2010年09月09日

大阪都構想で、議員が激増するのが、なぜそんなに問題なのでしょう?

 9月7日の毎日放送「ちちんぷいぷい」に平松大阪市長が出演された際にも、行政コストが増えるとして、区議会議員(=市議会議員)が増えることが挙げられていました。東京23区に当てはめた場合として、議員数が181人増と3倍程に増え、議会費が毎年21億円増加するのだそうです。

 新聞やネットの情報を見ていても、大阪都構想のデメリットというと、議員数が増えることを挙げられることが多いのですが、なぜそんなに議員数や議会費の増加が気になるのでしょうか。確かに、分かりやすい例なのかもしれませんが。

 議員数や議会費が増えるといっても、この項目だけを取り上げれば、普通に30万人の市ならどこでも負担している金額を負担するようになるというだけのことです。
 本来、30万人の市をそのまま8倍にしたら、議員数は270人のはずが、スケールメリットで88人で済んでいて、市民ひとり当たりの議会費も、安く上がっていただけのことです。

 それよりも、このことが示しているもっと大切なことは、都区になったり、分市されると、大阪市が今まで享受してきたスケールメリットを失って、事務経費全体がコスト増になるということです。分からないのは、それが「どの程度か」だけで。

 8つの都区(又は市)になることで、別にコストアップにならないものもあれば、8倍になってしまうものもあります。平均して、どの程度のコストアップになるか、把握している人は、多分いないのでしょう。
 大阪市の予算は、年間1兆5500億円。広域行政の支出部分を除いて、1兆3000億円として、1割増なら毎年1300億円のコスト増、2割増なら毎年2600億円のコスト増です。しかもこの金額が、どれだけ上がるか下がるか、皆目検討がつきません。

 わたしは、こんなことで、数百億円のコスト増だって嫌なので、「詳しく試算を」なんて求めません。(だって、議会費だけで21億円のコスト増だったら、全体が数百億円なんて軽く超えるでしょう。)
 でも、大阪都構想に賛成するのなら、こういう数字もよく把握してからの方がよくないですか?毎年1000億円単位のコスト増っていったら、結構すごいことですよ。

 それでも、こんな数字も結構、どうでもいいのかもしれません。都区単位で考えたら、都税化による減収や、税収の都区間格差の問題の方が、更に大きいことかもしれませんから。

追記
 人によっては、30万人程度の市が、コスト的にも一番優れていると言われるかもしれません。
 わたしも、そういった行政資料を見かけたことはありますが、そういう資料は行政サービスの内容は全く気にしていないようです。大阪市だって、24区を8区に合区して、区役所、図書館、消防署などの区別施設を3分の1にしたら、それだけでも、行政サービスの項目は何一つ減らさず、行政コストはずっと安上がりになります。でも、市民は合区して8区に減らした時の行政サービスが、今と同じとは評価しないでしょう。
 だから、こういう資料は、大阪市が8つの都区に分割された時、同じ行政サービスを維持しても、行政コストが上がらないとは、決して保証してはくれないのです。
posted by 結 at 01:44| Comment(4) | 基礎自治体業務 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
スケールメリット喪失によるコスト増について、例として1〜2割増を挙げられておりますが、

5月7日付けの【大阪市を8市に分割するのは、改善になるのか(一般論)】の記事で、それについて印刷物やシステムが挙げられておりましたのでそれを参考に考えますと、

印刷物作成費・システム運用保守費用・その他について、
@【大阪市+現24区役所】
A【8都区】
を比較することになると思うのですが、その結果1割増になるというイメージがどうしてもわきませんでした。

そもそも都構想の中身が提示されていないので具体的な比較は難しいとは思いますが、当記事ではどういった比較をしての仮定(1000億円以上のコスト増)をされたのかお教え願えますでしょうか?
Posted by ko_yoshi at 2010年12月30日 12:32
 ご質問について、切り口は色々とありそうですが、全てを想定してご返事するのは大変過ぎるので@【大阪市+現24区役所】→A【8都区】でなぜ増えるのかという点のご質問として、ご返事させていただきます。
 「印刷物作成費・システム運用保守費用・その他でなぜ増えるのか。」が主だったりすると的外れになりますが、その場合改めてご質問ください。(わたしも、この費用項目の理解だと、その他が大きくなりすぎると思います。)

 まず始めに、区役所についてのわたしの捉え方を説明します。
 区役所の業務って、いっぱいあると思いますが、簡単に住民票管理、国民健康保険、福祉サービスなどの業務をやってるとして、説明します。

