2010年08月24日

大阪市の市税の都税化は、やるらしい

 以前、「ちちんぷいぷい」が大阪都構想に関連して都税制度の説明をしたら、橋下知事は、「デタラメな解説をしている。」と批判し、知事自身がちちんぷいぷいに出演した際も、「区になると、お金を都に吸い上げられるっていう議論がでてきますけど、そこは、東京都の制度をマネしなくて、もっともっと区の方に、お金を渡したらいいと思うんです。」と発言されてますが、橋下知事が、「ちちんぷいぷい」に出演した際の発言を、注意深く聞いていると、やっぱり、市税の都税化は、やるようです。

 その前に、「都税制度」について、簡単に説明しておきます。
 日本では、国、府県、市町村、全部、別の団体(自治体)です。ですから、それぞれに、収入とする税の種類が違います。国は、所得税、法人税、消費税。府県は、府民税(個人、法人)、事業税。市町村は、市民税(個人、法人)、固定資産税などです。
 基本的に、国が府県や市町村の税を横取りしたり、府県が市町村の税を横取りしたりはできませんが、それを唯一行っているのが東京都です。東京23区内は、法人の市民税と固定資産税などを都税にして、都が徴収し、その一部(55%)を特別区に配分するという制度を行っています。東京都では、下水道、消防など、区をまたがる(通常、市の業務とされる)業務を、都庁が行うので、市税の一部を都の収入にするという理屈のようです。

 大阪都構想では、都庁は広域業務を担い(=府県)、都区は基礎自治体業務を担う(=市町村)ようなので、市税を都税にする理屈は立たないと思うのですが、大阪市の市税を都税にして、都庁(=大阪府)の裁量の下に置くのでなければ、法律上できない「大阪都」なんて目指す意味はないので、道理は引っ込むのでしょう。

 橋下知事は、「市税を都税化する」とはひと言もいっていませんが、都税制度を前提とした発言が、そこかしこにあり、市税の都税化はやるのねと思うのです。
 いくつか、例を挙げてみます。

「橋下知事、大阪都構想を語る(その3)」より
(固定資産税は、各都区に渡すのかの質問に対して)
「それはね、固定資産税にするのか、例えば、東京都制度だと、市町村の法人税を(都が)もって、住民税分は区が持とうとか、そこはね、制度設計、どの項目のどの額は、どう渡すかって、後で決めればいい訳ですから。」と、答えられています。

 この発言が何故、都税制度を前提にしているかというと、都税制度の逆は、市税が基礎自治体である都区に固有の税だと認めることです。(都区は、基礎自治体の業務を行うのですから、今の法律でいうと自然なことです。)
 でも、「どの項目(多分、税目の意味を含むと思うのですが。)のどの額を、どう渡すかは、後で決める。」というのは、「市税をどのように扱うかは都庁が決める。」と宣言した訳で、都区固有の税とは認めないということです。
 「どう渡すか。」まで、後で決めるとなると、都税制度のような一定割合の配分ではなく、市税をすべて都庁の収入とした上で、都区に(大阪府の部局のひとつのように)都庁が認めた額だけ予算を渡すということすら含んでいそうです。

「橋下知事、大阪都構想を語る(その3)」より
「何故、市の職員が多いかっていうと、大阪全体のことをやる職員もいっぱいいるからなんですよ。大阪府庁とダブっちゃってるんですよ。
 これ全部一緒にしてですね、大阪の全体のことをやる職員と、住民に身近な職員を分ければね、大阪府庁と大阪市役所、併せて考えれば、職員、もっともっと減らせられるんです。
 で、そのお金を、どんどん、教育、福祉、医療に回せばいいじゃないですか。」と発言されてます。

 ここでいってることを、予算の観点で整理すると、広域行政をやっている大阪府の職員(組織)と広域行政をやっている大阪市の職員(組織)を統合すれば、府と市の今の予算を合わせたよりもスリムになるので、そこで節約した予算を(大阪府の)教育、福祉、医療に回せる。(都区に下ろすとは言ってません。)
 この話は、また別の記事で検証しますが、大阪市が広域行政で負担していたコストは、広域行政が都庁へ移行しても、市税でコストを負担してくれといっている訳です。都庁に移管された広域行政のコストを、市税で負担しようとすると、都が市税から収入を得る必要があるので、都税制度が前提となります。

 何故、市税が都税化されるのが問題なのでしょうか。
 橋下知事は生野区を取り上げて、「予算の使い道は、自分たちで決めよう。」と言います。
 でも、一般には、「自分たちの払った税金の使い道は、自分たちで決めよう。」です。
 現在、大阪市民は、260万人で、自分たちの払った税金の使い道を、自分たちで決めています。
 大阪都になったら、30万人で決めることになります。でも、わたしたちが身近な行政のために払うはずの市民税や固定資産税が、知事や府議会の下に消えてしまって、知事や府議会が分け与えてくださった予算(多分、支払った額より結構減ってるはずです。)だけ、その使い道を自分たちで決められるだけになります。つまり、身近な行政を決める権利の半分を、失うことになるのです。

 橋下知事は、今の区は独立していないから、都区は、それより、ちょっとだけ独立させるんでいいんだと語ります。
 でも、「区」なんていう自治体はありません。都区は、大阪市という立派に独立して行政を営んでいる自治体を分割して作るだけです。そんなこと、都区を都庁に財源で縛って従属させる理由になりません。
 もし、きちんと独立して行政を行っている大阪市を分割して作った都区が、独立した自治体としてやっていけないというのならば、そういう分割そのものが、どこかおかしいのです。
posted by 結 at 03:10| Comment(0) | 財務 | 更新情報をチェックする
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