2012年05月20日

大阪市・市政改革プランの改革規模は1786億円?それとも500億円?

 4月に市政改革プランの試案が打ち出されてとして、次の記事が報じられました。
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大阪市「3年で548億円削減」 高齢者に厳しい改革案
朝日デジタル 2012年4月5日13時51分
http://kiziosaka.seesaa.net/article/262505565.html

 大阪市は5日、市政改革プランの試案を公表した。財政難を踏まえ、市独自の福祉事業や施設を廃止し、2014年度までの3年間で約548億円の歳出削減効果を見込む。橋下徹大阪市長は「現役世代の重視」を掲げており、高齢者や低所得者には厳しい内容のリストラ策となりそうだ。

 橋下氏は、5日の市戦略会議で試案を了承。報道陣に「市民は認識していないかもしれないが、至る所で非常にぜいたくな住民サービスを受けている。標準レベルに落とさせてと訴える」と述べた。

 市は今後、地下鉄運転士ら現業職員の給与カットや外郭団体の統廃合、新たな歳入確保策などを盛り込んで6月に成案をまとめ、7月に開かれる臨時市議会に提出する方針。

 市は2月、今年度の一般会計の収支不足が535億円にのぼり、今後10年は500億円規模の収支不足が続くと試算。「民間でできることは民間に」「現役世代への重点投資」を基本方針に、1億円以上の事業について総点検してきた。

 この結果、比較的手厚かった住民サービスは、横浜市や神戸市など他の政令指定市の水準に合わせ、各種団体への補助金も443事業のうち104を廃止、削減するとした。
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 一般会計の通常収支(収入から、土地の売却代金や蓄積基金を取り崩した収入を除いた収支)が、毎年500億円ほど不足するから、大阪市民の「贅沢な」住民サービスを削減・廃止して、3年間で548億円(最終年度で年間288億円)の歳出削減を打ち出しますよ、という話でした。
 現業職の給与カットや外郭団体の統合で、更に歳入確保をするともしています。

 この発表から1ヶ月、主に市役所内で事業の担当部局と協議して(また、市民や市議さんの反応も見て)、5月に市政改革プランの「素案」が発表され、新聞の記事では次のように報じられました。
(1768億円の記事)
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橋下行革、3年で1768億円捻出 現役世代に重点投資
朝日新聞デジタル 2012年5月11日
http://kiziosaka.seesaa.net/article/269613653.html

 大阪市は11日、今年度からの3年間で市が取り組む行財政改革をまとめた「市政改革プラン」の素案を発表した。人件費カットや市民サービスの見直しで最大1768億円の財政効果を見込み、中学校給食の実施など新規事業に振り向ける。橋下徹市長が掲げる「現役世代への重点投資」を反映し、市民の意見や来週開会の市議会での議論を踏まえて6月中に成案をまとめ、7月編成の本格予算案に盛り込む。

 橋下氏は11日、報道陣に「素案は住民サービスに直結しており、様々な意見を聞いて総合判断した」と述べた。

 市長直属の改革プロジェクトチーム(PT)は4月、1億円以上の445事業のうち106事業を廃止・削減する改革プランの試案を公表。その後、担当部局とPTの討論を踏まえ、区民センターを34館から9館に絞る当初方針を修正して全館存続させるほか、反発が大きい70歳以上が市営地下鉄やバスを無料利用できる敬老パス制度の見直しについては、自己負担や上限額を設定する五つの案を提示。市民の意見を募る。

 素案では、2014年度までの3年間で、事業費の見直しで488億円の財政効果を見込むほか、人件費の削減で408億円、不要な市有地の売却で554億円をそれぞれ確保。外郭団体との競争性のない随意契約266億円も見直し対象とし、団体数も72団体(昨年度)を半数以下にするとした。
市政改革プラン財政効果.jpg
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(488億円の記事)
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大阪市:市政改革素案 歳出削減、60億円圧縮 反発考慮、収支均衡遠のく
毎日新聞 2012年05月11日 大阪夕刊
http://kiziosaka.seesaa.net/article/269614176.html

 大阪市は11日、今年度から3年間で市民サービスに関わる106事業を廃止・縮小し、計488億円の歳出を削減する「市政改革プラン」の素案を公表した。市の改革プロジェクトチーム(PT)が4月に公表した事業見直しの「試案」をたたき台に、担当部局との議論や議会の要望を反映した。区民センターの統廃合を白紙に戻すなど、削減額を試案より約60億円圧縮した。市民負担が緩和される一方、橋下徹市長が目指す財政収支の均衡は遠のいた。

 橋下市長は11日、「市は基礎自治体なので住民サービスに直結している。さまざまな意見を聞いて総合判断する」と述べた。29日まで市民の意見を募るパブリックコメントを実施し、6月上旬に改革プランの成案を作成。7月の議会に議案として提出する。

 PTは4月、3年間で計548億円削減する試案を公表した。高齢者が無料で市営地下鉄・バスを使える「敬老パス」は、利用者の半額負担など3案を提示し、区民センターは34カ所から9カ所程度に統廃合するとした。上下水道基本料金の減免廃止や、新婚世帯家賃補助の新規募集停止など市民生活に影響が大きく、市民や議会から批判が相次いだ。
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 上の「1768億円の記事」では、改革プランが「素案」になって、最大1768億円の財政効果となったとしています。4月の試案が548億円の削減ですから、比較すると3倍以上の財政効果を上げる改革になったという報道です。(他の新聞の記事やTVニュースでも、こちらの方向性が多かったように思います。)

 下の「488億円の記事」では、議会の要望などで、改革プランの「素案」は、4月の試案548億円より60億円圧縮され、歳出削減は488億円に減少するのだそうです。
 そのため、市民の負担は緩和されるけど、橋下市長の目指す(土地売却代金や基金の取り崩しの収入を除いた収支での)収支均衡は遠のいたのだそうです。

 上の「1768億円の記事」と下の「488億円の記事」では、同じ市政改革プランの「素案」に対して、全く違うことを言ってるように見えます。
 「この二つの記事、何か変だなぁ」というところから、市政改革プラン(素案)について、今回は見ていきたいと思います。


 どうやら、記事で使われている数字は、市政改革プラン(素案)の中のこの表の数字ようです。(オリジナルはコチラ
取組見込額11.jpg
(表の注釈 ※1〜5)
※1
・大幅な人件費削減効果をスピーディに得るべく、特例減額(いわゆる給与カット)により、平成24年度当初から人件費を削減(一般会計第1部ベースの効果見込額 ▲約66億円
・なお、効果見込額の()内の額については、財政収支概算(粗い試算)に既に織り込み済みのため、通常収支不足に対する効果見込額には算入していない。
・また、この改革取組期間終了後も人件費削減効果が得られるよう、今後も引き続き人員削減や現業職員等の見直しに取り組む。
※2
・取組見込額については、競争性のない随意契約の見直し対象額であり、この金額の全てが削減されるものではない。
・効果額については、今後の取組による決算額の検証を踏まえ確定するものであることに加え、「施策・事業の聖域なきゼロベースの見直しと再構築等」などと重複するものもあるので、通常収支不足に対する効果見込額には算入していない。
※3
取組見込額及び効果見込額については、平成24年度通年見込みベース
※4
個別実施計画策定時に算定
※5
・効果見込額の()内の額については補てん財源のため、通常収支不足に対する効果見込額に算入していない。
・また、平成24年度の効果見込額からは特定財源分(72億円)を除いている。


 上の表が「取組見込額」となっていて合計1748億円、下の表は「通常収支不足額(500億円)に対する効果見込額」で合計505億円。
 「1768億円の記事」は上の表の数字を「財政効果」の額としていて、「488億円の記事」は、上下の表で共通する「施策・事業の聖域なきゼロベースの見直しと再構築等」の項目の数字を使って報じてるようです。
 でも、上の表の「取組見込額」と下の表の「効果見込額」、数字に大きな開きがありますが、どう違うのかはよく分かりません。
 なので、項目を一つずつ見ていきたいと思います。

 まず、「人件費の削減」です。
 上の表では、毎年136億円、合計408億円が計上されていますが、下の表では毎年66億円が()書きになっていて、下の表の全体の合計には計上されず、上の表と下の表で大きな差がある、大きな要因となっています。

 この人件費削減の「136億円」というのは、今年1月に発表し当初予算にも計上済みの「大阪府並みへ14〜3%の給与カット」(当時の記事はコレ)のことです。
 下の表が66億円になってるのは、給与カット136億円のうち、税金から給料を支払っている職員さんの給与カット分(一般会計分)が66億円ということで、この分は住民サービスに使ったり、収支不足の補填に使ったりすることができます。
 136億円と66億円の差額の70億円は、例えば水道のような事業会計から、給料を支払っている職員さんの給与カット分なのでしょう。この分は、水道会計なら、基本は水道料金から支払ってる給料なので、給与カットをしても水道事業のためにしか使えません。(住民サービスの財源や、一般会計の収支不足の補填に使うことはできません。)そのため、差額の70億円は計上しないのでしょう。

