2015年02月02日

大阪都構想の議論のかけら

 このブログは、ひとつの記事が長文で読みづらいので、このブログの記事の一部分の話題だけ取り出して、短く読めるようにしたブログ「大阪都構想の議論のかけら」を作ってみました。
 もし、もう少し、詳しい議論や関連の議論を見たいと思われた方がいるようなら、各記事からリンクさせてるので、このブログの元記事もご覧ください。

〇このブログのこと

〇橋下氏街頭演説 こういう大阪都構想の説明はいけないと思う・再び(ミニ版)

〇大阪都構想の「事業配分に沿った財源配分」が、大阪市民に損だと思う3つの理由
〇「事業配分に沿った財源配分」は保証されていない
〇大阪市民の単位で何も決められないのに、大阪市民の市財源で負担するのはおかしい
〇特別区が担当する6173億円部分の事務事業は、6173億円の財源配分で賄えないと思う
〇特別区の年間20億円のコスト増という試算は、全体のごく一部しか計上していない

〇特別区の区民が、自由な住民サービスのために使える財源は、一般の市町村より、ずっと少ない

〇特別区になった時のランニングコスト試算は、全体の1%しかしていない
〇大阪市一体の事務を5つに分割して実施すると、所要人員が減るという試算の背景
〇大阪市の本庁機能の分割を考える

〇協定書の大阪都構想が出来が悪いのは、こんな所
〇4000億円も統合すれば、数百億円の府市統合効果くらい出せよと思う

〇大阪都構想を知るには、協定書を読めばいいのか?

〇大阪都構想の効果額から、関係ない効果額を分けてみた
〇長期財政推計の効果額内訳の整理

〇財政シミュレーション時と協定書時点の特別区の再編コスト比較
〇特別区の不足分庁舎の新築は、ランニングコストの減なのか?
〇特別区の区議数を、現在の大阪市議と同じ86人にしたのは妥当か?

〇橋下氏の「2200億円は、大阪市域外には流れない。特別会計で管理する。都区協議会がチェックする」に矛盾と思うこと
〇財政調整特別会計は大阪市から移転される2200億円の一部しか管理しない
〇財政調整特別会計についての特別区設置協議会での説明

〇「大阪市の市税が、大阪市民だけのものではない」というヘンな話
〇市役所5分割のコスト増と24区役所を5つへ集約のコスト減、どちらが大きいか
〇5区案による30万人規模最適の否定は「こんな試算、やらない方がマシ」を示す

〇地域別サービスの希望を効率的に実現する方法の提案
〇統一地方選2015 大阪維新の会得票状況
〇ランニングコストの資料間での差異の整理


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2015年02月17日

大阪都構想って、こういうこと

 住民投票に向けて、「大阪都構想のこと、ちゃんと分かって、ぜひ投票に行きましょう」と言いたいけど、自分にしっくりとくる説明が見当たらないので、(説明下手なんですが)自分で書いてみることにします。

 まず、大阪都構想の目的だと主張されてるのは、主に次の3点と思います。

(1)大阪府と大阪市の二重行政を解消し、行政の無駄を無くす
(2)大阪府と大阪市の広域行政を、大阪府に一元化する
(3)巨大な大阪市を小さな自治体にして、首長と住民の距離を縮め、住民の意思が反映される自治体にする


 次に、大阪都構想の制度としての説明を、一番シンプルにすると
〇「大阪市を廃止して、市町村の替わりとなる5つの特別区を設置する」
〇「大阪市の行っていた業務のうち、広域行政部分を大阪府に移管し、基礎自治体の事業(=広域行政部分とした以外の事業)を特別区が担当する」(基礎と広域の権限整理)
・・・の2つかな?と思います。

 2番目の「基礎と広域の権限整理」をもう少し説明すると、大阪都構想は、特別区の住民となる大阪市民を(特にサービス面で)特別扱いする制度ではありません。
 「政令市の大阪市が、府県の仕事までいっぱいしてるので、大阪市の仕事を、府県の仕事と、市町村・特別区の仕事に分けて、大阪府は府県の仕事を府下一律で行うんだ」という考え方の制度です。