 この中の住民票管理(勿論、住所変更の受付や住民票発行などの業務を含んだ全体です。)を取り上げると、住民票管理という業務ひとつで、チェーン展開しているお店のように捉えます。市役所の担当部署がチェーン本部で、24区役所の担当部署がサービス拠点となるお店です。
 チェーンとして、お店に大きな裁量を与えて自由な店舗運営をさせている場合もあれば、全く裁量を与えずひたすらマニュアルどおりに動けとしている場合もあると思います。この辺りの感覚は人によって大きく変わると思いますが、わたしはお店の裁量は中くらいよりやや小さい程度を想像します。

 区役所は、住民票管理、国民健康保険、福祉サービスなどのサービス拠点となる店舗の入ったフードコートのようなもので、区長は、そのフードコート全体の戦略、運営、宣伝、店舗間の調整などを行っていると考えます。

 大阪市の基礎自治体サービスを8都区に分割すると考える場合、対象として考えるのは、市役所、区役所、区別施設(図書館、消防署、保健所など)、都区に収まりきらないが都区のサービス(ゴミ処理、下水事業、水道事業の給水部分、学校や道路の建設・維持補修)などがありますが、市役所、区役所、区別施設に限定して話を進めます。

 保険所など多くの区別施設も、保健所単独で運営される訳でなく、市全体の本部に部署と24区にある保健所は、チェーン展開されてるお店のように一体で運営をされているので、住民票管理のように区役所の中にある業務とあまり区別して考えません。ただ、チェーン展開されたお店が、区役所というフードコートの中にあるか、フードコートの外でお店を構えているかの違いだと思います。

 長い前置きになりましたが、ここからが、本題です。
 わたしは、大阪市の基礎自治体サービスを8都区への分割は、業務ごとに市役所に置くチェーン本部の機能を、8つの都区の区役所(ここでは、特別区の区役所ということで、特別区役所とでも呼んでおきます。)に置くことだと考え、24のサービス拠点は減らさないことを想定にします。
(現行) 1市役所 24区役所 24区別施設
(移行後)8特別区役所 16準区役所 24区別施設
という考え方です。
 準区役所とは、機能的には元の区役所に近いがもう区役所ではないので、この名称を使います。一部区役所機能の窓口機能だけを行うサービスカウンター的な「支所」とは別物です。よくこの辺の誤魔化しで、機能を語るときには「準区役所」、費用を語るときには「サービスカウンター」にするすり替えがあるので、区別して考えることが大切です。

 ko_yoshiさんのいうように、8特別区役所、8区別施設のみというように、24のサービス拠点を8つに減らせば、現状よりもコスト減になる可能性は高いと考えます。ただし、この想定は住民にとっては、これだけで大幅な行政サービスの削減となります。
 大阪市を8つの都区に分割した時のコストの増減の評価というのは、「行政サービスの質・量を変えずに」ということを前提に置くものだと考えますので、わたしは現時点の議論としては採りません。

 勿論、橋下知事や大阪維新の会から、8特別区役所、8区別施設のみということが明確に打ち出されれば、そちらを前提とすることになりますが、その際は、市民にとってのサービスがどのように変わるかを、強く議論することになります。
 ただ、橋下知事の姿勢として、都区の中で、2準区役所を置くか、サービスカウンターを置くか、区別施設を3つにするか1つにするかなどは、分割後住民が決めればいいとしているので、明確に打ち出すことはないでしょう。そして、サービスの説明は全部維持、費用は削減時といったような便利な使い分けをされるように思います。

 なお、どうするかは分割後住民が決めればいいとしながら、分割後の都区の予算が8特別区役所、8区別施設のみ以外の選択ができない額である可能性は高いと思います。
Posted by 結 at 2010年12月30日 17:36
 丁寧なご説明ありがとうございます。知らなかったことを多く知ることができ勉強になりました。コストだけを考えてしまうと増加というよりむしろ減少する感じですね。

 確かに都区の予算が現状より大幅減になるであろうことを考えると【8特別区役所、8区別施設のみ】になる可能性は十分に考えられ、そうなると、行政コストは削減されるがそれと引き替えに行政サービスの質・量の大幅低下が予想されるわけですね。なんだか本当に大阪市民にとって危険なにおいのする構想ですね。
Posted by ko_yoshi at 2010年12月31日 13:22
 とりあえず、少しでもお役に立てるご返事になったようで、幸いです。
Posted by 結 at 2010年12月31日 23:27
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