか。
Posted by どんごろす at 2010年10月16日 23:11
 どんごろすさん、大阪都構想で、国を怒らせるかというと、それ程ではないと思います。関係自治体がすべて賛成の決議をした上で、総務省へ持ち込むなら、そのこと自体を無理とすることはないと思います。ただ、法制化してくれるかは、別ですが。
 その点で、阿久根市のような振る舞いとは、根本的に異なります。

 国を不快にさせるのは、法改正への批判を特区要望で行った、貸金特区の構想のような例でしょう。
 名古屋市の市民税減税や議会リコールを市長が主導するようなのも、苦い顔をしているかもしれません。
Posted by 結 at 2010年10月17日 02:20