 5つの特別区を地域的に挙げると、次の通りです。
01特別区の位置図.jpg
   
025つの特別区.jpg

 大阪府と特別区の業務の分担から、代表的なものをピックアップしてみます。
【大阪府】
都市計画・大学・高校・病院・国府道・下水道・消防・港湾・企業支援など

【特別区】
保健所・児童相談所・小中学校・幼稚園・保育所・ゴミ処理・国保・生活保護・地域振興・福祉・戸籍・住民票などなど(府へ移行されなかった市民サービス全部)

 特別区の業務分担は、概ね中核市並みと説明されています。ただ、政令市の権限も残ってたり、一般市の大事な権限もなかったり、結構ズレがあります。


 ここまでの説明だけなら、「大阪都構想」なんて言わなくても、大阪市を分市で5つの中核市にして、政令市の権限を大阪府へ移管すると、大体、同じになります。

--------------------------- 補足説明開始 ---------------------------(追記 2015.07.12)
 大阪都構想を説明する時、「5つの特別区では、それぞれ、区長を選挙で選ぶことができるようになり、区議会も設置され、特別区それぞれで、予算の使い方を決めたり、条例を定めたり、できるようになる」と、何か特別なことができるように説明されます。
 でも、大阪市を分市して、5つの中核市にするなら、分市後のそれぞれの市で、市長や市議を選挙で選び、それぞれの市で予算の使い方を決めたり、条例を定めたり、できるのは、当たり前です。
 特別区は、大阪市廃止後の大阪市民の「市町村の替わり」になるものですから、「市長・市議」が「区長・区議」という呼び方になるだけで、区長(=市長)や区議(=市議)を選挙で選び、それぞれの特別区(=市のようなもの)で、予算の使い方を決めたり、条例を定めたりするのは、当たり前なのです。
--------------------------- 補足説明終了 ---------------------------

 では、「大阪市を5つの中核市に分市」と大阪都構想って、一体何が違うのでしょうか?

 それは、大阪市を廃止して設置する「特別区」っていうのが、普通の市町村とかなり違うものなのです。
 特別区が、普通の市町村とどのように違うかを理解するのが、「大阪都構想がどういうものか」を理解する一つのキーワードになります。


 普通の市町村と特別区の違いを端的に言うと、特別区は、大阪府の影響をとても受け易いのです。

 大阪府に対して、守口市は独立した自治体です。会社に例えると、大阪府という会社と、守口市という会社があって、取引関係はあっても別会社。
 守口市は、大阪府の下部組織ではないし、大阪府が、守口市民の支払った市税のうち、どれだけを守口市に与えるかみたいな、関与はできないのです。

 これに対して、特別区は大阪府の子会社みたいなもので、会社としての体裁はあっても、親会社からの影響を受け易い立場にあります。

 ちなみに、現在の大阪市の24区(=行政区)は大阪市の内部組織で、例えば北区役所は、大阪市役所の一部署です。会社に例えるなら、大阪市役所北支店。支店をいくつ合併しても、支店は支店だし、支店長は社長にはなりません。
 大阪市の内部組織の24区(=行政区)と、市町村の替わりである特別区は、全くの別物です。


 さて、特別区は、どんな風に大阪府の影響を受け易いのでしょうか?
 まず「権限」についてです。

 特別区の話の前に、まず、普通の市町村の話です。
 府県の権限と市町村の権限(=担当する業務範囲)は、法律で決められています。
 普通に市の権限だけを持つ「一般市」に対して、政令市、中核市、特例市は、それぞれの市域で、一般の市の権限(=担当する業務)に加えて、府県の権限の一部を担当します。

032政令市等の権限.jpg

 それぞれの市の権限(=担当する業務)は、法律で決まっていることなので、大阪府が変えることはできません。

 特別区の場合、法律で決まっている権限(=担当する業務)は、一般市より小さいです。
 ただ、大阪都構想の場合、特別区に、大阪府の権限(=担当する業務)を大阪府の条例で委任して、中核市並みの権限を与える(=中核市並みの業務を担当させる)としています。

