2010年06月26日

大阪市が都区になると、今より市民の意思が反映しにくくなるかもしれないと思う理由

 前回、大阪都構想で分割される大阪市や堺市では、ひとつの市(都区)で行う場合と比較して、事務改善や市民の意思反映が難しい(いくつもの都区の)共同事業や事務が、大量発生するかもしれないと書きました。
 今回は、そう思う理由です。

 ひとつは、想像し易いと思いますが、現在の市域全体で行っている事業は、(大阪市の場合)8市(都区)に分割されても、事業を分割するのは、とても非効率なため、そのままの形態で8市の共同事業として行われることが、予想されます。府(都庁)の事業となる場合、このような共同事業化は避けられますが、検討状況についての報道を見ると、かなり府への移行は、限定的なようです。

 例としては、市バス事業です。大阪市が8市に分割されるからといって、営業範囲を都区毎に限定するように分割するというのでは、不便極まりないことになります。基本、今の営業路線を8市共同で行うと考えた方が妥当です。
 上水道も、浄水事業は府全体の共同事業に組み込まれるとして、給水事業は、8市共同で行う必要があります。下水道、ゴミ処理、消防・救急など、多分数え上げればきりがありません。
 病院事業のように、所在する市(都区)だけが管轄することにすると負担が大きくなりすぎる事業も、8市で負担を平均化するために、共同事業にする可能性は、十分あります。そうすると、美術館、博物館、大規模公園、高等学校、工業研究所、中央卸売市場など、様々な施設も、共同事業として、運営される可能性があります。

 それと、想像しにくいかもしれませんが、新市(都区)の区役所内の事務(例えば、住民票管理とか。)も、8市の共同事業になる可能性が、高いと考えています。
 何故かというと、今の自治体の事務って、その多くの部分で、システムが導入されています。大阪市でも、計算センターを置いて、多くの事務を、システムを使用しながら行っています。
 8市(都区)に分割されたからといって、計算センターを8つ作ったり、システムを8つに分割して、8倍の労力を掛けて、運用したり、修正したりするのは、無駄が多すぎるのです。(多分、共同運用してさえも、8都区化対応だけで、システム担当者は、システム修正の予算と労力に悲鳴を上げます。)そのため、8市に分割されても、今のシステムに修正を加えた上で、計算センターを共同運用すると考えられるのです。

 地方行政のシステムというものは、かなり事務のやり方を決めてしまいます。そのため、システムを共同運用するということは、事務処理マニュアルも、共有する必要が出てくるのです。こうなってくると、システムと直接関係しない申請書やパンフレットなどでも、共同発注した方が、手間を減らして、安く発注できますから、共通化しようと考えることは、十分にあり得ます。
 システム化って、規模の大きな事務ほど、導入されていますから、住民票管理、税、国民健康保険、福祉サービス、文書管理、職員の勤怠管理、給与事務などなど、こういった事務のシステム管理や事務処理マニュアルを8市の共同事業で行うとすると、その共同事業を行う部門は、解体したはずの市役所と見間違えるようなものになってしまいます。

 しかも、この共同事業を行う部門は、事務のやり方などについて、都区へ様々な指示を出してくるのに、建前としては各都区の事務を補助しているだけという立場で、市民に責任を負いません。そして、この共同事業を行う部門には、市民から選ばれた市長も市議会もありません。

 以前、8市分割のコストとして、今の大阪市の市役所でやっている仕事を、8つの新市でそれぞれで行う必要があるので、費用が8倍になると書きました。でも、その一部は、8市の共同事業として運用することで、そこまでの費用増は、避けられるのかもしれません。
 けれども、その替わりに、昔の市役所の幽霊のようなものに新市の区役所は統率されていて、その市役所の幽霊には、市民の意思を届けることができない。そんなもどかしい思いをする場面が、出てくることになるのかもしれません。
posted by 結 at 01:24| Comment(0) | 基礎自治体業務 | 更新情報をチェックする
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