 66億円が()書きになっていて、下の表の全体の合計に計上されていないのは、この給与カットが今回の改革プランで新たに実施するものではなく、500億円の収支不足だとした2月の「今後の財政収支概算」の段階で、66億円の給与カットを計上した後の数字だからです。(平成24年度当初予算では、66億円の給与カットの他に、記事によると[当時の記事はコレ]172億円の歳出増もあったようです。)

 つまり、上の表の人件費削減136億円は、既に実施済みのもので今回の改革プランで行う訳じゃないし、全額が行政サービスや収支不足のための財源になる訳じゃないけど、それだけの給与カットをしたのは間違いないから、成果として挙げておこうというもののようです。
 でも、今回の改革プランの中で、500億円の収支不足を改善する効果額はゼロだから、下の表では()書きだけしておいて、全体の効果額には含めないでおこう、ということのようです。


 次に「外郭団体との競争性のない随意契約の見直し」を見ていきましょう。
 でも、これが何とも奇妙な数字なのです。
 上の表では合計266億円を計上していますが、下の表では実施してみないと効果額が分からないとして、全体の効果額に計上されていません。

 「1768億円の記事」でいう「最大1768億円の財政効果」というのは、「外郭団体との随意契約の見直し」で、契約額を266億円削減できた場合の数字です。別の記事では、この部分を「OB再就職の受け皿となっている外郭団体への事業発注について、割高になりやすい随意契約を見直し、発注額を最大266億円減らす。」と説明しています。

 でも、表の注書き(※2)でこの項目について「取組見込額については、競争性のない随意契約の見直し対象額であり、この金額の全てが削減されるものではない」とされています。
 つまり、266億円とは外郭団体との(見直し対象にする契約の)契約金額の全額であり、(競争入札に切り替えや値下げ交渉をするなどの)見直しで何割か安くなることはあるかもしれないが、266億円の削減とは、現在、合計266億円で契約してる事業を全部無料で契約できた場合なので「絶対にない」と言ってるのです。

 その点を理解すると、上記の記事の「最大1768億円の財政効果」とか「随意契約を見直し、発注額を最大266億円減らす。」の説明が「誤った説明」であることが分かります。

 「人件費の削減」の項目も、「施策・事業の見直しと再構築等」の項目も、(人件費の全額や施策・事業予算の全額ではなく)削減額を書いているのに、「外郭団体との随意契約の見直し」は削減額でなく「契約額の全額」を挙げてしまっているので、削減額と契約額全額を足してしまった1768億円が、意味不明の数字になっているのです。
 意味不明でも何でもいいから、市政改革プランと共に報じられる数字ができるだけ大きくなるように、契約額の全額266億円を上の表に計上したのでしょうけれど、報道では1768億円は(表現は様々でも結局)削減額として報じられてますから「誤報」が市民に伝えられていることになります。


 次に「未利用地売却収入」です。
 上の表では合計554億円が計上されてますが、下の表では合計482億円が()書きで挙げられるだけで、全体の効果額には計上されていません。

 わたしは、「未利用地売却収入」を今回の改革プランに計上するのは、2つの意味でおかしいと思っています。

 一つ目は、今回の改革プランを必要だとした500億円規模の収支不足とは、「補填(ほてん)財源に頼らず、収入の範囲で予算を組む」(元の記事はコレ)として、「税収のような毎年の収入とはいえない」基金の取り崩しや未利用地売却収入を除いて計算した時の収入の不足額です。
 未利用地売却収入は、毎年150億円程度ありますから、これを収入に含めるなら、元々、不足額は350億円程度なのです。

 未利用土地売却収入を自治体収入として、当てにしていいかどうかは、様々な考え方がある部分に思います。
 でも、「未利用土地売却収入は除いて計算するべきで、そうすると500億円規模の収支不足だ!」「だから収支改善が必要だ」としながら、未利用土地売却収入を改革プランの取組額に計上したり、効果額に表記するのは、おかしいでしょう。

 二つ目は、未利用土地売却収入は、別に新たな収入ではなく、これまでからあった収入です。昨年度も146億円、今年度も当初予算時点から182億円計上されていて、500億円が収支不足になるとした2月の「今後の財政収支概算」でも、平成25年度から平成30年度で840億円(年平均140億円)を予定しています。(元資料はコレ
 元々予定されている収入を、新たに収入確保を行ったかのように、改革プランの取組額に計上するのは、おかしいでしょう。


 大きなものとしては、以上の3項目を疑問に思います。
 「人件費の削減」(408億円)は、今回の改革プランでの取り組みではない。
 「外郭団体との随意契約の見直し」(286億円)は、見込みが立てられず計上できない。286億円の財政効果はありえない。(下の表の効果見込額で「決算額を踏まえて毎年度確定」として見込額を計上してないのはそういうことです。)
 「未利用土地売却収入」(554億円)は、元々「除いて収支改善を図る」がスタンスだったし、元々予定されていた未利用土地売却収入を取組額に計上するのはおかしい。

 上の表の1768億円から、この3項目(合計1248億円)を除外すると、520億円で、下の表の効果見込額505億円とほとんど差はなくなります。

 結論として、これまで見てきた考え方からすると、上の表の「市政改革プラン(素案)に基づく取組見込額」1768億円は意味のある数字とは考えられず、「最大1768億円の財政効果」とか「最大1768億円のリストラ効果」といった報道は、「誤報」の類と思われます。

 下の表に挙げられた「市政改革プラン(素案)に基づく効果見込額」の505億円(最終年度、年間266億円)が、今回の改革プランの改革規模と捉えるのが良いようです。(ただし、未利用土地売却収入の項目は表記だけでもおかしいですが。)
 橋下市長は今回の市政改革プラン(素案)を「知事時代にやった3年9カ月分の改革を詰め込んだ。難しかった敬老パス事業の改革案が入っており、自治体としてこれ以上のものを出すのは無理。」(元記事はコレ)とまで自画自賛されてますので、改革規模をできるだけ大きな数字で、報道させたかったのでしょう。
 3年間で累計505億円(最終年度、年間266億円)の改革規模で、住民サービスを削減・廃止しまくるというのでは、関・平松市政当時の市政改革と比較すると、かなり見劣りしてしまいますから。


 「488億円の記事」や市政改革プラン(素案)そのものにも、つっこみたい点があるので、もう少し、続けます。

 「488億円の記事」の記事で「区民センターの統廃合を白紙に戻すなど、削減額を試案より約60億円圧縮した。市民負担が緩和される一方、橋下徹市長が目指す財政収支の均衡は遠のいた。」とあるのですが、違うかなと思う点があるのです。

 まず、「橋下徹市長が目指す財政収支の均衡は遠のいた。」というのですが、橋下市長のいう「収入の範囲で予算を組む」の計算方法で年間500億円の収支不足に対し、今回の改革プランで財政収支均衡を目指すというのですが、試案の時で収支改善額は最終年度で年間288億円、素案では補助金の削減なども含めて年間266億円。
 500億円の収支不足には全然足りなくて、素案で若干減ったとはいえ、収支均衡といえるような案は、試案の時から元々示せていないのです。

 次に3年間で約60億円の圧縮は、「区民センターの統廃合を白紙に戻すなど」と議会や市民に配慮した結果のように報じられています。ここにも疑問があります。

 国民健康保険の見直しですが、試案時がコレです。そして、素案時でコレです。

 比べてもらうと分かりますが、見直し内容は何も変わっていません。なぜか、試案から素案になって、当初の予算額が11億2300万円減っていて、効果見込額が年間10億円減るのです。結果、3年間の効果見込額は、これだけで20億円減っています。

もうひとつ、市民病院への繰出金ですが、試案時がコレです。そして、素案時がコレです。

 色々と書いてあって分かり辛いのですが、「一床あたりの繰出金の額を府の水準並みにする」という見直しの考え方は何も変わっていません。ただ、素案になって大阪府と大阪市で単純比較できない点を補正すると、試案の効果見込額、年10億円が、素案では5億円に減るそうです。結果、効果見込額の累計は、試案の21億円に対して素案10億円の削減と、11億円減っています。

 どちらも資料を見る限りでは、市民からすれば誤って過大に効果見込額を計上した分を、訂正しただけに見えます。改革案の数字が誤って過大になっていたら、修正するのは当然ですが、それにしても金額が大き過ぎます。
 素案になっての歳出削減の圧縮が全部で60億円ですから、国民健康保険と市民病院の数字の訂正の31億円が半分を占めることになってしまいます。(記事で見直しの代表に挙げられた区民センターの廃止中止が5億円(うち一般財源4億円)です。)