052特別区の権限.jpg

 中核市などの権限(=担当する業務範囲)は法律で決まっているので、大阪府が変えることはできませんが、特別区の権限(=担当する業務範囲)は、大阪府の条例で決めるので、大阪府が(勝手には無理としても)変えることができます。
 ですから、大阪都構想に反対の方からは「特別区の権限は不安定」と指摘を受けます。


 次に「財源」についてです。

 特別区の話の前に、まず、普通の市町村の話です。
 政令市、中核市などの権限(=担当する業務範囲)と、府税・市税の配分を並べてみました。
 
062政令市等の権限と財源.jpg

 政令市、中核市、特例市は、府県の業務の一部を担当するのに、府税(の一部)は移管されてなくて、市税を府県の業務の財源に充てます。

 このことについて、法定協議会の前身の協議会で、橋下市長が端的な指摘をしています。
「大阪市民は、市役所を通じて広域のことを決めようとするから、市税で負担することになるんだ。大阪市民は、府税も払っているからダブル負担だ。市役所を通じて、口出ししようとするから、責任も負わなきゃいけないことになる」(要約済みです。参照:大阪市民の単位で何も決められないのに、大阪市民の市財源で負担するのはおかしい
 言い方は、ともかくとして、そういうことなんだと思います。

 わたしは余り納得できないのですが、政令市(その小規模版の中核市、特例市も同じ)が府県の権限を、自分たちで決めたかったら、府税の移管はしないから、(本来、身近な行政のための財源である)市税の一部を割いて、やってねという仕組みです。(国からの地方交付税が、多少補填してくれますが)

 普通の市の場合、市税と府税の流れは、こんな風で、シンプルそのものです。
08市町村の納税と住民サービス.jpg

 これに対して、特別区の財源の仕組みは、かなり複雑です。
09特別区の納税と住民サービス.jpg

 複雑になってるのは、市税の一部と特別区の地方交付税が一度大阪府に集められて、大阪府から特別区へ交付する流れになるからです。特別区へ交付しなかった分は大阪府の財源になります。
〇特別区が、大阪府を経由せず、直接に市民から受け取るのは市税は約4分の1です。(大阪府からの交付金に依存するので、影響を受け易いのです)
〇財政調整後、特別区の財源となるのは、市税(市財源)の約4分の3。大阪府の財源となるのが約4分の1。

(注)特別区設置協定書には、財源配分の割合は、知事と市長が協議して決めるとするだけで、明記されていません。説明の配分割合は、法定協議会の資料に、見通しとして示されている数字を使用しています。

 こういう複雑な財源配分の仕組みを採るのは、
〇特別区間で財政格差があるため、財政調整をして、財政格差を無くすため
〇調整財源など、市財源(市税や特別区の地方交付税)の一定割合を大阪府の会計に繰り入れるのは、大阪市から広域行政の事務と財源をセットで移管するため
・・・だとしています。

 この結果、政令市である大阪市の業務範囲から、特別区は中核市並みへと業務範囲が縮小し、府税と市税の配分は、特別区が市税の概ね4分の3、大阪府が「府税+概ね市税の4分の1」になりました。

072特別区の権限と財源.jpg

 特別区は市の業務に加えて府県の業務の一部も担当し、中核市に近い業務を担当するのに、市税の4分の3しか持たない結果になってて、何かヘンです。
 特例市や一般市と比べると、特別区は特例市や一般市より多くの仕事を担当するのに、特例市や一般市と同じに市税を持たない結果で、何ともヘンです。

 大阪都構想に反対の方からは「特別区は、普通に市町村が持つ財源も与えられなくて、村以下」とします。
 大阪都構想に賛成の方からの説明は「(大阪市民はいっぱい市税を払うから、例え大阪府が4分の1抜いても)特別区は中核市並みの財源『額』が与えられる」となるようです。


 簡単にメリット・デメリットを並べてみましょう。

【メリット】
〇二重行政の無駄が解消される(と主張されている)

〇大阪府が一元的に広域行政を行うことで、大阪が成長する(と主張されている)

