2014年12月18日

衆院選2014 維新の党の大阪府での得票状況

 テレビなどで既に語られている話も多いと思いますが、得票状況を見ながら、思ったことを書いてみます。

 まず、衆院選の大阪府内での得票状況は、次の通りです。
01衆院選2014大阪府の得票率.jpg

 今回の特徴は、選挙区と比例の得票率のねじれです。
 維新は、大阪府内の19選挙区中14選挙区に候補者を立て、5勝9敗と大敗でした。
 これに対して比例では、比較1位の得票を維持しました。

 このことは得票率にも表れていて、比例では32.4%と自民、公明を寄せ付けない得票率を誇ります。
 これに対して、選挙区では(維新擁立の14選挙区のみで見ると)維新の36.1%に対し、自民が39.5%と、自民が上回る結果となりました。


 まず、各党への支持がストレートに表れやすい、比例の方から見てみます。(定数1の選挙区は、候補者の擁立状況によって、得票率が極端に動いたり、上ブレし易いので、評価し難いのです)

02比例得票率推移.jpg

 維新結成後の2011年の統一地方選から、今回の衆院選までの得票率の推移です。
 2011年の統一地方選や前回衆院選では、維新旋風が吹き荒れ、今回の衆院選では風が無かったような言い方がされますが、得票率で見ると、3割強で推移していて、大きくは動いていません。
 流石に、慰安婦発言直後の2013年参院選では、少し落としていますが。

 2011年の統一地方選以降の3年の間に、この3割強の得票が、維新の固定票となってきていると見るのが、いいのかもしれません。


 次に、選挙区(または1人区)での維新の勝敗の推移です。
03選挙区での維新勝敗推移.jpg

 維新というと以前は、市長選や補欠選挙など、「定数1」の選挙なら、現職すら負かして、絶対に勝つ無類の強さが売りでした。
 でも、この推移を見ると、そういう強さは失われてきていることが分かります。

 今回衆院選の維新擁立14選挙区での5勝9敗は、前回衆院選での12勝2敗とよく比較されますが、2011年の大阪府議選では、定数1の選挙区に擁立した28選挙区中、26勝2敗というワンサイドゲーム状態で、この結果、維新は大阪府議会で過半数の議席を獲得しました。

 推移表は、維新と2位との差(維新が負けの場合、維新と1位の差)が、10%以上か、10%未満かで、「圧勝」「辛勝」「惜敗」「惨敗」に分けてみました。

 圧倒的な強さで、他党を寄せ付けなかった2011年の大阪府議選に対し、前回の衆院選では、かなり差を詰められ、今回の衆院選では、完全に逆転されていまっていることが分かります。

 比例で3割強の得票率は変わっていないのに、どうして「定数1」の勝敗は、こんなに変わったのでしょうか?

 ひとつは自民党の状態という、外的な要因があります。
 2011年当時は、まだ2009年の政権選択選挙の余波も残り、自民党は冬の時代でした。その上、2010年の大阪維新の会の結成は、大阪府議会では、事実上、自民党からの分党でしたから、組織を割られて、自民党大阪府連はガタガタだったと思います。
 そこから、自民党が力を戻し、維新と拮抗できるようになってきたというのは、あると思います。

 でも、それ以上に、維新自身の要因があるように思います。
 「定数1」の選挙は、維新支持の3割強の票だけでは勝てません。
 かつては、「定数1」を争う時は、維新支持層に加え、「比例では、自民、公明、民主に投票する層」からも、得票を引っ張ってくる強さがありました。
 現状は、維新支持層の3割強以外に、得票を広げられなくなってきてるのだと思います。

 違う見方をすると、強固な3割強の維新支持層と、それ以外の市民で、溝ができつつあるのかな?と思います。


 今回の衆院選の結果から、来年4月の大阪府議選、大阪市議選を予想すると、どうなるでしょうか?
(今回の維新は、「取り過ぎ」とか「負け過ぎ」とか、意見は色々とあると思いますが、「このままだったら」として考えます)

 定数2〜6の大阪市議選は、比例の得票率32.4%を参考にするのでいいと思います。
 定数2〜3の選挙区では1議席、定数4〜6の選挙区では2議席獲得できるとすると、次の表のように34議席という計算になります。
04市議選獲得議席予想.jpg

 この議席獲得予想は、かなり理想的に得票を活かせた場合となります。
 例えば、定数4で2議席を獲得するには、上手な票割りが必要で、どちらかがトップ当選とかしてしまうと、2議席目は難しくなります。
 ですから、これ以上の議席獲得はかなり難しくて、やや下ブレリスクはある数字なのかなと思います。

 34議席の予想というのは、3分の1超えはできそうですが、過半数はまず無理、下手をすると3分の1ラインの29議席前後もあり得るという感じかなと思います。

 3分の1超の議席を確保できるかは、市議会の議決を、市長の再議で潰せるかが関わってくるので、現状、かなり重要です。
(異常なことですが、現在の大阪府議会、大阪市議会では、議会の議決を市長・知事の再議で潰すケースが多発しています)


 定数1〜5ながら、53選挙区中、定数1の選挙区が31と選挙区の6割(議席数の35%)を占める大阪府議選では、衆院選の比例の得票率32.4%と、衆院選選挙区の議席獲得割合「3分の1」の両方を参考にします。

 定数1は3分の1の獲得割合、定数2〜3は1議席を獲得、定数4〜5は2議席を獲得できるとすると、次の表のように37議席という計算になります。
05府議選獲得議席予想.jpg

 37議席の予想というのは、3分の1超えはできそうですが、過半数はなかなか難しいという感じかなと思います。

 大阪府議会で維新が過半数を割りながら、維新ペースで議会運営を行えているのは、議長と議会運営委員会の過半数を押さえているからです。
(議会の多数意見を抑え込んで、議長や議会運営委員会が一党派に偏向した議会運営を行うというのは、異常そのものではありますが。)

 この計算の37議席では、来年度には、維新は議長や議会運営委員会の多数を失い、大阪市議会と同様に野党ペースの議会運営となるでしょう。

 今回の衆院選の結果で、来年4月の大阪府議選、大阪市議選を予想すると、維新の大敗といったことは見込めませんが、大阪府議会の維新支配は後退します。
 大阪府議会で、維新が半数前後の議席を得るためには、定数2〜5の選挙区で、しっかり得票を活かした議席確保に成功した上で、定数1の選挙区で、せめて半数程度(できれば半数以上)の議席獲得が求められます。
posted by 結 at 04:53| Comment(0) | その他 | 更新情報をチェックする
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