 こんなので「市民負担が緩和される一方、橋下徹市長が目指す財政収支の均衡は遠のいた」なんて記事に書かれても、圧縮額の半分は誤って過大に計上した数字を訂正しただけだろうと突っ込みたくなります。


 市政改革プラン(素案)自体にも、いくつか突っ込みです。

 前々回の記事「維新の会のマニフェストは市民サービスをどう言ってたか」で「マニフェストに書いてない住民サービスの削減・廃止なんて言い出すのは、マニフェストに書いてある財政改革を全部やって、その結果を報告してからだろう」と書きました。
 その話と似てますが、上の「市政改革プラン(素案)に基づく取組見込額」の表でも、人員削減や施設の維持管理費の抑制は、まだこれから考えるとしてます。外郭団体統合による経費削減も、まだこれからのようです。
 住民サービスの削減・廃止だけ先に、ばっちり中身を決めて示されたのですが、それ以外は、スローガンだけで中身のはっきりしない話ばかりに見えます。
 普通、こういう住民に負担を伴う住民サービスの削減・廃止なんて、他にできる改革を、まず全てやって、それでも足りない部分がどうしても残るから、どうしても足りない分を、住民サービスの削減・廃止で負担して欲しいという話に思うのです。
 今やってるのって、「大阪市民の住民サービスって、俺の感覚だと贅沢極まりないから、名目だけ理由が付けば、いくらでも削っちゃっていいや」という風にしか見えません。

 また、次の表は、以前の記事「橋下市政の『お金が足りないから、住民サービスを下げる』を考える」で使った、関・平松市政の時の行財政改革計画(平成18年度〜22年度)ですが、これを見ると、いくつ思う点があります。
行財政改革計画(平成18年3月)の目標と達成状況.jpg

 関・平松市政の行財政改革計画が5年計画、橋下市政改革プランが3年計画の差はありますが、年間削減額の規模が橋下市政改革プラン(素案)が266億円(人件費削減の66億円を加えても332億円)に対して、関・平松市政の行財政改革計画が計画2287億円(達成額2719億円)だから、1桁違います。

 それに、橋下市政改革プランって、公共事業費の削減が無いんです。公共事業費を減らしたくないのかもしれませんが、わたしの感覚だと、歳出削減の優先順位って、無駄の削減>公共事業の削減>住民サービスのカットの順だと思うので、これだけ大規模な住民サービスの廃止・削減を打ち出しながら、公共事業費の削減がないのって、不思議に思います。

 また、橋下市政改革プランって、今回の改革プラン(素案)にも「ムダを徹底的に排除」って書いてあったり、スローガンとしては聞くのですが、ムダの排除が取り組みや実績に見えてこないのです。
 関・平松市政の行財政改革計画の「経常的施策経費及び管理費」の削減目標額年間354億円って、橋下市政改革プランの住民サービスの削減・廃止をまとめた「施策・事業の聖域なきゼロベースの見直しと再構築等」の削減目標額年間258億円より規模が大きいので、橋下市政改革プランのように、住民サービスの削減・廃止でやってたら、もっと大騒ぎになってますし、今、削減・廃止で批判が上がってるような住民サービスが残っているはずもないです。
 勿論、一部は住民サービスの削減・廃止もあったでしょうが、「経常的施策経費及び管理費」の大きな部分を、管理経費の削減や事業の合理化などで、市民への影響をできるだけ少なくしながら、行ったのだと思います。
 橋下市政改革プランって、住民サービスの削減・廃止のように直接市民へ影響するものが多くって、市民への影響を避けるような、管理経費の削減や事業の合理化が少ないというか、あまり見当たりません。(全く無いとまでは言いませんが)
 「経常経費の削減(定期刊行物等の購入の見直し)」年間1億円なんていうのが、効果見込額の表のわずか8項目の中の1項目になっているのを見ると、「経常経費の削減」って他にないんか!って、突っ込んでしまいます。


 また、今回の市政改革プランで、住民サービスの削減・廃止をするのは、財政が苦しいからと言ってるはずなんですが、橋下市長の言動で、本当に財政が苦しいと思ってるのかな?と感じてしまうものがあります。

 例えば、この記事。
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子どもら近現代史学ぼう、施設設置へ「つくる会」にも協力要請
産経ニュースwest 2012.5.11 11:58
http://kiziosaka.seesaa.net/article/269611447.html

 大阪市の橋下徹市長は11日、子供たちが近現代史を学ぶための施設を大阪府市で設置する方向で調整を進めていることを明らかにした。「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバーら有識者に協力を求めていく意向も示した上で、「(歴史のとらえ方について)両論を併記していく。任期中にやりたい」と意欲を見せた。

 施設の必要性について、橋下市長は「中国がなぜ歴史問題を厳しく言うのかなど、今の国際情勢を認識するために近現代史を外してはいけない」と強調。「教科書改善の会」のメンバーが執筆した育鵬社の教科書についても言及し、「教育現場は全然採択しないが、教科書検定を通った教科書。しっかり子供たちに出さないといけない」と語った。

 つくる会、育鵬社などの関係者に協力を要請していく。この構想について大阪府の松井一郎知事や、市議会最大会派の大阪維新の会大阪市議団、第2会派の公明党市議団と協議したといい、「政治的な地ならしはできた。府市統合本部で大まかな方針を決めていきたい」と話した
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 朝日新聞の記者さんは、ツイートでこんな風にも言ってます。
https://twitter.com/#!/asahi_hb/status/203509813903245312
「橋下氏は『(松井)知事に(新たな学習施設に)200億円くらい使いたいと言ったら一蹴された』『知事になった頃から(この構想を)思っていた』とも語っています。相当思い入れが強いようです。この件は引き続き、取材していきます。」

 ねえ、財政が苦しくって、国民健康保険料の低所得者向けの減免制度まで廃止って言ってるのに、新しい箱もの施設を作るんですか?
 それに、200億円かけるんですか?


 例えば、この記事。
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大阪城でモトクロス世界大会 橋下市長が都市戦略明かす
産経ニュースwest 2012.4.10 21:04
http://kiziosaka.seesaa.net/article/267408252.html

 10日の大阪府市統合本部会議では、大阪が世界的都市を目指すための都市魅力戦略についても協議した。大阪市の橋下徹市長は、民間企業からモトクロスの世界選手権を大阪城の西の丸庭園で開催したいという打診があったことを明かし、前向きに検討するよう指示を出した。

 同庭園は、文化財指定されており、コース設置など土木工事が必要な営利目的のイベントは基本的に認められていないが、橋下市長は府を通じて国に許可を求める意向も示した。

 また、橋下市長は、大阪フィルハーモニー交響楽団や財団法人・文楽協会などへの助成金を一部カットして生み出した1億円程度の財源を賞金化し、大規模なコンテストを開催することなども提案した。

 一方、大阪市立の天王寺動物園が、市外の中学生以下を入場無料にしていることについては、「ちゃんと市外からは料金をもらって経営し、内外から注目される動物園を目指すべきだ」と指摘、有料化に踏み込んだ。

 この日の会議では、都市魅力戦略の中間報告が示され、民間資本を活用したシンボルイベントとして道頓堀プールなどの集客イベントも盛り込まれた。6月に最終案を取りまとめる。
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 大阪フィルハーモニー交響楽団や財団法人・文楽協会への助成金のカットって、収支不足の解消を少しでも埋めるためではなくて、モトクロス大会の1億円の賞金にするんですか?
 しかも、大阪フィルハーモニー交響楽団や財団法人・文楽協会への助成金のカットって4000万円しかないから、6000万円は、その他の住民サービスの削減・廃止をしたお金を充てるんですか?