〇自治体運営に住民の意思が反映され、地域ニーズを反映したきめ細やかな住民サービスができる(と主張されている)

【デメリット】
〇大阪市民にとって、市町村(=現在の大阪市)の替わりとなる特別区が、(特に財政的に)大阪府から独立しておらず、影響を受け易い。

〇(大阪市民以外の府民は、そんな負担しないのに)大阪市民だけが、(府税に加えて)市税の一部を割いて余分に大阪府の財政を負担する、不公平な制度になる。

〇大阪市一体で行っている事務を、5つの特別区で分割して実施することになるため、スケールメリットが失われ、毎年の行政コストの増加や、専門性の低下による行政レベルの低下が予想される。
(示されてる試算では、大阪市一体の事務を、5つの特別区で分割して実施すると、毎年の行政コストが下がり、今まで通りの財源で黒字が出るとされてますが、試算の内容を詳しく見ると、色々とヘンなところが・・・)

 ちなみに、大阪都構想というのは、大阪市の年間1兆7千億円の歳出額のうち、4千億円部分を大阪府と統合し、1兆3千億円部分を5つの特別区に分割するものです。
 4千億円部分を統合する統合効果と、1兆3千億円部分を5分割するコスト増のどちらが大きいかなんて、それほど議論が要る話とは思わないのですが。

 その他にも、初期費用が巨大だとか、一部事務組合に問題があるよとか、財政難の大阪府の影響を特別区が受けたりしないの?とか、色々と指摘を受けてることはありますが、割愛します。


 メリット・デメリットを箇条書きで挙げてみましたが、例えば、メリットで挙げてる内容って、現在の制度設計で、お題目通りに効果が本当に出てくるの?みたいに、色々と追加で知って置きたい話がいっぱいあります。

 次回以降、そういった論点の整理を、一項目ずつしていきます。

論点1:二重行政の無駄解消って、どれくらい?
論点2:広域行政一元化で、大阪が成長するの?
論点3:特別区になると、住民の意思が反映されるようになるの?
論点4:大阪市民だけが、市税を割いて余分に府財政を負担する
論点5:特別区の行政サービスは低下する
論点6:特別区のコスト試算は杜撰

総論:大阪都構想のメリット・デメリットを見てみたら


過去記事の整理:大阪都構想の議論のかけら
〇橋下氏街頭演説 こういう大阪都構想の説明はいけないと思う・再び(ミニ版)
〇大阪都構想の「事業配分に沿った財源配分」が、大阪市民に損だと思う3つの理由
〇協定書の大阪都構想が出来が悪いのは、こんな所
〇橋下氏の「2200億円は、大阪市域外には流れない。特別会計で管理する。都区協議会がチェックする」に矛盾と思うこと
〇特別区の区議数を、現在の大阪市議と同じ86人にしたのは妥当か?
〇大阪都構想を知るには、協定書を読めばいいのか?
posted by 結 at 04:23| Comment(0) | 概要 | 更新情報をチェックする

2015年02月26日

(論点1)二重行政の無駄解消って、どれくらい?

 大阪都構想というと「二重行政の解消で、行政の無駄を無くす」と語られます。でも「それって、どれくらい?」というと、よく分からないという話も少なくないようです。
 スパっと整理とはいきませんが、わたしなりの意見を書いてみます。

 「二重行政の無駄って何?」という話自体が、最近の橋下氏の話って、分かり難くなってるようなので、大阪都構想を言い出した当時の橋下氏の説明に戻ってみます。

大阪維新の会 生野区タウンミーティング(2010.06.22)から一部抜粋
http://kiziosaka.seesaa.net/article/414671376.html
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
大阪都構想のもう一つの重要なメリットはね、無駄の排除、これもね、少々の無駄の排除じゃないですよ。もう、それこそ、みなさんね、「びつくり」、びっくり通り越してね、「びつくり」状態になるくらいの無駄の排除ができますよ。

 どういうことかと言えばね、体育館から何から何まで、もう全部、大阪府と大阪市は別々に作ってる。(中略)

