2010年08月28日

大阪都移行前に、大幅リストラをしないとしたら

 前回、大阪市の今の行政サービスを移行しようとすると、(スケールメリットの喪失を考慮しなくても)1都区1675億円。それに対して、橋下知事がイメージとして提示した1都区の予算額は、約900億円というように、推計しました。
 多少、この900億円に積み増しするとしても、この差は大きすぎます。でも、今の行政サービス確保を前提に予算をつけてしまうと、(スケールメリットを失って費用がかさむこともあって)知事が使える市税収入が無くなってしまいます。

 この場合、900億円の予算に見合った行政水準に持っていく、真っ当な方法としては、大阪都への移行前に、@行政サービスの簡素化や削減を実施し、Aそのことで余剰になる職員のリストラを行うことです。
 けれども次の理由から、大阪都移行前に、大幅な職員のリストラはしないと考えています。(税金で実質的に給料を払っている職員の減に繋がらない、地下鉄民営化のような職員減はあるかもしれませんが。)

○市長選後、次の統一地方選挙まで、約3年半です。
 大阪都構想の実現の手順を整理すると、具体案作成−市議会・府議会での審議・決議−住民投票の実施−住民投票結果を持って、法律制定を国に要請−特別法の成立−大阪都への移行準備事務−大阪都政への移行 といったところでしょうか。*2011年3月の追記(住民投票は、特別法の国会での決議後の順番のようです。ただし、スケジュールがきつい事実は変わりません。)
 来年の統一地方選挙で、予定通り大勝できたとして、大阪都構想がより具体的になっていく4年後の選挙で、同じように勝てる前提では、考えないはずです。
 そうすると、市長選後、次の統一地方選挙までの3年半で、後戻りできない状態となる特別法の制定にまで、持ち込みたいはずです。けれども、国会審議なんて水物であることを考えれば、住民投票から特別法制定までの期間を最低1年間、できれば2年間取りたいはずなのです。
 そうすると、具体案の作成から、議会審議、住民投票までの期間は、かなりきつめのスケジュールになるはずです。
 そんなキツキツのスケジュールの中で、時間も労力もかかる職員のリストラなど行いたくもないでしょう。

○職員のリストラを推し進めるには、行政サービスの簡素化や削減を具体化しなければ、実効あるものにはなりません。けれども、行政サービスの簡素化や削減は、住民投票が終わるまでは、市民に提示したくはないでしょう。また、知事が行政サービスの簡素化や削減を指示したとするよりは、都区の代表が自発的に行ったような形を取りたいでしょう。

○大阪府自身、橋下知事は、財政再建案をまとめる中で、テレビで、人員削減はしたいが、やる方法がないと発言をされていました。現在に至るも、給与の一時カットは行いましたが、大幅な人員削減はされていません。
橋下知事は、大阪市に対して、職員数の多さを繰り返し批判されていますが、平松市長の人員の大幅削減の発表には、「本当にできるのか。」と疑念を示したのみで、対抗して、人員削減の表明を行うことはしませんでした。


 そして、大阪都移行前に、大幅な職員のリストラはしないとしても、都庁サイドとしては、あまり困らないのではないかとも、思います。
 次のように推移するのかなと、想像してしまったからです。

○都庁サイドとしては、過剰な人員を含めて、大阪市の職員が都区へ移管されれば、それで問題はなくなります。

○大阪都移行の準備期間におそらく作られると思われる、住民代表を含めた移行チーム(もしかすると、仮の区長選挙も行われているかもしれません。)は、現行行政サービスを維持する方向で、都区の体制を作るはずです。例え、900億円の予算が示されていたとしても、都区内に3つづつあるかもしれない、区役所、保健所、図書館、区民ホール、体育施設、消防署などの施設のうち、2つづつを廃止するような判断などできないのです。(特に、どこの区の施設が廃止になるかといった議論になると、なおさらです。)その他の行政サービスにしても、拡充要請はいくらでも出てきても、削る判断ができるとは思えません。
予算不足は、事前に予想されるかもしれませんが、「各都区が一丸となって、不足予算分の保証を行うよう、都庁へ要請する。」といった問題先送りに終始する可能性が高いと予想します。(特に、先に行政サービスを削る決定をしてしまうと、予算の増額も要請できないので、より現状確保になり易いのです。)

○都区が、現行の大阪市施設を維持し、現行の行政サービスを維持する方向で都区の体制を作るなら、今まで市役所で行ってきた業務を8つの区役所で行う必要もあり、人員は、今より多く必要ということになります。
さすがに、増員まではしないと思いますが、都庁は、人員の押し付けとかをしなくても、大阪市の職員を、都区へ移管させることができます。

○大阪都実施後、都庁は、都区へ一般的な30万人の市の予算900億円程度だけを与えます。
一般的な30万人の市を基準にすれば、過剰な人員と施設を抱えた都区は、すぐに財政的に行き詰ります。
それでも、都庁としては、「30万人規模として、適正な予算が持てるようにしている。それでちゃんとした行政ができないのは、都区の責任だ。」と言えば、いいわけです。

○勿論、都庁は、都区が行き詰ったことを放置したりはしません。都区に財政再建計画の作成を求め、それを支援するとして、多少だけ、予算配分を増やしたり、公債発行を認めるなどの支援を行うと思います。
ただ、都区に求められる再建計画は、大幅な人員のリストラと、大幅な行政サービスの切り捨てを行うことになります。過剰人員や過剰施設を抱える中での再建では、行政サービスの切り捨ては、一般的な30万人の市のレベルより、ずっと厳しいものになるはずです。もしかすると、「夕張市なみ」というのが、流行語になるかもしれません。
また、再建計画を確実に進めるためとして、都庁は都区に対して、財務課長と総務課長の出向受け入れなども、求めるのではと思います。

 この手順であっても、人員のリストラは強力に進められますし、都区が行う身近な行政サービスの簡素化も、十分達成されると思います。

 ただ、市民が不幸なだけです。
posted by 結 at 02:58| Comment(0) | 財務 | 更新情報をチェックする
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