 わたしには、財政が苦しくてどうしようもないから、住民サービスを削らしてくれと、市民に提案してる市長の発言とは思えないのです。


・・・もし、この記事を気に入っていただけましたら、お勧め記事のまとめ目次から、他の記事もどうぞ。
   大まかに大阪都構想のことを知りたい方は、まとめブログをご覧ください。
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2012年05月14日

大阪市の市政改革プラン(素案)の施策・事業の見直し一覧

 4月の大阪市の改革PT試案に続き、5月11日にその一部を見直した市政改革プラン(素案)が、発表されました。内容としては、大阪市の施策・事業の大幅な見直し(主に削減や廃止です。)を行うものです。
 新聞でも大きく取り上げられましたが、一部の変更を大きく取り上げる傾向があり、事業や住民サービスの削減・廃止の全体って分かりにくいかなと思ってます。

 ・・・ということで、市政改革プラン(素案)で見直し対象となる施策・事業の一覧を作ってみました。(以前の記事「大阪市改革PT試案の施策・事業の見直し一覧」を市政改革プラン(素案)に沿わせた修正版です。)
 また今回の市政改革プラン(素案)では、市民利用施設のあり方と補助金等の見直しも出されてましたので、その内容も後段に挙げました。


 事業名の下の「現」は現在予算額、「後」は改革後予算額、「削」は削減予算額、()内は削減額のうちの一般財源額です。
 その数字の下には、事業の説明(「事」)、見直し内容(「変」)と留意事項(「留」)を適宜、記載しました。説明はわたしなりに要約しています。
 事業名も「コミュニティ系バス運営費補助」を「赤バス運営費補助」のように一部変更しています。
 また、いくつもの事業が1件にされている場合、変更のない事業を除いている場合があります。
 事業の分類は、わたしの感覚です。一部、正確さより分かり易さを優先したものもあります。
 オリジナルの説明は、事業名からリンクを張りましたので、詳しくはそちらでご確認ください。
 リンクに使用した参照PDFは、市政改革プラン(素案)パブリックコメント頁のものを使用しています。


【直接サービス】
国民健康保険
現426億円 後415億3300万円 削10億6700万円(10億6700万円)
《変》低所得者に対する3割減免を廃止
《変》3割減免廃止を含め所得200万円層の保険料負担が、府下平均程度になるように繰入金を削減(参考例で1万円程度の保険料値上げ。3割減免が2割になるケースでは、より負担増になると思われる)
《変》出産一時金を、第2子、第3子で「他都市水準」へ引下げ
《変》医師会等への委託事業を廃止

上下水道料金福祉措置
現39億6600万円 後 廃止 削39億6600万円(39億6600万円)
(事)重度障害者世帯、ひとり親世帯、高齢者世帯、精神障害者世帯等に上下水道料金の基本料金相当額(1576円)を減免
《変》廃止
[留]低所得者対策の必要性について検討

敬老パス 
現89億8900万円 後39億8600万円 削50億3百万円(50億3百万円)
《変》「利用額の50%負担、上限2万円、私鉄利用拡大」など5案を検討

がん検診・総合健康診査事業(ナイスミドルチェック)
現1億6800万円 後 廃止 削1億4400万円(1億3700万円)
《変》がん検診事業のうち総合健康診査事業(ナイスミドルチェック)を廃止
※事業費と削減額の乖離理由は、不明

新婚世帯向け家賃補助 
現48億5000万円 後 廃止 削48億5000万円(42億8500万円)
(事)新婚世帯に対する民間住宅家賃の一部補助
《変》廃止(当面は、新規募集の停止)
《変》平成25年度から、住宅施策に限定しない、地域の実情に応じた、若年層全般に対する幅広い支援策として再構築(ただ、予算は全額廃止なので、予算上考慮されてないことになるが?)


【地域】
地域福祉活動支援
現12億8900万円 後4億3800万円 削8億1300万円(8億700万円)
《変》中学校区に1名配置の地域生活支援ワーカーを128名から24名に縮小し、地域生活支援事業は予算の範囲内で相談支援体制を再構築。
《変》小学校区単位の地域ネットワーク委員会の事務局を担うネットワーク推進員を廃止し、地域活動協議会の実施方法とあわせ、区で検討し再構築。
《変》ひとり暮らし高齢者等対象とした会食・配色サービス「食事サービス事業(ふれあい型)」は、食事にこだわらず、喫茶・軽食など経費の縮減を図る。区長が見直し後の予算の中で、実施方法を判断。
《変》小学校区単位で地域の高齢者の自主活動などを行う拠点の老人憩いの家は、運営助成金(1ヶ所43万8千円)を運営経費の1/2補助に切り替え。使用者は高齢者限定にならないようにし、「老人憩いの家」の名称も変更。

赤バス運営費補助
現15億1300万円 後4億4000万円 削10億7300万円(10億7300万円)
《変》4億4000万円をひとつの目途に、区長会において経費削減効果が大きくなるよう事業再構築(一般的には、路線の大幅廃止)
《変》15億1300万円より、10億円削減する


【地域施設】
区民センター
現10億4500万円 後10億4500万円 削 無し
《変》今後、区庁舎の統合時に、区民への会議室の開放を検証し、区民センターの見直しを図る
《変》建替え時には、ホール機能の必要性を検証する

老人福祉センター 
現5億3600万円 後3億7100万円 削1億6500万円(1億6500万円)
(事)高齢者の生きがい作り拠点として、各種相談、講座、レクリエーションなどを実施。老人クラブの活動拠点。
《変》26ヶ所を18ヶ所に削減(大阪都実現後の特別区に2ヶ所ずつ)

各区屋内プール
現20億5700万 後7億7100万円 削12億8600万円(12億2300万円)
《変》24ヶ所を9ヶ所に削減(大阪都実現後の特別区に1ヶ所ずつに)

スポーツセンター
現7億6700万 後2億8800万円 削4億7900万円(4億7400万円)
《変》24ヶ所を9ヶ所に削減(大阪都実現後の特別区に1ヶ所ずつに)

子育て支援
現11億4100万円 後8億5700万円 削2億8400万円(2億8400万円)
《変》子育て活動支援事業は、ファミリーサポートセンター事業と共に、事業拠点24ヶ所を18ヶ所に統合し、事業者を公募へ(当該予算の範囲で、ファミリーサポートセンター事業も実施する)
《変》地域子育て支援拠点事業(交流の場の提供)は継続。
《変》子育ていろいろ相談センターは、廃止。

市民交流センター 
現10億5300万円 後 廃止 削10億5300万円(10億3300万円)
(事)各地域の地域老人福祉センター、人権文化センター、青少年会館を市内10箇所の市民交流センターに集約したもの
《変》廃止

教育相談事業
現3億9400万円 後3億4900万円 削4500万円(4200万円)
《変》相談事業、不登校児童支援の通所事業を行うサテライトの設置場所を、廃止予定の市民交流センター等から開設場所を再検討のうえ、14ヶ所から9ヶ所へ削減(大阪都実現後の特別区に1ヶ所ずつの意味か?)


【保育所】
保育料の軽減
現41億6600万円 後40億1600万円 削1億5000万円(1億5000万円)
《変》非課税世帯からも保育料を徴収する
《変》保育料を全体として1億5000万円程度引き上げる

ファミリーサポートセンター事業
現1億5600万円 後0円 削1億5600万円(1億3700万円)
(事)児童の預かり援助を受ける希望者と提供希望者の連絡調整を、社会福祉協議会へ委託
《変》「子育て活動支援事業」と共に公募し、予算は「子育て活動支援事業」へ移行。(「子育て活動支援事業」側では、追加費用の計上は行わない)
《変》「子育て活動支援事業」と共に24ヶ所を18ヶ所へ統合。

1歳児保育特別対策費
現8億9900万円 後 廃止 削8億9900万円(8億9900万円)
(事)国の保育士配置基準1歳児6人に保育士1人を、大阪市は5人に保育士1人のため、保育士増加分の人件費を民間保育所に補助
《変》大阪市営の保育所も1歳児6人に保育士1人へ保育士を減らすため、補助金を廃止

民間保育所職員給与改善費
現1億200万円 後 廃止 削1億200万円(1億200万円)
《変》廃止


【小学校・中学校】
学校給食
現2億8200万円 後1億6200万円 削1億2000万円(1億2000万円)
(事)給食事業の充実と保護者負担の軽減のために、大阪市学校給食協会へ交付金
《変》食材配送費を保護者負担に切り替える。(給食費の値上げ)
《変》委託事業化する

学童保育、子どもの家事業への補助及び いきいき放課後事業
現39億6900万円 後 39億200万円 削6700万円(5400万円)
《変》いきいき放課後事業は、公募化し、時間延長などを図る。
《変》子どもの家事業は、留守家庭児童対策事業(学童保育)へ移行。(有料化)
《変》学童保育はいきいき放課後事業への移行を図るが、移行しきれない部分については、いきいき放課後事業の補完的役割として補助を継続する。
《変》現在無料のいきいき放課後事業も、一部有料化などを検討

学校維持運営費
現103億7000万円 後 103億5900万円 削1100万円(1100万円)
(事)学校の日常の消耗品や備品の購入、図書の補充、高熱水費、施設設備の修繕など
《変》統廃合方針で調整を始める小学校6校分と中小一貫校移行小学校2校分の経費を削減

学校元気アップ地域本部事業
現3億6300万円 後1億7300万円 削1億9000万円(1億4600万円)
(事)中学校区に学校と地域をつなぐコーディネーターとして「学校元気アップ支援員」を配置する。
《変》学校元気アップ支援員に外部人材を積極的に活用する。(予算額、削減額は、「非常勤嘱託職員118人を有償ボランティア127人に切り替える」に対応)

体験型学習 
現1億9700万円 後 廃止 削1億9700万円(7700万円)
(事)小学校、中学校、特別支援学校での「自然体験学習」「ボランティア体験学習」など体験活動
《変》廃止(「事業の再構築を図る」としているが、最終年度の予算額は0円)