 大学、東京でも、首都大学・東京、ひとつですよ。大阪府は、府立大学と市立大、しかもこれ、総合大学ふたつ持ってる。(中略)合わして230億、40億の金を注ぎ込んでる。一方東京の方は、財布をひとつにして、ひとつの大学を運営してる。170億の運営金でやってるんですよ。

 全部、ふたつ作ってる。これをガッチャンコして、(中略)余ったお金で、福祉や医療、そういう所にお金を回す。これが僕らの構想なんです。
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

2010年7月26日毎日放送「ちちんぷいぷい」より
http://miniosaka.seesaa.net/article/158394208.html
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
何故、市の職員が多いかっていうと、大阪全体のことをやる職員もいっぱいいるからなんですよ。大阪府庁とダブっちゃってるんですよ。
 これ全部一緒にしてですね、大阪の全体のことをやる職員と、住民に身近な職員を分ければね、大阪府庁と大阪市役所、併せて考えれば、職員、もっともっと減らせられるんです。
 で、そのお金を、どんどん、教育、福祉、医療に回せばいいじゃないですか。
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 「大阪府と大阪市で、ダブって同じような事業をしてるから、お金も職員も、いっぱい必要になってる。大阪府と大阪市をひとつにして、大阪府と大阪市の事業をひとつにしたら、お金も職員もいっぱい減らせるから、そのお金を教育、医療、福祉にお金を回す」と。
 とても分かり易いです。

 では、大阪都構想の協定書まで完成して、どの位のお金が出てきたでしょうか?

 2011年12月の第1回大阪府市統合本部会議で、府市の統合で行政コスト・年間4千億円の削減を打ち出しましたが、こんなお金は出てきませんでした。

 2013年8月、大阪都構想で、年間900億円とか1000億円とかの効果額(876億円〜976億円)とぶち上げましたが、この数字は、過去の改革効果額(例えば廃止済みの赤バスの予算削減額や、既に削減済みの職員の人件費など)も、積み上げた金額なので、最近、あまり使ってないように思います。

 最近、橋下氏らがよく使っているかなと思うのは、協定書案の時に出した長期財政推計の財政推計算入効果額(平成45年度時点)の

効果額   年間273億円
再編コスト 年間44億円
差引効果額 年間229億円

という数字です。
 財政推計算入効果額というのは、要するに「今後発生する効果額」ということです。
 平成29年度から平成45年度までの17年間の差引効果額を合計した2634億円、年平均155億円という数字も使われますが、これは平成45年度時点の差引効果額229億円の集計方法を変えただけです。

 ただ、この差引効果額229億円は、地下鉄民営化やゴミ収集民営化など、大阪都構想と関係のない効果額をいっぱい含んると、批判されています。

 批判する野党側は、大阪都構想の効果額は、年間1億円とか、ゼロとか主張しています。「大阪都構想でなければ実現できない効果額」は、年間1億円とかゼロなのだそうです


 ここまでだと、新聞記事に書いてるような話を並べただけなので、ここからは、わたしなりの見解です。

 橋下氏らが使う差引効果額229億円も、地下鉄民営化など大阪都構想と関係のない効果額をいっぱい含んでておかしいと思いますし、野党の主張する「大阪都構想でなければ実現できない効果額」というのも、極端過ぎます。

 このブログでは、
〇大阪府と大阪市の組織統合による効果額
〇大阪市を特別区に分割することによる効果額
・・・の2つを大阪都構想に関係する効果額としてます。

 更に
〇府市の組織統合に伴う効果額に、無関係な効果額が含まれていて分けられないものは、原則、全部を大阪都構想の効果額に分類する。(結構、大きいです)
〇既に実現済みの効果額は含めない。
・・・として考えます。


 これで差引効果額229億円を分類すると、次のようになります。(参照:大阪都構想の効果額から、関係ない効果額を分けてみた

092効果額分類の集計表02.jpg

 この分類だと、大阪都構想の効果額は、(府市統合関係と特別区分割関係を足した)効果額124億円、コスト44億円、差引効果額80億円となります。

 ところで、最初の「二重行政の無駄って、どれくらい?」に戻りましょう。
 「特別区に分割することによる効果額」は、二重行政の無駄解消ではありませんから、二重行政の無駄解消は「府市統合関係」だけで、コスト差引前でも39億円に止まります。

