2010年09月18日

二重行政よりも二重負担(その1)

 知事も市長も、あまり言わないようですが、大阪府・市の二重行政の無駄について、誰がどのように負担しているのかに着目して、整理してみます。

 まず、ここでは、二重行政とは、「一般に府県の業務とされているが、政令指定都市では、政令指定都市の業務とされていることで、大阪府と大阪市が同じ業務を行っているもの」とします。例としては、都市計画事業や保健所業務などです。

 言葉のイメージでは、水道事業を大阪府と大阪市がそれぞれ行っていて、二重行政になっていると言われると、大阪市内の家庭には、大阪府と大阪市の蛇口が2つあるように聞こえますが、当然そんなことはなく、エリアで住み分けがされています。ここでいう二重行政の無駄とは、「府・市の事業を一体で運営した方が、効率が良くなる点がありそう。」ということです。

 図書館のように、政令指定都市の権限と関係なく、府県でも市町村でもできる事業で、大阪府・市それぞれが行っているという指摘で、二重行政と言われることがありますが、ここでは含めません。それは、また別の話題にします。
 また、概念図的に、色々と数字を挙げますが、現実の数字とは、一切関係ありません。



 まず、大阪市が政令指定都市でない状態で、それぞれの予算・事業のモデルを置きます。

大阪府 支出 240 うち大阪市内向け  80 → 広域業務へ支出
    収入 240 うち大阪市内より 160

大阪市 支出 100 身近な行政(基礎自治体業務)へ100
    収入 100


 次に、大阪市が政令指定都市となり、上記モデルで、大阪府の支出のうち、10を大阪市の予算で行うことにした場合を考えます。

 この場合、大阪府側では、大阪市内向け事業の10の分を減らしますが、費用が10減ることはありません。事業全体の統括業務の費用は減りませんし、スケールメリットも少し失われるからです。二重行政を重く捉える方は、10の大半が無駄になってると捉えますし、わたしは、1〜2のようにごく一部と捉えます。ここでは、費用が減って他に振り向けられるのは、6とし、4がロスになるとします。

大阪府 支出 240 うち大阪市内向け  70 →広域業務  (6を市外へ追加 4はロス)
    収入 240 うち大阪市内より 160

大阪市 支出 100  身近な行政 90 広域業務 10
    収入 100


 大阪市が、政令指定都市の場合と、そうでない場合で、大阪府と大阪市の支出の関係は、このようになります。
 二重行政の無駄とは、大阪府側で発生している「4」のロスのことをいいます。ただ、大阪府は、二重行政の発生で、費用を負担している訳ではありません。逆に、大阪府は、大阪市内地域への業務支出が減り、「6」の余剰が出て、大阪市外などの他の業務へ振り向けることが可能になっています。

 二重行政の無駄は、大阪府側に「4」発生しますが、これを負担しているのは、大阪市側が身近な行政を「10」削り、広域行政へ充てることで、この「4」のロスを負担し、更に、大阪府に「6」の余剰を発生させているのです。

 別の言い方をすると、大阪市民は、府税を払うことで大阪府から受けられるはずの広域行政サービスを受けず、身近な行政を削って大阪市から、その分の広域行政サービスを受けているのです。
 二重行政の無駄というと、よく「4」の部分がロスになっていることをいいますが、その源泉であり、大元の点は、大阪市民が、大阪府へ広域行政のための府税を払った上に、身近な行政への支出を削る形で、大阪市へも広域行政のためのコストを支払っていることです。(=大阪市民は、広域行政のコストを二重に負担しているのです。)

 政令指定都市となり、広域行政のコストを市民に二重に負担させている大阪市は、馬鹿げているのでしょうか。
 その点の考え方を、次回は、もう少し詳しく整理したいと思います。


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posted by 結 at 02:00| Comment(2) | 広域行政 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 非常に熱心に、詳しく勉強され、議論を展開されていることにいつも感心させられています。
 大阪市民は、大阪府税の約6割を負担していますが、そのうち市域への還元率はわずか19%でしかない。警察や学校の教職員費の市域分を計算して足したとしても45%にとどまっているという事実を多くの大阪市民は知らないと思います。
 つまり、大阪府民でもある大阪市民は、現状でもすでに多くの税金を自分たち以外の大阪府民のために負担しているのであって、大阪都になるとさらに市税のうちの都市計画税の全部、法人市民税・固定資産税・特別土地保有税の45%が都税として召し上げられることになります。
 大阪人の物事に対する価値判断のもっとも大事な部分に「銭勘定」があると思うのですが、単純に言って、大阪市民は大阪都になると今まで以上に「損」になりますよ。市分割による行政のコスト増はもちろんのこと、それ以前にこれだけ橋下知事に持っていかれますよ。ということをもっと大阪市民にお知らせする必要があると思ってます。結さんもおっしゃってるように、確実に生活に密着した行政サービスは低下します。
 どうも、平松市長は上品な方なので、そういうアピールの仕方がお好みじゃないのかも知れませんが、もっと大阪人の損得勘定に訴えるべきだと思います。
Posted by bafuken at 2010年09月19日 05:26
 コメントありがとうございます。

 色々書いてますが、つたない知識で、できる限り遠くの話まで手を伸ばそうとしてるので、時々危ういかと思います。暖かく、見守っていただけるとうれしいです。

 大阪都構想で、「今の暮らしや行政が、どんな風に良くなるか。」と聞く人はいても、「今の暮らしや行政サービスが悪くならないか。」と聞く人ってあまりいないです。でも、そこから疑わないと、なのですが。

 平松市長も、区間格差や議会費の増加を持ち出したところまではされましたが、「詳しく分からない」から入ってるので、周りのスタッフの踏み込みが甘いようですね。
 「身近な行政が、危うくなる可能性が大いにある。」点を強調するのが、わたしも一番アピールすると思ってます。
Posted by 結 at 2010年09月20日 01:28
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