【施設】
障がい者スポーツセンター
現6億6300万円 後6億100万円 削6200万円(6200万円)
(事)長居障害者スポーツセンターと舞洲障害者スポーツセンターを運営
《変》2館のあり方は、府市統合本部で議論。
《変》長居障害者スポーツセンターは、大規模更新時期まで継続し、広域への移管に向け取り組む。
《変》舞洲障害者スポーツセンターの宿泊施設は、収支均衡策を講じ、毎年検証。
《変》市外利用者の負担を検討

弘済院
現9億3000万円 後 7億9000万円 削1億4000万円(5000万円)
(事)養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、認知症専門特別養護老人ホーム、附属病院
《変》認知症専門特別養護老人ホームは民営化、附属病院は廃止又は民営化を検討。
《変》特別養護老人ホームは、民営化を検討。
《変》養護老人ホームは廃止。
(削減額等は、養護老人ホームの廃止のみ計上)
[留]附属病院のあり方は、府市統合本部病院タスクフォースの検討対象

軽費老人ホーム補助金
現6億円 後5億2100万円 削7900万円(7900万円)
(事)軽費老人ホームを運営する社会福祉法人に対するサービス提供経費の補助
《変》加算部分を廃止

市民病院
現97億9900万円 後92億9900万円 削5億円(5億円)
(事)総合医療センター、十三市民病院、住吉市民病院
《変》一床当りの繰出金を府の水準に削減

住まい情報センター
現3億7900万円 後1億7200万円 削2億7百万円(1億1500万円)
(事)センターを拠点に、住宅に関するトラブル相談、住まいに関するセミナーやライブラリーなどの啓発事業、住宅情報の提供、住まいのミュージアム運営
《変》住まいの相談や啓発事業は区役所へ移管
《変》住宅情報の提供は、廃止
《変》住まいのミュージアムは、他の博物館との統合または廃止

青少年野外活動施設
現1億9200万円 後 8300万円 削1億900万円(1億800万円)
(事)伊賀青少年野外活動センター、信太山青少年野外活動センター、びわ湖青少年の家
《変》伊賀青少年野外活動センター、廃止
《変》びわ湖青少年の家、府市統合本部での議論はあるが、市としては廃止
《変》信太山青少年野外活動センター、当面存続。ただし、今後の状況により改めて判断。

生涯学習センター
現5億6200万円 後3300万円 削5億2900万円(5億2800万円)
(事)総合生涯学習センターと4つの市民学習センター
(事)生涯学習情報の提供・相談、ボランティアの育成、市民の自主的学習に貸室
《変》廃止、民間実施の講座等への助成などに切り替え

男女共同参画センター
現5億8100万円 後1億500万円 削4億7600万円(4億5600万円)
(事)5ヶ所のセンターを拠点に、女性問題等の情報提供、セミナー・イベント開催、啓発、女性総合相談
《変》センターは5ヶ所とも廃止 セミナー・イベント開催も廃止
《変》情報提供、啓発、相談事業は、区役所・区民センター等で実施

キッズプラザ運営補助
現4億5800万円 後4億5800万円 削0円(0円)
(事)子供のための体験型学習施設の入館料を低廉にし、学習機会を提供
《変》基礎自治体としては廃止。今後については、府市統合本部で検討。

環境学習センター
現1億5500万円 後 廃止 削1億5500万円(1億4100万円)
(事)環境講座、農事イベント、環境に関する展示を通じた啓発など
《変》廃止
《変》環境講座等の事業は、区単位で実施(ただし、予算は計上せず)


【団体補助】
地域活動団体との連携・協働促進による地域コミュニティーづくり事業
現4億8500万円 後3億6400万円 削1億2100万円(1億2100万円)
《変》コミュニティー協会への団体運営補助としての正確が強いとして25%削減。
《変》削減額などは、今後、再度精査

社会福祉協議会交付金
現18億6300万円 後13億9700万円 削4億6600万円(4億6100万円)
《変》団体運営補助としての正確が強いとして25%削減。
《変》削減額などは、今後、再度精査

大阪フィルハーモニー協会及び文楽協会
現1億6200万円 後1億2200万円 削4000万円(4000万円)
《変》助成金の25%を削減


【その他】
あいりん施設関連
現6億1700万円 後3億5200万円 削2億6500万円(1億3000万円)
《変》大阪社会医療センターは(入院機能を廃止し)診療機能のみに。
《変》あいりん生活道路環境美化事業・あいりん高齢日雇労働者等除草等事業は、特定非営利法人への随意契約を公募化

大阪バイオサイエンス研究所
現6億1900万円 後 廃止 削6億1900万円(6億1900万円)
(事)バイオサイエンスの研究や研究者養成の運営費補助
《変》補助金廃止 自律的経営を促す

国際ビジネスプロモーション活動
現2億8200万円 後1億1300万円 削1億6900万円(1億6900万円)
(事)IBPC大阪ネットワークセンターを拠点に、中小企業を対象とした国際ビジネス活動の支援、国内外企業の誘致
《変》基礎自治に関する事業に特化。事業内容は精査し、さらなる削減へ。
《変》大阪府・商工会議所と共同の大阪外国企業誘致センターは継続

ATC関連事業
(事業費見通しの記載なし)
《変》補助金は廃止し、その他事業も効果を検証

音楽団
現1億円 後 廃止 削1億円(5200万円)
《変》廃止
《変》上記予算額の他、人件費が4億1000万円

海外事務所
現1億9400万円 後3000万円 削1億6400万円(1億6400万円)
《変》シカゴ、パリ、シンガポール事務所を廃止
《変》上海事務所は、大阪府の事務所と共同化し4800万円から3000万円へ削減

ごみの管路輸送
現1億2700万円 後1億2200万円 削500万円(500万円)
(事)南港と森之宮地区で実施の輸送管で各家庭からごみを焼却工場へ
《変》廃止 普通ごみ収集へ移行
《変》森之宮平成25年度、南港平成27年度廃止(削減額は平成26年度状況)
《変》民地内の輸送管等の設備撤去等の経費を最小限に抑える必要がある(撤去費用が莫大という話の裏返しと思われる)


◆市民利用施設の見直し(オリジナルはコレと詳細はコレ

〇いきいきエイジングセンター 廃止

〇大阪南港魚つり園      廃止

〇クラフトパーク       廃止を含めて検討

〇舞洲野外活動施設      廃止を含めて検討

〇大阪南港野鳥園       廃止を含めて検討

〇水の館ホール・陳列館ホール 廃止を含めて検討
(バーベキュー広場等を含む)

〇子育ていろいろ相談センター 現施設は廃止。地域の子ども・子育てプラザ等へ機能移転

〇愛光館(母子福祉センター) 現施設廃止で、区保健福祉センター等への機能移転や大阪府母子福祉センターとの統合を検討

〇総合生涯学習センター    地域の生涯学習ルームや区民センター、老人福祉センターなどへ機能移転後、受益者負担の引き上げを検討

〇市民学習センター      地域の生涯学習ルームや区民センター、老人福祉センターなどへ機能移転後、受益者負担の引き上げを検討

〇社会福祉研修・情報センター 大阪府社会福祉協議会の社会福祉研修センターとの統合を検討

〇芸術創造館         青少年センターとの統合、受益者負担の見直しを検討

〇社会福祉センター      使用料免除の見直しや有償貸付での民営化などを検討

〇リフレうりわり       施設の有償貸付での民営化などを検討

 体育館、大阪プール、こども青少年施設、男女共同参画センター、文化施設等は、府市統合本部で検討。
 検討後、基礎自治体の施設と整理されたものは、改めて見直しを行う。
・・・としています。

 地域施設の市民交流センター、老人福祉センター、スポーツセンター、屋内プール、屋外プール、子ども・子育てプラザを上記の事業見直しと重複する部分が多いため、省略します。(素案への掲載内容はコレと詳細はコレ