 この39億円という数字は、大阪市の4千億円の事業部分を、大阪府の2兆7千億円の一般会計と統合したにしては、小さ過ぎます。
 二重行政の無駄などなくても、4千億円もの事業部分を統合するなら、数百億円の統合効果くらいありそうなものです。二重行政の無駄が解消されるなら、それより更に大きいはずです。

 大阪市の4千億円の事業部分を統合しながら、統合効果39億円という数字は、通常の類似事業統合の統合効果の捻出にも失敗してるということです。(参照:(補1)大阪都構想の統合効果が悲し過ぎる
 二重行政に関して言えば、「二重行政の無駄が存在するとは示せなかった」または「二重行政の無駄があるとすれば、この案では、その解消などできない」といえます。
 この効果額をもって、「二重行政の無駄が解消される」というのは、無理があります。


(追記1)
 「二重行政の無駄」はともかくとして、大阪都構想の効果額は、効果額124億円、コスト44億円、差引効果額80億円でいいのでしょうか?

 差引効果額229億円の分類としては、そうなるのですが、わたしは差引効果額80億円とは評価しません。
 主に特別区分割の効果額85億円、コスト38億円、差引効果額47億円の試算そのものに疑問があるからです。

 特別区分割で差引効果額47億円という試算では、次の2つが重要です。

〇大阪市一体で行う1兆3千億円部分の事業を、5つの特別区でそれぞれ行うことにして、
(1)ランニングコストのコスト増が年間20億円(0.15%増)に止まる。
(2)所要人員が約15%削減できる。(年間67億円の経費削減)

 でも、どのように試算してるかの内容を見ると、とても信じられるようなものではありません。
(参照1:特別区になった時のランニングコスト試算は、全体の1%しかしていない)
(参照2:大阪市一体の事務を5つに分割して実施すると、所要人員が減るという試算の背景

 例えば、(1)のコスト増の年間20億円って、歳出額で120億円部分(システム経費とビル賃料と議員報酬の3項目のみ)のコスト増試算(16%増)しかしてなくて、試算せずに「増減なし」とした残りの1兆1千億円以上の一部でも、同じような割合のコスト増になれば、数百億円のコスト増なんて、簡単に発生してしまいます。
 勿論、そんなことになれば、大赤字です。

 特別区分割で試算以上のコスト増になると、特別区の財源は増えないので、住民サービスを削って、埋め合わせることになります。

(追記2)2015.04.25
(追記1)の「(1)ランニングコストのコスト増が年間20億円(0.15%増)に止まる」の試算の問題について、「(論点6)特別区のコスト試算は杜撰」で改めて整理しました。こちらも読んで頂けると嬉しいです。


【大阪都構想のまとめ記事】

大阪都構想って、こういうこと

論点1:二重行政の無駄解消って、どれくらい?
論点2:広域行政一元化で、大阪が成長するの?
論点3:特別区になると、住民の意思が反映されるようになるの?
論点4:大阪市民だけが、市税を割いて余分に府財政を負担する
論点5:特別区の行政サービスは低下する
論点6:特別区のコスト試算は杜撰

総論:大阪都構想のメリット・デメリットを見てみたら


過去記事の整理:大阪都構想の議論のかけら
〇橋下氏街頭演説 こういう大阪都構想の説明はいけないと思う・再び(ミニ版)
〇大阪都構想の「事業配分に沿った財源配分」が、大阪市民に損だと思う3つの理由
〇協定書の大阪都構想が出来が悪いのは、こんな所
〇橋下氏の「2200億円は、大阪市域外には流れない。特別会計で管理する。都区協議会がチェックする」に矛盾と思うこと
〇特別区の区議数を、現在の大阪市議と同じ86人にしたのは妥当か?
〇大阪都構想を知るには、協定書を読めばいいのか?

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