◆補助金の見直し(全体 6億9366万円に対する削減額3億165万円)(オリジナルはコレ

シルバーボランティアセンター運営補助金
現281万5千円 後140万7千円 削140万8千円

指定老人憩いの家運営補助金
現255万円 後 廃止 削255万円

大阪ホームレス就業支援センター事業補助金
現450万円 後 廃止 削450万円

大阪市障害者職業能力開発訓練施設運営助成
現6266万3千円 後5519万9千円 削746万4千円

点字図書館運営補助金(盲人情報文化センター)
現6671万5千円 後6205万2千円 削466万3千円

大阪市精神障害者社会復帰施設運営補助金
現6803万4千円 後 廃止

家庭保育・ベビーセンター助成事業補助金
現9863万9千円 後 廃止 削9863万9千円

児童遊園運営助成金
現836万円 後418万円 削418万円

民間保育所賃料等補助金
現718万円 後 廃止 削718万円

学校法人に対する補助金
現 2650万円 後 廃止 削2560万円

大阪市PTA協議会運営補助金
現120万円 後 廃止 削120万円

(財)大阪市中小企業勤労福祉サービスセンター管理運営事業補助金
現5200万円 後 廃止 削5200万円

港湾労働者福利厚生事業補助金
現300万円 後 廃止 削300万円

住民参加による街づくりの促進のための助成
現50万円 後 廃止 削50万円

住宅地区改良事業等におけるまちづくり協議会助成
現2968万円 後177万円 削2791万円

男女共同参画推進にかかる地域女性団体活動補助金
現 335万4千円 後 261万6千円 削73万8千円

UNEP支援事業補助金(地球環境センター活動支援補助金)
現8666万1千円 後5706万8千円 削2959万3千円

大阪市ユースオーケストラ運営補助金
現184万円 後 廃止 削184万円

私立保育園連盟運営補助金
現1470万円 後 廃止 削1470万円

大阪市消費生活合理化協会運営補助金
現123万円 後 廃止 削123万円

各種学校に対する補助金
現 2750万円 後 廃止 削2760万円

大阪第一人権擁護委員協議会事業補助金
現230万円 後150万円 削60万円

大阪人権博物館運営費補助
現5132万3千円 (廃止に向けて検討中)


(その他)
分担金 5件 1億1796万円のうち、2643万円を削減 (詳細はコレ
国関係法人等への会費等 50件 1134万円のうち、1134万円を削減 (詳細はコレ


・・・もし、この記事を気に入っていただけましたら、お勧め記事のまとめ目次から、他の記事もどうぞ。
   大まかに大阪都構想のことを知りたい方は、まとめブログをご覧ください。
posted by 結 at 01:03| Comment(0) | 市政 | 更新情報をチェックする

2012年05月01日

維新の会のマニフェストは市民サービスをどう言ってたか

 今回の大幅な住民サービスの引下げを伴う改革PT試案の発表に当り、橋下市長は次のように語っています。
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
橋下市長「税金支出 バブル期のまま」(2012年4月6日 読売新聞)
http://kiziosaka.seesaa.net/article/262603016.html

 104事業を見直し、3年間で総額548億円をカットする、大阪市の改革プロジェクトチームの「施策・事業の見直し」試案について、橋下市長は5日、報道陣の取材に、「収入に合わせ、ぜいたくを改める」と理解を求めた。

 ――かなり市民に負担を求める内容だ。

 「全国の自治体で税収が伸び悩んでいるのに、税金を使う方はバブルの絶頂期から変わっていない。特に大阪市のサービスは手厚く、税収が減ったのに、住民サービスに手をつけられていない。家計では、収入が伸び悩んでいる時は支出を絞り、ぜいたくを改める」

 「市政改革室に大号令をかけ、同じような他都市と同レベルに落とした。標準レベルに落とさせてくださいと、市民に訴えていく」

 ――今年度の削減効果額は38億円。一方で収支不足は535億円。収入の範囲内で予算を組むのは難しいのでは。

 「府知事として改革をした時もそうだったが、改革元年に全部のお金は集められない。改革案を固めれば、(当初は)多少の補填(ほてん)財源を使っても、次年度に向けて収入の範囲で予算を組むルールを守る。道筋を示すことが重要だ」

 「数字を合わせるのが目的ではなく、他都市と比べてどうなのか、見直すことの方が本質的な問題だ。収支均衡も目指し、既得権化している事業は廃止して新しい政策にシフトする。この作業を繰り返さないと地域の活性化はあり得ない」
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 わたしには、選挙前の橋下市長の発言からすると、かなり唐突な主張に聞こえました。(ただ、このブログでは「橋下市長の大阪都構想は大阪市民の住民サービスを大幅に引き下げるもの」と主張してますから、ある程度の予想はしてましたが。)

 では、今回の改革PT試案が取り組もうとする、大阪市の財政改革や住民サービスについて、これまで大阪維新の会のマニフェストでは、どのような主張がされてきたのか、今回は見てみたいと思います。


 その前に、今回の改革PT試案の前提となる、今年度の大阪市予算について概観しておきましょう。

 2月20日の朝日新聞の記事「橋下予算案 子育て重点、凍結補助金も 大阪市12年度」によると、主な新規事業と削減は、次の通り。

〇新規事業(その他の事業も含め合計172億円) 
・子どもの医療費助成を中学生まで拡充 51億円
・生活保護適正化           35億3千万円
・「保育ママバンク」創設など保育所待機児童解消 28億7千万円
・中学校給食実施           20億7千万円
・教育バウチャー交付による塾代助成 8千万円
(教育バウチャーは試行の西成区分のみ。来年度から全市に広げ34億円程度になる見込み)
〇削減
・職員給与・退職手当など 66億円(記事の135億円5千万円は全会計ベース。一般会計分は66億円)

 ただし、この結果として535億円の収支不足が発生するため、事業の見直しをするとして出てきたのが、年間288億円を削減する今回の改革PT試案です。(ただし、今年度の削減額は38億円のため不足は、基金の取り崩しなどで対応)

 橋下市長は就任当初、「大阪府並み」の職員給与のカットを大々的に打ち出しましたが、その効果額は市長の打ち出す新規事業の経費にも届かない中で、「収支不足だ!」として住民サービスのカットを迫っている状況です。


 ではまず、昨年(2011年)1月に発表された大阪維新の会の統一選用マニフェストから見ていきます。(内容は、発表当時と一部修正されていますので、2011年11月にダウンロードしたものです。)
 1年前のもう古いマニフェストにも見えますが、維新の会の市議・府議は、このマニフェストを掲げて当選したきた方々です。

(大阪市民の住民サービスについての記述)(オリジナルはコレ
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
 優しい大阪
 特別区(自治区)は、現在大阪市が提供している住民サービスの全て(敬老パス制度を含む)を提供します。また、以下のような取り組みも可能になります。

1 各特別区(自治区)毎の教育委員会の設置
2 公立中学の完全給食の実施
3 乳幼児医療費助成を中学生まで無償化
4 待機児童の解消
5 療育施設の増設、充実
6 高齢者施設の増設
7 小中学校普通教室へのクーラー設置
8 子宮頸がん予防ワクチンの接種、麻疹、風疹予防ワクチン(MRワクチン)接種の無償化
9 その他、これまで各区民が大阪市役所に要望していたにもかかわらず大阪市役所が実施しなかった事柄について、各特別区(自治区)毎の判断で実施していきます。
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 1〜9で「色々やります」的に並んでますが、この部分は「取り組みも可能」としているだけなので、実施を約束したものではありません。
 この部分で実施としているのは「現在大阪市が提供している住民サービスの全て(敬老パス制度を含む)を提供します。」だけですが、橋下市長のいう「(住民サービスについて)ぜいたくを改める」というのは、それさえも守れていないように見えます。
 また、1〜9は実施を約束したものではないとはいえ、「6 高齢者施設の増設」を謳いながら、今回の改革PT試案で高齢者施設を大幅に削減・廃止しようとしているのは、さすがにマズイように思います。


(大阪市の行財政改革についての記述)(オリジナルはコレ
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
大阪市役所の行政改革断行
大阪市役所を特別区役所に再編する過程において、橋下府政が断行した改革手法で大阪市役所の役人体質を徹底的に見直していきます。

1 橋下府政が行った改革と同レベルの職員給与体系の徹底的見直し
 わたり・現給保障・管理職の定額昇給の廃止
 現業職の給与水準を民間並みに徹底見直し
2 橋下府政が行ったと同様の職員退職金の一部カット、給与カット
3 橋下府政が行った改革と同レベルの職員厚遇の徹底的見直し
4 将来世代にツケを回さないための橋下府政が行ったと同様の徹底した財政再建
 全事務事業の徹底した見直し
 特定の既得権益団体へのお金の流れをストップ
 職員を養うだけの仕事を徹底排除
5 公務員でしかできないこと以外は民間に任せる
 市場化テストの徹底
6 橋下府政が行ったと同様の天下りの徹底的排除、外郭団体の徹底的見直し
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 選挙前、橋下市長が声高に主張していたように、市役所の体制を改め、特定の既得権益団体へのお金の流れや外郭団体を見直すのだと、掲げています。
 一応、「全事務事業の徹底した見直し」という項目はあります。でも住民サービスの項目で「現在大阪市が提供している住民サービスの全て(敬老パス制度を含む)を提供します。」としていること、それから「全事務事業の徹底した見直し」は「大阪市役所の役人体質を徹底的に見直し」の一項目として掲げているものであることから、「全事務事業の徹底した見直し」をするとしても、その結果が「住民サービスの削減・廃止」に繋がるのは、ダメでしょう。


(財源論についての記述)(オリジナルはコレ
(マニフェスト資料編からになります。)
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
大阪維新の会の成長戦略

(略)
大阪都構想の基本は、住民に身近で、住民に優しい行政(基礎自治)の実現を可能にし、住民サービスを向上させるのに必要な財源捻出の仕組づくりです。即ち、広域行政を一元化するという成長戦略です。広域行政ですから、住民の身近なサービスにかかわることではありません。

例えば、政府も景気対策・雇用対策・円高対策など様々な政策に力を入れますが、これは具体の住民サービスが直ちにどうなるかという話ではありません。政府の景気対策・雇用対策・円高対策によって、保育所がいくつ増えるとか、図書館がいくつ増えるとか、ゴミの収集日が一日増えるとか、給食費が安くなるとか、そういう話ではありません。

成長戦略は、日本全体の景気を良くする、企業に儲けてもらい、従業員の給料を上げる。すなわち国民の所得を上げ、税収を上げる。これが目標です。
(略)


大阪都構想

大阪都構想は、成長戦略を実現する手段です。広域行政を一元化。司令官を1人にして成長戦略を展開します。二重行政を解消し、生み出した財源を成長戦略の原資にします。

以下は人口一人当たりの行政経費の比較表です。
行政経費比較01.jpg

仮に、東京都制と全く同じ仕組みにして行政サービスを提供すれば1人当たり117807円安上がりになり、大阪市の人口を260万人とすると3063億円の財源が生まれます。

行政経費比較02.jpg

また、大阪市が名古屋市なみの経費で行政サービスを提供できるようにすれば4500億円の財源が生まれます。
これが成長戦略の原資になります。
--------------------------- 引用終了 ---------------------------

 大阪都構想は直接的に住民サービスの改善を行うものではないと強調しますが、「住民サービスを向上させるのに必要な財源捻出の仕組づくり」なのだとしています。
 そして、大阪市役所が「名古屋市なみの経費で行政サービスを提供できるように」するだけで、多大な財源を生み出すことができるし、都制移行での機構改革でも多大な財源を生み出すことができるとしている訳です。

 これらの財源は「成長戦略の原資に振り当てる」としていますが、3年後の大阪都移行で多大な財源が生まれ、それによる投資は「住民サービスを向上させるのに必要な財源捻出の仕組づくり」だとしているにも関わらず、年間500億円程度の収支不足を振りかざし、大阪市の住民サービスは「バブル期のままのぜいたくなもの」で「他都市並み」に住民サービスを落とすべきという主張は、矛盾しているように思います。


 続いて、昨年(2011年)11月の市長選マニフェストを見てみます。

(「大阪市の現状」に関する認識についての記述)(オリジナルはコレ
(図表は省略します。)
--------------------------- 引用開始 ---------------------------
大阪市の現状

 大阪市は、市民の最貧困化が進んでいます。
 大阪市における年収200万円以下の世帯は、約4分の1を占め(32万8千世帯:全世帯数126万世帯)、名古屋市:14万5千世帯(全世帯数96万5000世帯)、横浜市:14万4千世帯(全世帯数149万世帯)と比較して、大阪市が突出しています。
 生活保護率についても、大阪市:人口千人あたり56.3人、名古屋市:19.6人、横浜市:17.8人であり、その貧困度は突出しています。
 しかも、大阪市の状況の悪化、貧困化は、日に日に進行しています。
 すなわち、生活保護者率について、昭和60年時点は、人口千人あたり22.2‰(‰は千分率です)であるのに対し、平成17年時点では40.2‰であり、約2倍程度も膨れ上がっています。

 大阪市民の一人当たりの平均所得についても、平成5年時点で412万1千円であったにもかかわらず、平成20年時点では322万9千円に急落しています。

 また、大阪市の市民一人当たりの借金(地方債残高)は、1人あたり168万円にのぼり、東京都のそれに比べ、約3倍にもなっています。

 その他の生活指標についても、悪化の一途を辿っています。
 このように大阪市は、他の政令指定都市と比較して、最貧困地域となり、しかもそれが日々進行しています。

 その一方で、市民一人当たりが負担する行政経費は、過大を極めています。
 すなわち、大阪市の市民一人当たりの職員の人件費負担額は、10万1586円に対し、名古屋市:8万5306円、横浜市:5万7354円であって、大阪市民が最も多額の職員人件費を負担させられています。
 市民人口1万人あたりの職員数についても、大阪市:150人、名古屋市:118人、横浜市75人であり、大阪市が突出しています。
 さらに、大阪市職員の刑法犯罪、薬物事犯等、職員不祥事も後を絶ちません。
 つまり、大阪市民は、多額の借金を抱えさせられ、最貧困生活を強いられ、しかもその状況は日々悪化しているにもかかわらず、他方で、税金と借金で過剰な職員を抱え、職員を養っているのが現状です。

 大阪市の抜本的改革
 以上のような大阪市の現状を抜本的に改革するためには、現在の平松市政における職員優遇型の縮小改革では不可能です。いわば非常事態にある大阪市においては、現行制度を前提とした狭い視点での改革では焼け石に水です。もはや、大阪市を含めた大阪全域において、将来的に発展、持続可能な統治機構の改革を実現することが不可欠です。つまり、経済発展や産業インフラ等の広域業務については、大阪都に、住民に優しいサービスを実現するための基礎自治体業務については、特別自治区に再編する、責任と役割分担を明確にする大阪都構想を実現する必要があります。
(以下、略)
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 橋下市長や大阪維新の会の行う、統計値の解説や現状分析には、恣意的な傾向が強く見られるという批判は多くあり、上記の市長マニフェストの認識に、わたしは与するものではありません。
 でも、市長マニフェストに謳っているものですから、橋下市長は、このような認識なのだと考えて良いのでしょう。

 でも、橋下市長が、このような認識に立っていると考えると、年間500億円程度の収支不足を振りかざし、大阪市の住民サービスは「バブル期のままのぜいたくなもの」で「他都市並み」に住民サービスを落とすべきとした、今回の改革PT試案は何とも、不可解です。
〇「現行制度を前提とした狭い視点での改革では焼け石に水」としているのに、今回の改革PT試案は、「現行制度を前提とした狭い視点での改革」そのものです。
〇「平松市長の縮小改革」を批判しますが、今回の改革PT試案も「縮小改革」そのもので、平松前市長が「市民に影響を与えない丁寧な改革」を行ってきたのに対し、今回の改革PT試案は「市民へ負担を転嫁する乱暴で安易な改革」と、より程度の悪い改革になっています。
〇「多くの市役所職員を抱えることで、最貧困生活にある市民は過剰な負担を負っている」ことを強調しますが、今年度予算の職員給与カットなどで人件費を135億円削減しても、市民1人当たりでは5千円程度の削減にしかならず、名古屋市・横浜市などと比較した「市民1人当たりの職員の人件費負担額」に大きな差異はありません。
 そのような中で、上下水道料金の福祉措置の廃止や国民健康保険料の低所得者に対する3割減免の廃止、国民健康保険料の所得200万円層での値上げ(繰入金の削減)といった弱者に負担を強いる政策をなぜ採るのでしょうか?


(大阪市民の住民サービスについての記述)(オリジナルはコレ
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2.市民サービス編
(1)子育て支援
@ 保育所、幼稚園を民営化し待機児童の解消、サービスの充実を実現します。
A 保育ママ制度を拡充します。
B 中学校卒業までの通院入院医療費を無償化し、所得制限は撤廃します。
C 妊婦健診や予防接種の内容を充実させます。
D 区役所や保育所・学校等における児童虐待防止体制を強化します。
E 子育て世代への市営住宅入居枠を拡大します。
F 市内各ブロックに子供相談センターを設置し、児童虐待防止体制強化します。

(2)教育
@ 公立小中学校普通教室にクーラを設置します。
A 公立中学校の生を対象に給食(全員喫食)を実施します。
B 私立小中学校を積極的に誘致して、教育の選択機会を増やします。
C 学校の判断により土曜日授業及び放課後を可能します。
D 習熟度別の少人数授業を拡充し、習熟度に応じた教育を実現します。
E 市内各ブロックに教育委員会分室を設置し、周辺地域住民や保護者の意見を教育に反映しやすい体制を整えます。

(3)保健医療
@ 民間の医療機関で手薄となっている産科、小児科、救急医療を充実、強化します。
A 健康診断受診の補助や受診機会の拡大を行い、市民の健康保持増進に努めます。
B 医療監視等の強化、診報報酬の適正化を図り、良質な医療の発展を目指します。
C 市内各ブロックに保健所支所を設置し、周辺地域住民に身近な保健サービスを強化します。

(4)福祉
@ 高齢者の介護老人保健施設等増を図り、充実させます。
A 高齢者向けの敬老パス制度を維持し、さらに私鉄交通、バスでも利用できる制度に改善します。他方で、敬老パス対象外の市民から制度の理解も得れるよう、利用実態に応じた上限額の設定等、制度改善策も行います。
B 生活保護の不正受給を徹底的に排除するともに真に必要な困窮者を救済します。

(5)住民生活
@ 民間活力、資本を利用した放置自転車対策を行い、放置自転車ゼロを目指します。
A 消費者センターを府市一体化し、身近で便利な消費者相談を実現します。
B 住基カードを利用し、コンビニエストアでの住民票、印鑑証明書の発行も可能にします。
C 御堂筋や大阪城周辺、ベイエリア等を観光集客の拠点として積極活用します。

(6)防災対策、エネルギー
 (略)

(7)計画施設についての対応
@〜B (略)
C 区民センター未整備地域の建設に着手します。

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 さて、この市長マニフェストの文章を読んで、大阪市民の住民サービスは「現状より充実させる」と受取ったでしょうか?それとも、「大阪市民の住民サービスは、バブル期のままで、ぜいたくは改める」と受取ったでしょうか?
 わたしには、この文章は「大阪市民の住民サービスを現状よりも充実させる」としか、受取れませんでした。

 改革PT試案と直接矛盾すると思われる点もあります。
(1)Fで「市内各ブロックに子供相談センターを設置し、児童虐待防止体制強化します。」としますが、改革PT試案では子育ていろいろ相談センターは廃止で、市民交流センター等に設置したサテライトでの教育相談事業も廃止です。
(3)Aで「健康診断受診の補助や受診機会の拡大を行い、市民の健康保持増進に努めます。」としますが、改革PT試案では総合健康診査事業(ナイスミドルチェック)を廃止です。
(7)Cで「区民センター未整備地域の建設に着手します。」としますが、改革PT試案では、区民センターは9ヶ所相当と現状より削減です。

 統一地方選用マニフェストにあった「現在大阪市が提供している住民サービスの全て(敬老パス制度を含む)を提供します。」の文言はなくなっていますが、これを以って「現在大阪市が提供している住民サービスの全て(敬老パス制度を含む)を提供します。」は、「やらないことにした」と市民に対して掲げたと理解することには、無理があるでしょう。
 橋下市長は、統一地方選用マニフェストを掲げた地域政党の代表ですから、統一地方選用マニフェストの内容にも、一定責任を負うでしょう。市長選マニフェストに「現在大阪市が提供している住民サービスの全て(敬老パス制度を含む)を提供します。」の文言はありませんが、「取り下げる」の文言もない以上、統一地方選用マニフェストで掲げた責任を引き続き負うと理解するのが、自然と思います。
 なお、マニフェスト別添の「大阪都構想推進大綱」には、次の文言があります。
「特別自治区には中核市並みの財源を保障する。現在大阪市で提供している住民サービス分の財源は特別自治区に保障する。」

 興味深いのは、敬老パス制度です。
 統一地方選用マニフェストには「現在大阪市が提供している住民サービスの全て(敬老パス制度を含む)を提供します。」としていましたが、市長マニフェストでは、(4)Aで「高齢者向けの敬老パス制度を維持し、さらに私鉄交通、バスでも利用できる制度に改善します。他方で、敬老パス対象外の市民から制度の理解も得れるよう、利用実態に応じた上限額の設定等、制度改善策も行います。」となっています。
 マニフェスト上では、統一地方選用マニフェストの「現状維持」を、市長選で「見直しを行う」に改めて、選挙を戦った訳ですから、今回の改革PT試案の見直しは筋が通っています。
 それでも敬老パスの見直しについて「騙された」という声が絶えないのは、敬老パスは市長選の中で、維持されるかが特に問われ、「廃止しない」と強調されたからです。見直しの言及はありましたが、「半額負担」などという利用者には廃止と同等に感じられる改悪とは、思わない人が多かったからです。
 橋下市長は、改革PT試案の敬老パスの見直しはマニフェスト通りと説明するのかもしれません。しかし、マニフェスト通りか否かの評価は、本来、市民の側が行うことというのは、しっかりと理解しておきたいです。


 市長選マニフェストの中で、上記のように住民サービスの説明がされていますが、住民サービスの実現には、財源面も大きく関係します。
 次は、市長選マニフェストの中で、財政改革について、どのように書かれていたかを見てみましょう。

(大阪市民の住民サービスについての記述)(オリジナルはコレ
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(3)財政改革
@ 大阪市の財政状況
大阪市の地方債残高は、平成21年時点普通会計で2兆7千9百億円であり、全会計では、5兆1千億円にのぼっています。
市税収入についても、平成21年時点で合計6236億円であり、平成8年度と比較して1550億円もの減収となっいます。特に法人市民税については、平成元年当時2482億円であったものが、平成21年度は1034億円となり、6割程度もの大幅減少となっています。
地方税等の経常的な一般財源が、人件費等の経常的な経費にどの程度充てられているかの指数である経常収支比率については、平成21年度100.2%となっおり、100%を超えています。
これは、義務的経費以外に使える財源にまったくの余裕がないことを物語っています。

A 財政改革
このような硬直化した大阪市の財政状況にかんがみれば、現行の大都市制度で持続的発展を期待することは不可能であり、大阪都構想ももとより、既述の市役所改革等様々な構造改革を抜本的に行い、人件費1年以内に約1割、将来的に約3割以上削減することで、約1200億円の財源をねん出するともに、市税収入を高めるような積極的な経済施策を大阪都で行う必要があります。
また、これに加え、次のような財政改革を行う必要があります。
@ 大阪市は大阪市内の約4分の1の土地を保有しているところ、不要な資産を売却し、未利用地を売却することで財源をねん出します。
A 大阪市が所有する公共建物の管理形態を改め、管理費コストを改善します。
B 大阪都が実現するまでの間、現在の24の行政区を市内8〜9にブロック化して、合理化を図ります。
C 市債残高の削減目標値を設定して大幅に減らします。
D 補助金、交付金制度を見直します。
E 大阪府と同様の新公会計制度を導入します。
F 都市計画道路、公園計画の見直しを迅速に行います。未利用地の売却を推進 します。
G 未収金の収納対策を強化します。
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 まず、財政状況の苦しさは、ちゃんと分析しているようですから、選挙時、大阪市の財政状況を理解していなかったという可能性は排除していいでしょう。
 この状況に対する財政改善として、まず基本は、人件費の削減で財源ねん出を行い、それに加えて、未利用地売却、公共施設の管理コストの削減、行政区のブロック化による合理化、補助金・交付金の見直しで対策を図るとしています。

 「大阪市民の住民サービスを『他都市並み』に落として、財源ねん出をする」とは、どこにも書いてありません。
 前回記事でも書いた通り、人件費の3割削減ができれば(1500億円の財源ねん出とまでは言わなくても)500億円の収支不足は解消できます。
 市長選マニフェストでは、未利用地売却による財源ねん出を一つの柱として、人件費削減の次に掲げていますが、今回の改革PT試案の前提となる500億円の収支不足は「未利用地売却代金は除いて考える」と全く真逆の姿勢を示しています。
 行政区のブロック化による合理化は、しないようですし、特別区への移行(ブロック化と類似)後の経費の増減も計上されていません。
 補助金、交付金制度の見直しの効果も示されていません。(改革PT試案に挙げられたものが、全てということなら別ですが。)

 マニフェストのこの部分を見るだけでも、「500億円の収支不足があるから、大阪市民の住民サービスを『他都市並み』に落として、財源ねん出をする」というのは、変な話ということが分かります。

 市長マニフェストに掲げた財政改革策を精一杯取り組み、その結果が、どうだったのかを報告することは、市民に住民サービスの削減をお願いするための、最低限の前提のひとつでしょう。
 マニフェストで財政改革策を掲げていたことなど忘れた振りをして、「500億円の収支不足があるから、大阪市民の住民サービスを『他都市並み』に落として、財源ねん出をする」なんて言うのは、市民を馬鹿にした、失礼極まりない話のように、わたしには感じます。


 大阪維新の会のマニフェストと、今回の改革PT試案には、多くの矛盾があり、とても大阪市民に対して、住民サービスの削減・廃止を多く含む今回の改革PT試案を打ち出せるとは、わたしには思えません。

 橋下市長はツイッターで「国民との約束であるマニフェストは、政治的最高規範だ」として、マニフェストと異なる政策を行おうとする民主党を批判しました。
http://kiziosaka.seesaa.net/article/262779348.html
 橋下市長自身にも、大阪維新の会が掲げたマニフェストに対して、同じ厳しさを持って頂ければと思います。


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   大まかに大阪都構想のことを知りたい方は、まとめブログをご覧ください。
posted by 結 at 03:30| Comment(0) | 市政 | 更新情報をチェックする